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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
二章 イスカの街編
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ダンジョン

「コン、ダンジョンって面白そうだよな?」


 俺はにこにこしながらコンに話しかける。


「またそれですか、大斗。少しは落ち着いてください」


 コンはまたその話ですかと若干呆れつつ答える。


「だってダンジョンって言ったらファンタジーで出てくるものの醍醐味の一つだぜ、興奮もするだろ!」


 ファンタジーと言えばダンジョン、魔法、お宝の三本柱だと俺は思っている。

 そのうちの一つのダンジョンに今向かっているのだ。

 興奮するなというの方が無理がある。


「醍醐味の一つって散々ゴブリンやらコボルトやらと戦ったりとかしてるじゃないですか」


 確かに剣で魔物と戦うというのはファンタジーだろう。

 だけど剣と言っても全ての日本人が愛する武器KATANAじゃない所がちょっとね……。

 それに銃で相手を殲滅するのも何かが違う気がする。

 あの銃しかもエアガン撃ってる時とあんま変わらないしな。


「え~、戦いって言ったって剣とか銃で戦うとかなんか違うだろ、魔法が使えないファンタジーとか楽しくないじゃん」


「一応『ホーム』が使えるでしょう」


 確かに『ホーム』は魔法の一つだろう。

 だけどそれはちょっと違うんだよね。

 魔法と言えばド派手な攻撃魔法だろ!


「あれって最初は『おおおおお』ってなったけど、途中から何か違う気がしてきた。魔法って言ったら派手な攻撃魔法と相場が決まっているだろ!」


「大斗はわがままですね」


 俺とコンはギルドマスターのお願いを聞いて現在三級ダンジョン黒猫の庭に向かっている途中だ。

 ギルドを出てから一日半といったことろなのでもう半日でダンジョンに着くと思われる。

 それとダンジョンの説明をしておこう。


 ダンジョンとは空気中や水中、土中で魔力が溜まりやすい場所において、かなりの量の魔力が溜まった状態で放っておくと自然にできるものらしい。

 なぜ魔力が溜まった状態でダンジョンができるのか、そのメカニズムは分かっていない。

 ダンジョン内には自然発生する魔物が徘徊しており、その魔物たちを倒してもいつの間にか魔物が発生する。冒険者や国はいくらでも魔物の素材がダンジョンで取れるので重宝されている。またダンジョンで効率的にレベルを上げることもでき、魔物の素材を売れることから何人もの冒険者がダンジョンに入っている。

 また、不思議な事にダンジョン内には宝箱なるものも自然発生し、その中に入っているものは時折白金貨クラスのお宝が出ることもありダンジョンに行くものは後を絶たない。


 こうして見るとダンジョンはメリットばかり有るように見えるが、デメリットも存在する。それはダンジョンのボスである。ダンジョンのボスはそのダンジョン内において特別強く厄介なのだが、このダンジョンのボスを倒さず放置し続けると百年に一度そのダンジョンの魔物たちを引きつれて、ダンジョンの外に出てきて近くの街や村を襲うのだ。

 これを見ればダンジョンのボスを定期的に倒せば良いんじゃないかと思われるだろうが、難易度が高いダンジョンはそうはいかない。


 ダンジョンの難易度は下から三級、二級、一級、特級となっており、それぞれ三級は10~20レベル、二級は20~40レベル、一級は40~60レベル、特級は80レベル以上となっており、一級のボスまでならなんとか倒せないこともないが特級についてはレベル80以上の人間なんてほとんどおらず、失うわけにはいかない人材を複数人送るなんて真似ができるはずもなく特級のダンジョンはほとんど放置されている。

 また特級のダンジョンから魔物が出てくることは普通のダンジョンと違って、数百年に一度程度だと言われているため国もそこまで重要視していない。ただ特級ダンジョンから魔物が溢れ出てくることがあれば国など簡単に滅んでしまうことは確かである。


 まあ、ダンジョンの簡単な説明はこんなところかな。

 今から行くダンジョンは三級だ。

 それに対して俺のレベルは29。

 おそらく余裕であろう。

 多分壊れてしまった銃を改めて買い直しておく必要もないだろう。

 今回はグラディウスのみで行くつもりである。

 まあ、物理攻撃に耐性が有るやつも、グラディウスに電撃属性3が付いているからそこまで苦労しないと思うしな。


 俺はダンジョンを楽しみにしつつ道を急ぐことにした。


 そして、ここで一つ訂正がある。

 先程のダンジョンの適正レベルだが、本来はそのレベル帯の人間が6人集まって攻略することが前提で付けられているレベルである。

 ソロでの攻略となると適正レベルはもっと上がる。

 ギルドマスターもここら辺は常識と思っていて、適当なパーティーに入れて貰ってダンジョンに入るものと思っていたので、その辺の忠告をしなかったのだ。

 勘違いしたまま俺とコンはダンジョンに入ることになるのだが……。




「さぁて着きました! ダンジョンに俺は来たああああああああああああああああ!」


「うるさいです!」


 俺がテンションが変に上がりまくって叫んで、周りの目を集めまくっているがコンのせいでよく注目を浴びていたせいかその辺に慣れた弊害で気付いていない。

 コンもあまりに俺が煩いのでネコパンチならぬキツネパンチをしてくる。

 ちょっと爪が飛び出しているんですけど、という突っこみは敢えてしない。

 それもいいだろ!


 ネコパンチ食らって爪で微妙に傷付けられる肌。

 爪を若干本気で立てられて出る血。

 だけど円らな瞳を見ていると何もかもを許しちゃう。

 ネコちゃん今日の夕食はイカの干物にしようか。


 懐かしい我が愛しのネコの事を少し思い出してしまった。

 うちのネコちゃんは元気にしているだろうか?


 さてと、そんなことよりダンジョンだ。

ダンジョンの入り口らしき所に居るのだが、その先にあるのは森だ。

 森の周りにはずっと柵がしてあってダンジョンとの境界が分かるようになっている。

 森かあ。

 ダンジョンって言ったらなんか地下に向かっていって、綺麗に整備された様な通路がいっぱいあってっていうのが俺の思っていたダンジョン像なのだが。

 目の前にあるのは森だ。

 森。

 なんか納得がいかない気もするが、そういうダンジョンをゲームで見なかったわけではない。

 取り敢えず自分を納得させダンジョンに入ろうとしたところで。


「そこの君、待つんだ」


 兵士の恰好をしたおっさんに止められた。

 なんだろうと不思議そうにおっさんの方を見ると、なぜか兵士のおっさんは手を出していた。


「冒険者カードを出してください。ここは最低の三級ダンジョンと言っても冒険者ランクがDランク以上か、何らかの許可証がないと入れないんだよ」


 おっさんにそう言われて思い出した。

 俺の冒険者ランクは現在Eランクなのでこのダンジョンには入れない。

 なので、ギルドマスターが特別に許可証を書いてくれたのだ。

 俺は腰に下げてある袋の中から許可証を取り出し兵士のおっさんに手渡す。

 おっさんは許可証を読むとすぐに返してくれた。


「通っていいよ」


 俺が再びダンジョンの中に入ろうとしたところでまたおっさんに止められた。


「ちょ、ちょっと待つんだ君は一人でこのダンジョンに入るつもりなのかい?」


「ええ、一応コンを人数に数えれば二人になりますが、そうですね」


 俺の発言に兵士のおっさんはなぜか困惑している。

 はて? 何かいけなかったのか?

 俺が不思議そうにしていると兵士のおっさんは。


「まあ、霊獣様も連れているし、ギルドマスターの許可証まであるから実力は十分なんだろうね。呼びとめて済まなかったね」


 おっさんはなぜか知らないが自分で納得したようだ。

 俺は何をおっさんが気にしていたのかと考えるが、思い当たる節はない。

 まあ、おっさんも納得していたし気にすることはないだろう。

 俺はコンと共に楽しみにしていたダンジョンへ入る。


現在のカタログポイントは17624となっています。


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