脳の精密検査
「どうぞ、お次の方、お入りください。」
「前回の検査結果が出ています。これをご覧ください。」
「この〇や△ですか?」
「そうです。検査数値を分かりやすくするために、〇は平常値。△は平常値より悪い数値ですが、危険な値ではない事を表しています。△の項目も4個とやや多めですが、全体的に容認される数値になっています。」
「この『ダウン症候群』、よく雑誌でみかけますが?」
「それは、『先天性疾患』による病名ですね。この表は、縦に『病名や疾患、障害名』その横に検査項目と結果、評価が羅列されています。この表の検査で分かる異常は見つからなかった。という事です。」
「では、安心して産んで良いのですね。」
「そうとも言えないのです。この表は、検査が可能な病気、疾患、障害についてやっています。これ以外にも検査が出来ない、あるいは、病名は分かっているけど、検査の方法が確立されいない病気や疾患があります。それが、この表の下にある特記に書かれています。」
「『脳の精密検査を受けるのが望ましい』ですか?・・・この子、脳に障害があるのですか?」
「△の付いている検査なのですが、いずれも脳に関する項目や脳の異常があった時に悪くなる項目になっているからだと思います。」
「そうなんですか・・・・・」
「その下に書かれている、『再検査時に留意すべき項目。胎盤のやや異常ともとれる血流、母体より高い羊水温度』。これも気になっています。なにか心当たりは、ありますか?」
「羊水の温度ですか?そう言えば、胎教の為に毎日本を音読しているのですが。その時、お腹が温かくなります。聞いてくれているんだな、と喜んでいたのですが この子に悪い事だったのですか?」
「そうではないのですが・・・それだとすれば、検査の時にお腹の子に声をかけていませんでした?」
「私も検査が心配でしたので、気を紛らわせるように、昨日読んで聞かせた本を思い出しながら頭で読んでいました。」
「それかもしれませんね。」
「でも・・・・」
「昔の話になるのですが。大学の時に、特に中の良かった悪友がいまして。当時は『三羽烏』と言われて、三人でよく馬鹿をしたのですが。その一人が、国の委託機関の主任をしているのです。主に脳科学が専門で、脳の外科手術もやっています。そこで、検査を受けてみませんか?汽車が通っていますので、時間が分かれば向かいにやらせます。」
「遠いところなんですか?」
「車でしたら、ここから2時間といったところです。」
「結構遠いんですね。」
「当院で出来る精密検査は、項目や内容に限界があるので、専門の検査機関だと取りこぼしがないので 安心できると思います。」
「そうですか・・・では、お願いします。」