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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
一章 アザレスの森編
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忘れる事ってあるよね

「う~ん、やっぱ弱いな、こっちの方の魔物は」


 俺たちが村に向かい始めて3日が過ぎていた。

 近くに居る魔物を狩りつつ、村へと進んでいるのだが。

 ラザレスの森を離れたせいか弱い魔物しかいない。

 まあ、それはいいんだけど何か違和感を感じるのだ。

 何がおかしいかと問われると困るのだが、とにかく何かを感じる。

 それに心持ち会う魔物の数も少ないような気がする。

 違和感を感じつつもそれが何か分からないので、俺は気にせず村の方へと歩いていく。


 そして、唐突に大切な事を聞いてないことに気付いた。

 そういえば結局最初は興奮していて、詳細も聞かず試射していたからな。

 どうせ村まで後3日ぐらいかかるんだ、今のうちに聞いておこう。

 俺は頭の上に乗っかって丸まっているコンに話しかける。


「コン、そういえば買った銃の詳細を聞いてなかったような気がするんだが」


「ん、そうでしたっけ?」


 コンがぴくりと耳を立て顔を上げて、欠伸を噛み殺している。

 そして、立ち上がり伸びをする。


 痛い痛い痛い。

 ちょっと、ちょっとだけ爪が頭に刺さっているんですが。


「ふぅ、さて魔導銃AK-47の説明をしますね」


 コンは悪びれもせずに説明を始める。

 いや、まあ、いいんですけどね。


「魔導銃は本来2種類あるんです。1つは自分の魔力を使い効率よく魔力弾を生成し、撃ち出すタイプ。もうひとつの方が買った方でマガジンに魔力が籠められていてその魔力を使い魔力弾を生成し発射するタイプですね」


 そういえば良く考えれば俺は魔力はないのだったな。

 それで魔導銃が使えているということは魔力が無くても使えるタイプの物に決まっている。

 というかマガジンに魔力が籠められていてそれが消費しているのは良いんだけど、この銃を買ってから随分撃ったと思うのだが弾切れとかはしていない。

 勝手に空気中の魔力を吸い取っているとか凄い機能が付いているのだろうか?

 俺は疑問をコンに聞いてみる。


「なあ、コン。マガジンに魔力が籠っていてそれの魔力を使っているのは分かったけど、魔力切れとかは起こさないのか?」


「いえ、普通に魔力切れは起こしますよ」


「起こすのかよ!」


「ただ単に今まで魔力切れが起こらなかったのはそのマガジンに入っている魔力量がかなり多いからです」


「そうなのか、それでマガジンの魔力が尽きたらどうするんだ? 乾電池みたいに充電でもするのか?」


「いえ、そのマガジンは魔力があるのものなら充電はできますが、大斗は魔力を持っていないのでできません」


「そっか、でもさ、コンなら魔力を持っているから充電できるんじゃないの?」


「ええ、確かに出来ますがあまり効率的ではありませんよ、大体そのマガジンを満タンにするには1カ月はかかるでしょうし」


「それはつまり新しくマガジンを買うしかないと?」


「その通りですね」


 そうなのか、まあ地球でも銃は消耗品だったしな。

 弾を使ったら無くなるのは当たり前か。

 それがいくらするのかが問題だが。

 まあ、さすがに買った時の値段を超えることはないだろうが。


「それで新しい補充用のマガジンはいくらするんだ?」


「補充用のマガジンは1000ポイントですね」


 1000ポイントか。

 少し高いと思うがそれで殺せる魔物の数を思えば十分な値段だろう。


「ならそれを買っておこう」


「分かりました」


 カタログから補充用のマガジンが出てきた。

 俺はとりあえずそれをポケットの中に突っ込んでおく。


「それと現在のマガジンの魔力の残量とか知りたいんだけど、どうすればいんだ?」


「それはマガジンの底に小さいボタンがあるのでそこを押してもらったら」


 俺は銃のマガジンの底を見てみる。

 小さい白いボタンが付いている。

 これだろうか。

 俺はそのボタンを押して見る。

 すると小さめのウインドウが現れた。

 なになに、残り残量3%。

 ってほとんどないじゃん!

 俺は何で早く教えてくれなかったんだとばかりコンを睨むと、コンは気まずそうにあらぬ方向を向いている。

 これ絶対忘れてただろ!


 俺はため息を付く。

 まあ、忘れていたものは仕方ないだろう。

 戦闘中に弾切れを起こしたわけでもないからな。

 今後はこんなことがないように俺も注意しておかないといけないだろう。


「コン」


「なんですか大斗?」


 そんな耳をぱたりと伏せていなくても良いと思うんだが。

 俺そこまで怒ってないし。


「まあ、今回は大事にならなかったから良いけど、次回からはちゃんと説明してくれよ。俺もさっぱり気付いていなかったのもいけないが」


「分かりました! 今度からは注意します」


 コンびしっと前足を上げ敬礼をする。

 いや、満足に出来てないと思うんだけど。

 可愛いから良いけどな!


「それと銃の説明に付いて言い忘れたことはないか?」


「後2つほどありますね」


 まだ説明してないことがあったのか。


「1つ目はこの銃特殊機能として非殺傷モードが存在します。これは撃つとスタン効果を持った魔力弾が生成され発射されます。これは盗賊などに使い殺さないまま物納する時に使うことをオススメします」


 なんか凄い機能付いてた!!!

 良いのか神魔商会。

 こんな凄い武器を2300ポイントって。

 絶対値段設定ミスっているだろう。

 

「それと2つ目はこの銃の有効射程は2kmです」


 おかしい、おかしい、おかしいよ!

 どこまでぶっ飛んだ性能なんだよこの銃!

 有効射程2kmとか馬鹿なの?

 死ぬの?

 AK-47の有効射程は600mっすよ

 その3倍以上とかもうおかしすぎて笑えん。

 神魔商会……恐ろしい子


 俺は神魔商会の恐ろしさに戦慄しつつ、他に聞き忘れがないかコンに聞いておく。


「それでコン銃の説明はこれで終わりなんだよな?」


「はい、おそらくこれで全部と思います。もし言い忘れがあるようなら、その都度説明します」


「そうか」


 これで銃の説明は終わったか。

 想像以上にいかれた性能だったが。

 しかしそれにしてもさっきから敵に出会わないな。

 コンと話をしながらずっと歩いていながらまったく魔物に会わなくなった。

 

「コン、さっきから魔物に出会わないんだが周辺に敵はいないのか?」


「少し調べてみますね……これは」


「どうかしたの?」


「歩いて1日程度の範囲を索敵したのですが、ほとんど魔物が居ません」


「ん?」


 どういうことだ?

 なんで敵が居ないんだ?

 大移動でもしているのか?

 俺が首を傾げていると。


「こ、これはっ! 索敵範囲を広げてみましたがこの周辺には魔物がいませんが、今向かっている村に魔物の集団が押し寄せているようです」


 なんだとっ!

 あそこの村には獣人もいるんだぞ。

 獣人も!

 ついでに人間も心配だ。

 夢の獣人に会えると思っていたというのに、それを邪魔するとは許せんな、魔物どもめ。


「コン! 今からその村に転移はできないのか?」


「大斗は魔力がありませんから転移魔法は……、そうだっ! 私なら魔力があるから使えますが、行ったことのない場所だから使えない……、少し待ってください、行ったことのない場所に飛べる物を探します」


「早くしてくれよ! コン」


 十秒ほどしてコンは閉じていた目を開けた。


「見つかりました。行ったことのない場所でも飛べる転移結晶、値段は1000ポイントです」


「即購入だ!」


 カタログから商品が出てくるのを俺はじっと待つ。

 早くしてくれよ、早く。

 カタログから転移結晶が出てきたのを確認すると俺はそれをすぐ掴む。


「コン、使い方の説明を!」


「はい、それは『転移!ユニス村』と叫べば使えます!」


「コン!」


 コンは承知したとばかり地面から俺の肩に飛び乗る。


「転移!ユニス村!」


 俺達はユニス村へと転移した。


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