表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/30

第22話 合同練習【6月】

今日は音大同級生3人を集めて初めての練習。

すぐに返信をくれた3人以外は集まらなかった。

昨日部員たちにはレッスンの話はしてあるが、どんな人が来るのかとみんな緊張していた。

かくいう俺も、3人とはほぼ話したことがないから初対面のようなものだ。


「おはよー!」

「亘!久しぶりだなー」

「本当に吹部の顧問なんだ!」


俺が校門の前で待っていると、やっぱり知らない顔。

向こうはなぜそんなに親しげに話しかけてくるのか。

音大時代、俺は結構周りと距離を置いていたし、心当たりがない。


「今日は来てくれてありがとう。よろしく頼む」

「全然いいよ!高校生と一緒にできる機会なんてそうそうないもんね!」

「おう。俺は会社の楽団に入ってるけど、活動が微妙だったから逆に楽しみ!」

「私は楽団のオーディション落ちちゃって普通の会社員だから、また一緒に音楽できるの嬉しくて!」


みんなそれぞれ事情があるんだな。

やりたい、と名乗り出てくれて俺は素直に嬉しかった。

こいつらとは仲良くなれそうだ。


とりあえず部室まで3人を案内した。

部員たちはもう待ち構えている。


「じゃあミーティング始めるぞ」

「はい!よろしくお願いします!」


俺が3人を連れて部室に入ると、空気が一気に変わった。

憧れの存在を見るような眼差しを向けられている。

そりゃそうか、音大卒業生って彼女たちからするとそういうものだよな。


「今日は前から話していた通り、俺の音大の同級生たちに来てもらった。左から順に紹介する。フルート担当の金子、金管担当の結城、クラとサックス担当の小野里だ」

「よろしくお願いします!!」


部員たちはざわざわしながらも、深く一礼した。

指導者がいるということが本当にありがたいんだろうな。

俺は教わるのが嫌いだったけど、彼女たちの実力の底上げには専門の指導者が必要だと思った。


「午前中はパートごとに分かれてレッスンをつけてもらって、午後は『全体合奏』の仕上がりを確認する予定だ。聞きたいことはちゃんと聞いて、技術を盗むつもりで練習するように!」

「はい!!」


俺は俺で吉川にレッスンしないといけない。

でも今は指導者が俺一人ではないから本当に頼もしい。

ミーティングが終わるとみんな一目散に練習へ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ