プロローグ
「あれ、ここはどこだ?」
俺の周りには見渡すばかりの木々。
さっきまで俺は家の蔵で先月亡くなったばあちゃんの遺品整理をしていたはずなのだがなぜか俺は今森の中に居る。
正直意味が分からない。
どうしてこんなところに居るのだろうか。
目を閉じてみてゆっくりと目を開けてみるが俺が居るのは変わらず森の中だ。
次に自分の頬を思いっきり引っ張ってみる。
「痛い、痛い、痛い」
痛いからどうやら夢ではないらしい。
それに夢なら感覚がはっきりとしていなくて、どこかもやもやして感じられるだろうし。
まあ、あれだ、とりあえずここでじっとしていても何も変わらないから歩いて人が居る所まで出よう。
俺はそう思い着ている服意外に唯一持っているカタログを片手に歩みを進める。
「はあ、ほんとここはどこなんだよ」
あれから体感時間で2時間くらい歩いたのだが一向に人どころか人工物もまったく見えてこない。
どうやら俺は森のかなり奥にいるのか同じ場所を知らないうちにぐるぐる回っているかしているのだろう。
どっちみちどちらであっても現状を打破できるような案は思い浮かんでこない。
俺は歩き疲れたので木に背を預けて地面に座り込んだ。
ほんとうならもっと早く人か人工物のあるところまで出ることを期待していたのだが現実は思った以上に厳しかったみたいだ。
せめて川でも見つけられたら川で水分補給をしながら川下に降りていき人里に辿り着くということができたのだが
ないものねだりをしても現状は変わらない。
俺は背伸びをしつつ、手持ち無沙汰だったので手に持っていたカタログをパラパラめくる。
「お、青森県産のリンゴジュースか」
それはたまたまだった。
2時間も森の中を歩き回れば当然の帰結だっただろう。
これが運命なのか偶然なのか分からないがそれは起こった。
「これが本当に飲めればいいのにな」
俺がそう言い終わるのと同時にカタログが黄金の光を放った
そして今ここに俺のカタログ生活が始まる!
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