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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
二章 イスカの街編
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物納

「なあ、コン」


「なんですか、大斗?」


「人と付き合うって、やっぱめんどくさいな」


「大斗が街に行きたいって言ったんでしょ、その責任は大斗が負ってください」


「しかしなあ……」


 現在俺達はユニス村を出て一番近くの街、イスカに向かっているのだが……。

 昨日ユニス村の祭りでこの世界の食べ物を色々食べたのだが、食事があんまり美味しくないのだ!

 ブラックベアーの肉に関しては美味しかったのだが、それ以外の料理が味が薄いのだ。

 おそらくは調味料とかが発達してないのか、それとも薄味がこの世界では普通なのかもしれないのだが。

 後者なら俺の食事らいふはオワタと思っていいだろう。

 そして、俺は祭りの主賓であり、次々料理を勧められるのだ。

 味の薄い料理を!

 ちょっとした拷問だったよ。

 濃い味が好みな俺にとっては。

 それでやっぱり人との付き合いはめんどくさいわ~となっていたのだ。


「まあ、幸いにはカタログで食事を買えるので、最悪の事態にはならないだろうけど」


「我慢してくださいよ、大斗。カタログの事がばれてしまったら碌な事にはならないでしょうから」


「分かってるって、でもほんとめんどくさいよな。カタログで買ったものはほとんどオーバーテクノロジーか最高クラスの魔道具扱いだから、まともに人前では使えないんだぜ。これじゃ普通にパーティーを組もうとしたらほとんど使えないんだぜ」


「大斗が選んだ事でしょう。我慢しなさい」


 まあ、コンが言っていることはちゃんと分かっているつもりなんだが。

 今までの戦闘は銃主体だったがそんな物を人前で使うなんてことはできないから、剣主体の闘いに戻さないといけないだろう。

 それに俺は魔法も使えないからどうにかポイントを貯めて魔術が使えるワンドを買いたいが、到底ポイントが足らない。

 現在のポイントは結構頑張ったから2万とちょっとなんだよな。

 代替策としては魔力が使えるコンの魔法を強化するかだ。

 今までは魔法なんてなくても大丈夫だと思っていたが、あんな魔物もいるのなら絶対必須だ。

 コンの話だと魔法じゃなくて気を使えばあの結界を突破できたらしいが、気に関してはまだまだ実用的な段階にならない。

 なので仕方なくコンの強化だ。

 それならポイントもそこまで掛らなくて良いしな。


「ほんとままならないよな」


「そんなものですよ」


「だよね~」


 俺とコンは何気ない会話をしつつ、イスカの街へと歩いていく。



 ユニス村から歩いて2日ほど過ぎて、あと1日歩けば街に着くだろうという距離でコンが急に叫んだ。


「大斗! こちらに向かって馬車が走ってきます、しかも、盗賊か何かに追われているようです」


「え~、早速面倒事かよ、しかも逃げている人が居るってことは銃が使えないじゃないか」


「文句言ってないで戦闘の準備をしてください、盗賊のレベルは全員15以下です」


「はいはい」


 俺は腰のグラディウスを抜く。


「さて、こいつのお披露目だな」


 これは俺がつい先日買ったグラディウスという魔法剣だ。

 魔法剣と言っても自分の魔力を使うタイプではなく、空気中の魔力を吸収して効力を発するタイプだ。

 付いている効果は電撃属性レベル3。

 電撃で相手をショック死または気絶させるのに便利な剣だ。

 ちなみに電撃は飛びません。


「大斗襲われているであろう馬車が見えてきました」


「OK、それじゃあ馬車が通り過ぎたら、広範囲に狐火を放って馬を足止めして、後は俺がやっておく、一応危なくなったら援護してくれ」


「分かりました」


 がたがたと凄い勢いで馬車が通り過ぎていく。

 御者がこちらを見てしまったという顔をしている。

 こちらを巻き込んだと思っているのだろう。

 そんな顔をしなくても大丈夫だ。

 この程度の相手なら問題ない。

 そう心の中で思い、声には出さない。


 馬車が通り過ぎ今度は馬に乗った盗賊達が現れる。

 数は8。

 さあ、虐殺の始まりだ!


「コン!」


 俺が勢い良く叫ぶと、コンは分かったとばかり魔法を発動させる。


「狐火!」


 広範囲に向けて狐火が放たれた。

 一気に街道は火の海と化した。

 盗賊達はそれを見て慌てて止まろうとするが間に合わない。

 8人全員狐火に突っ込み、馬が幻影の炎に焼かれ驚いて次々乗っている盗賊達を落として来た方向に必死になって帰って行く。

 盗賊達も必死に手綱に縋り付こうとするが幻影の炎に焼かれ次々と落馬していた。

 まあ、あの炎ガチで熱いから手綱を離すのも分かるわ。

 全員が落馬したのを確認するとコンは狐火を解く。

 そこには熱い熱いと転がっている盗賊達だけだ。

 正気に戻る前に終わらせますかね。


 俺は勢いよく一番近かった盗賊に近寄り、グラディウスの腹を盗賊に当てる。


「ショック!」


 盗賊は叫び声を上げつつ、気絶する。

 それを確認すると俺は容赦なくトドメを刺す。


「物納!」


 白い渦が現れ気絶した盗賊を吸いこんでいく。

 物納はめんどくさいことに気絶しているものか死体しか物納できないから、めんどうだ。

 まあ、生きている人間も容赦なく吸い込むのだったら、吸いこんじゃいけない人も吸い込むからだろうが。


 俺は次の盗賊に向かっていき同様に気絶させ物納する。

 そして、3人目を物納した所でやっと、焦げ跡一つ付いていないことと俺が仲間に何かしていることに気付いた様で剣を抜き俺に襲いかかって来る。


「てめええええええ」


 盗賊が何か叫びながら剣を振り下ろしてくるが遅い。

 俺はグラディウスで受けると。


「ショック!」


 その盗賊を気絶させる。

 こいつらチョロすぎるな。


「物納!」

 白い渦に男が吸い込まれていく。


「貴様ああああああああああ」


 今度は二人がかりで襲いかかって来るが遅い。

 遅すぎる。

 

 俺は斬りかかって来る片方をグラディウスで受け止め、もう片方を軽くかわし顔面パンチを入れておく。


「ショック!」


 盗賊二人を軽く倒す。

 弱過ぎだな。

 レベル差があり過ぎるせいだと思うが。


 俺は残った二人を見ると片方は杖を持っている。

 これは魔法使いというやつか。

 魔法使いとの初遭遇に心躍らせつつも、何が来ても大丈夫なようにグラディウスを構える。


「フレイムピラー!」


 俺の足元から炎が立ちあがり、そこにあったものを燃やしていく。


「やったか!」


 魔法使いは余程自信があった魔法なのだろう。

 喜びを露わにしている。

 確かに威力はそこそこだったと思うけど、発動が遅すぎるな。

 俺は喜んでいる魔法使いと最後に残った一人を殴り飛ばし気絶させ、物納しておく。


「コン、終わったけど近くに人影はないよな?」


「はい、誰にも見られてないでしょう」


 それは良かった。開幕のあの炎を見ればすぐに盗賊は全滅させられたと思って戻ってきそうだったが、そんなことはなかったみたいだ。


「さっき過ぎて行った馬車はどうなった?」


「そうですね、追手が来なくなったみたいで途中で止まっているようです。直にこっちに来るんじゃないでしょうか?」


「そうか、ならここら辺周辺の草を焦がしておいてくれ、さすがにあの炎で焦げた跡が無いと不審に思われるからな、盗賊達は全部燃やしたってことにしたいからな」


「分かりました」


 コンはすぐに狐火で周辺の草を焦がし始めた。

 周辺の草を大体焦がし終わった後、俺たちは街に向けて歩いていくことにした。


「それにしてもコン」


「何ですか、大斗?」


「人間は殺さず物納した方が高く売れるんだよな?」


「そうですね」


「何に使われるんだ? その手の人間は」


「大抵は薬や魔法などの実験体に、悪魔なんかが買うと玩具にとか生贄とか朝食にとかですね」


「うわ~、ひどいな、物納されたら碌な目に会わないんだな」


「そうですね、まあ、盗賊なんてやってるから因果応報ですよ」


「そうだな、けど物納するのは盗賊とかだけにするわ、さすがにこれはひどい。まあ、俺が直接殺してないから罪悪感とかほとんどないしな」


「さすが大斗です、鬼畜ですね」


「だろ!」


 俺とコンは何気なくえぐい話をしながら街へと歩いていく。


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