お礼
「ふぅ」
俺とコンは男性にこの世界のことについて色々聞いていた。
それを簡単にまとめておこう。
まずは貨幣価値、通貨名はガルド。
下から順に鉄貨、半銅貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨だ。
簡単に言いかえると十ガルド、百ガルド、千ガルド、一万ガルド、十万ガルド、百万ガルドだ。
全部一桁上がりと覚えていたら良いと思う。
まあ、白金貨は一般人はお目にかかることは普通ないらしい。
そりゃ百万なんてあんま使うことないだろうしな。
大体お昼ご飯を食べたいならば鉄貨五枚の50ガルドで済むくらいらしいから、なおさらお目にかかることはないだろう。
それと1桁台の貨幣がないのは貨幣価値が元々ほとんどなく、物価が上昇して使うことが無くなって来たのでコスト削減のため廃止されたらしい。
次に冒険者についてだ。
冒険者は異世界テンプレみたいな冒険者で合っているみたいだ。
仕事が仕事だけにマナーの悪いやつや、犯罪すれすれみたいなこともする奴もいるらしい。
冒険者のランクは下からF<E<D<C<B<A<S<SS<SSS
ランクは1つのランクに付き同じランク帯の仕事を十回成功させれば上がるらしい。
それとランクはレベルにより縛りがあり、それ以上のレベルがないとランクを上げられないらしい。
FとEはレベル制限が無くDからレベル10以上、Cがレベル15以上、Bがレベル25、Aがレベル40以上、Sがレベル60以上、SSがレベル80以上、SSSがレベル100以上
思った以上に強い人はけっこういるということだろう。
ちなみにこの世界の平均レベルは10以下らしい。
強い人は居るにはいるが、そこまで強くない人もいっぱいいるということらしい。
それとスキルについてだがこれについては良く分かってないらしい。
大体そのスキルと関係あることをしていると上がるらしいが。
戦闘系のスキルだとある一定レベルまでは訓練だけでも上がるが、途中からは実戦をしないと上がらないらしい。
まあ、結局敵を倒して行けば上がるってことだな。
最後に魔道具についてだ。
魔道具は魔法で何らかの付与させた道具の総称で、火を付ける魔道具から魔法剣までピンキリらしい。
それで俺の使ってた銃も明らかに魔道具だが、性能が良すぎた。
男性にあれは国宝級の武器かと尋ねられたよ。
あんな威力の魔道具はダンジョンから稀に出てくる物だけでオークションで毎回物凄い値段で落札されるらしい。
はっきり言って人前ではまともにカタログで買ったものが、みせられないということが良く分かったよ。
大事なことはこんな事ぐらいかな。
他にも色々教えてもらったけど大切なのはこの辺ぐらいだろう。
とりあえず色々教えてもらった男性にお礼を言っておこう。
「色々教えてくれてありがとう、おかげで助かったよ」
「いえいえ、こちらこそ村を救っていただきありがとうございました」
「それと聞いた話じゃブラックベアーはBランクのモンスターだから素材がけっこう高く売れるらしいから、これはそこまでいらないよ」
そう言って俺はお金が入っていた袋から半分程硬貨を抜いて男性に返した。
「ですがっ」
「ですがも何がもないよ、それにブラックベアーの素材を大量に持ち込んで、ギルドから目を付けられたくないから、回収した素材は全部上げるよ、戦闘で傷ついた人とか壊れた武器とかでけっこうお金必要になるんじゃないの?」
「そ、それは」
「それと俺の事を秘密にしてくれればいいから、魔道具の件とか魔法の件とか」
「ですが! 助けられた私たちが報いることができていません!」
よし、このセリフが欲しかった!!!
さあ、報いてもらおうではないか。
「ほほう、そこまで言うのならお主のその『太くてその立派なもの』を触らせてくれええええええええええええええええええ!」
俺は容赦なく男性に襲いかかった。
が男性が俺に向けてボディブローを放つ。
「ぐべらっ」
俺はまさか殴られると思っていなかったので、もろに食らってしまった。
そして床に転がった所を。
「大斗? まさか人様の前でそこまで変態なことをするとは思いませんでした。容赦など無用ですよね?」
「狐火!」
「ちょっ、室内で火とか! 熱い熱い熱いいいいいいいいいいい!」
俺はごろごろと床を転がりどうにか消そうとするが、火は消える気配がない。
「あのう、霊獣様さすが室内で火は……」
「そうですね、さすがに私もやり過ぎた感が否めないですね」
コンと男性は燃えている俺を華麗にスルーして会話をしている。
そんな暇あったらお願いだから火を消してくれませんか。
「あつつつつつつ、ちょ、マジでこれ洒落にならんて、あちいいいいいいいい」
そんな俺を見てこれで反省しましたかと言わんばかりの顔でこちらを見ている。
「まあ、このぐらいにしましょう、大斗も獣人を見るなり変態化して襲いかからないでくださいね」
コンがそう言い終わると火は突然消えた。
服を見てみると燃えた形跡はない。
どういうこと?
俺が不思議そうにしていると。
「私の狐火は幻影の類なんです。実際に燃やすことも出来ますが大体は熱いと錯覚させるだけです」
へぇ~、コンは面白い魔法が使えるんだな。
しかし、コンめ嫉妬するとは可愛い奴め。
俺がちょっと獣人さんにうつつを抜かしているだけで、暴力に走るなんて。
まあ、それはいつものことだからいいだろう。
それはいいとして獣人さんの方に目を向ける。
ちゃんと描写してなかったけどこの人は恐らく牛の獣人さんだ。
頭に黒い角にお尻に垂れた尻尾があるので恐らく確実だろう。
残念ながら牛の尻尾は俺をそこまで駆り立てない。
尻尾はやはり短すぎず、長すぎずが良いんだよな。
ちょっと牛の獣人さんの尻尾長いしな。
そこで俺が注目したのは角だ!
あの堅くて太くて立派そうなものを触らないわけないだろ!
「さてと話が逸れたが、とにかく報酬の件は良い。色々と聞かせてもらったからな」
「分かりました。このご恩は一生忘れません」
男性が平伏しながら言う。
そこまでの事じゃないと思うんだがな。
「コン、それじゃあ近くの街にでも行って冒険者ギルドで登録とかしに行こうぜ」
「もう行くのですか、大斗?」
「ああ、獣人も見れたし、情報も色々聞けたから特にすることないだろ?」
「ですが村の人たちは魔物たちを退けたお祭りをするようですよ」
「そうなのか?」
俺が獣人の方に目を向けると。
「はい、大斗様と霊獣様を主賓に迎えたいと思っています」
「そうか、この世界のご飯とか食べたことなかったし、辞退するのは勿体ないからお祭りに参加した次の日に街に行くことにするか」
「そうですね」
「ありがとうございます。それでは私も準備に参加してきますね」
そう言うと獣人は深く礼をして家を出ていった。
礼儀正しい人だ。
「ふぅ、主賓か~、そういうのだるいからしたくないんだがなあ」
俺がだらっとベッドに倒れ込む。
「さすがにそこまで断るのは可哀そうでしょう、少しは村の人たちにお礼させて上げないと」
「まあ、分からないまでもないけど、めんどくさいんだよね。別に良いって言ってるのからそれで良いのに」
「大斗あなた協調性とかないでしょ?」
「ソンナコトナイヨー」
「まあ、大斗は基本変態ですから期待はしてませんでしたしね、ですが騒動を起こしたりとかは止めてくださいよ」
「はいはい」
俺は適当な返事をしつつ、祭りが始まるまで2度寝をすることにした。
また説明会です。すぐに街に行くと思うんでタブン。
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