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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
一章 アザレスの森編
13/68

黒い悪魔

 俺が目を開けるとそこには木造の建物が立ち並んでいた。

 ここは村の中か?

 周りを見渡すが魔物らしきものは見当たらない。


「コン! 魔物はどっちにいる?」


「北の方向ですね」


「分かった」


 俺は北の方向へと走って行く。

 少し走ると村の隅で村人たちが魔物と必死に戦っているのが見えた。

 だがやはり魔物の数が多いみたいで、このままじゃ危ないだろう。

 それにブラックベアーが大量に現れている。

 俺はすぐさま魔物の近くまで走ると魔導銃AK-47を構え、ブラックベアーに対して撃つ。

 トリガーを引くと高速で魔力弾が打ち出され、次々とブラックベアーが穴だらけになっていく。

 俺はブラックベアーを全部撃ち殺したことを確認すると撃つのを止めて、敵の最前線に居る人に話しかける。


「今から一気に魔物を一掃するから退いていくれ、はっきり言って邪魔だ」


 ちゃんと異世界言語のスキルの効果が効いているらしく通じているみたいなのは良かった。

 男は何が起こったのか分からなく混乱しているみたいだったが、俺は有無を言わせず男を下がらせる。

 

 まあ、銃を見たことのない人なら混乱するのも仕方ないと思うが、今は緊急時だから説明している暇などない。

 俺は男が下がったのを確認すると再びトリガーを引く。

 さぁ、蹂躙の開始だ。


 そこからはワンサイドゲームだった。

 俺が銃を乱射しているだけで次々と魔物たちは穴だらけになっていく。

 ただ、村人が戦っている周辺の魔物だけは危なっかしくて、さすがに乱射していないが。

 それにさっき最前線に居た男がフォローに周っているようで次々と倒しているから心配はないだろう。

 それにしてもこの魔物たち見たことあると思っていたら、こいつらはアザレスの森に居た魔物たちだ。

 魔物がいないなと思っていたらこっちに居たというわけだ。

 しかし、なんでこいつらが住みかを離れてこんなところに居るのだろうか?

 もしかしてあれか?

 俺がアザレスの森で容赦なく暴れまわっていたから、こっちに魔物たちが逃げて来たとか?

 やべえ、めっちゃありそうな気がしてきた。

 ソンナワケナイヨネ。


 とにかくそんなことを気にしている場合じゃないな。

 こいつらを倒すことが先決だ。

 俺は乱射を続け魔物たちを掃討していく。


 大体の敵を片づけた。

 後は村の人たちが戦っている少数の魔物で終わりだろう。


「コン、これで魔物は倒し終わったか?」


「今確認しますね……な、これは! すぐに敵が来ます!」


 俺が森の方に目を向けると何か巨大な黒い物体が森から飛んできた。


「なんだ? こいつは」


 黒光りする甲殻、ぴょんと出ている触覚、6本の脚、そして10メートルはある巨体。

 どこからどうみてもゴミムシだ。

 つか、ゴミムシってこんな大きくねえし!

 なんでこんなのが出てくるんだよ!

 コンの方に目を向けると。


「大斗! こいつはかなり強いです! レベル40で、しかも変異体です!」


 レベル40か俺よりレベルが13も上、しかも変異体?らしい。

 変異体ってことは普通の個体よりももっと強いって意味だろう。

 まあ、この魔導銃AK-47があればなんとかなるだろうと思うが。


 俺は先手必勝とばかり巨大なゴミムシに向けてトリガーを引く。

 銃から放たれた白い魔力弾が簡単にゴミムシを穴だらけにした。

 と思いきやゴミムシの手前で魔力弾は何かに弾かれている。


 え?

 どういうことだ?


 俺がなぜ魔力弾が弾かれたのか分からずにいると。

 ゴミムシがこちらに突っ込んで来た。


 ちょ、さすがに10メートルの巨体が突っ込んできたら、避けれる自信がないんですけど。

 俺は必死に前方へと走りどうにかゴミムシの突進を避ける。


「くそっ! どうせバリアか何か張ってるんだろ! 接射なら防げないはず!」


 俺は地面に突っ込んでいるゴミムシに接近し、零距離で魔導銃AK-47を構える。


「くたばれ、このゴミムシが!」


 零距離で魔力弾を発射するが。

 またもや弾かれている。


 こいつ銃が通用しないというのか!

 俺は焦り銃を連射し続ける。

 だが全ての魔力弾は弾かれている。


 俺が接射をし続けていると、黒い何かがこちらに向かって来た。

 くそっ、ここに留まり過ぎたか。

 俺は地面に転がって避けようとするが、それを見越したようにゴミムシの黒い脚は地面を削りつつこちらに向かってきた。


 そして、衝撃が俺の全身を襲う。

 がっ、くそ!

 俺はどうにか受け身の姿勢を取りながら地面を転がっていく。


 全身が痛い。

 だが、なんとか奴の攻撃を乗り切った。

 すぐに銃がないことに気付き探すが。


「おいおい」


 銃は無残にも銃身が斜めに曲がっている。

 これじゃまともに使えないだろう。


 これは打つ手なしってやつか。

 この状況に絶望を感じつつ、どうにかこの状況を打開できる可能性を持つコンを探す。


「コン! どこだ!」


 俺は全身の痛みを我慢して奴から離れつつ、コンを探す。


「ここですここ!」


 無事だったコンがこちらに駆けてくる。

 良かったコンも無事だったか。


「奴は何なんだ、銃の攻撃が一切効かなかったぞ!」


「あの虫は高位の魔物で対物理結界を持っています」


「対物理結界ってなんだよ? てか、魔導銃なら魔法の攻撃だからそんな結界関係ないはずだろ!」


「ああ、言い忘れていましたがこの魔導銃安物ですから魔力弾(物理)なんで、物理攻撃と判定されるんです」


 魔力弾(物理)ってなんだよ!

 物理って!!!

 ゲームとかでその手の設定良くあるけど。

 実際に出てくるとかないだろ!


「とりあえず何でも良い奴に通用するものは何かないのか?」


「そうですね、大斗は魔術関係の物しか使えないですし、それを買うにはポイントが足りませんし」


 俺達が奴を倒す相談をしていると奴が再び突進をしてきた。

 しかも地面を削りながら突進してきているようで、最初の様に転がって逃げることはできないだろう。

 

「コン!」


 俺がコンを呼ぶと心得たとばかりコンが俺の肩に乗って来る。

 乗ったのを確認すると俺は叫ぶ。


「ホーム!」


 次の瞬間俺達は消え、そこにゴミムシが突撃した。

 そして、敵を見失ったゴミムシは周囲を警戒して敵を探し始める。




 拠点に戻った俺達は時間がないのですぐに相談を始める。


「さて、奴が俺達を探している間に奴に有効な武器とかスキルを買おう」


「そうですね、早くしなければ村が襲われてしまいますから」


「それで何か良いものはないのか?」


「それが有効な物はいくつかあるんですが、火力が有り過ぎて、あんな村の近くではとても使えない物ばかりで」


「そうか? ちゃんと森の方に向けて使えば倒せそうな気がするんだが?」


「いえ、それが大斗は魔力が有りませんから、魔法を封じ込めたスクロールなどを発動させると時に自分の魔力で出力や方向を決めるのですが、その制御できないので……」


「俺マジで使えないな」


 俺自身の使えなさに落胆していると。

 コンがぺしっと頭に手を乗せてくる。


「安心してください、私なら魔力が有りますから大丈夫です」


 そうか、その手が有ったな。


「ですが私は現在戦闘に参加できないので、その許可に100ポイント要ります、攻撃用のスクロールは1000ポイントですね」


「すぐに購入で!」


 カタログからスクロールが現れる。

 それをコンが素早く口に咥えると俺の背中に飛び乗ってきた。


「大斗、敵はまだ私達を探し森の方に行っているので、今のうちに戻って奴を倒しましょう」


「おう、行くぜ! ホーム!」


 俺達は拠点から外に出た。

 目を開けるとすぐ前に奴の後ろ姿があった。

 まだ俺達を探しているのだろう。

 よし、今のうちに倒すべし!


「コン!」


「分かりました、行きます! フレイムストーム!」


 コンが咥えているスクロールが輝き、炎の奔流が出てくる。

 ちょ、熱いんだけど!

 俺はコンの隣に居たが熱いのですぐさま後方へと移った。


 ゴミムシの方はどうなっているかと見てみると。

 

 ギィイイイイイイイイ


 何か叫び声を上げている。

 そりゃ焼かれれば声も上げたくなるもんだよな。

 

 ゴミムシは炎の渦により全身燃え上がっているが。

 こちらに方向転換しだした。

 おいおい、この炎を食らってまだ動くのかよ。

 虫って言ったら炎で効果抜群のはずだろ!


「コン火力を上げたりとかできないのか!」


 俺がコンの方へと振り向くと。

 スクロールが輝きを失い炎を吐き出さなくなっていた。

 ちょ、マジかよ!


「コン! 他の攻撃用スクロールを!」


「は、はい、えっと何を買えば……」


 くそっ、コンの奴慌ててやがる。

 奴は勢いを付けてこっちのほうに突っ込んで来てやがる。

 おいおい、あの勢いなら後ろにある村ごと潰れるぞ。


「ここは俺がなんとかするしかないな」


 俺は静かに息を吸い、吐き出す。

 大丈夫だ、こんな時小説の主人公ならどうするか。

 たくさんのラノベ小説とエロゲをやってきた俺なら、きっと答えを導き出せるはずだ。

 俺は覚悟決め、己のすべきことを導き出し実行する。


「コン! 精神破壊魔法のスクロールを買って使え! こいつは虫だからそんなものに耐性はないだろ!」


「わ、分かりました。購入完了しました、すぐに発動します!」


 コンが新たなスクロールを口に咥え発動する。


「マインドハック!」


 コンが咥えているスクロールから白い輝きが生まれ、奴に向かって飛んでいく。

 そして、その光が会った瞬間。


 ギィイッィィイィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ


 先ほどとはまるで違うほどの大音量でゴミムシが叫び声を上げ、そして沈黙した。

 だがしかし、突進の勢いが残っているようで凄い勢いでゴミムシの死体が突っ込んでくる。

 コンは奴にトドメを刺したが事態が解決してないことに気付く。


「大斗どうするんですか? このままの勢いではこいつが村に突っ込んで被害が」


 そして、コンは気づいた俺がゴミムシの死体に向けて走っているのを。


「何をする気ですか大斗?」


 何をするってそりゃ。

 けりを付けるに決まっているんじゃないか。

 俺は右腕を振り上げ、突っ込んでくる死体に向かって拳を突きだす。


「物納!」


 奴にぶつかった瞬間に言ったのだが、さすがにすぐには言い終わらなかったのか俺は奴に弾き飛ばされた。

 空中に飛ばされつつも光の渦が現れ、ゴミムシの死体を飲み込んでいくのを確認すると俺は地面へと叩きつけられ意識を失った。


 今回読み終わった方はなぜ主人公が虫を殴りに行ったのか「???」状態だと思いますから、その説明をしておきます。


 物納は死体を回収し送る特殊魔法です。複数死体が有る場合に物納すると数があまりにも多いと物納に時間がかかります。


 主人公が戦っていた場所は大量に物納するべきものがあったので、時間がかかり物納されずに村に突っ込んでいくのを恐れたため、直接死体に触れ、対象を指定して虫だけを物納しようとしたわけです。


脳内に有った設定ですが全然いらないと思って書いてませんでした、すみません。


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