第23話 騎士学校入学
「諸君、騎士学校入学おめでとう」
筆記試験も終わるとその日のうちに合格発表が行われた。
もちろん俺達は余裕で合格だ。
『おめでとう我が息子よ』
『ん、お姉ちゃんは嬉しい』
「ありがとうございます」
誰にも聞こえないようにそっと父上達に礼を言う。
そして騎士学校の教室らしき一室に連れて行かれると教員らしき人から入学を祝う言葉がかけられた。
どうやらこの世界だと入学式のようなものはないっぽい。
「これから諸君は我が校で騎士になる為に学んでもらう。その為に諸君には幾つかのルールを学んでもらう」
そう言うと先生は学校でのルールを話し始める。
「学校内ではトラブルを避ける為に親の爵位など地位が原因の問題は一切受け付けないし生徒にも地位をひけらかす事は禁ずる。問題を起こした場合は双方を罰する。平民と貴族で問題が起きた場合も同様だ。これは教師の言葉を軽んじて授業に支障をきたすことが無いようにだ。まぁ生徒同士のトラブルはどうしても起きるだろうから自己責任だと思え」
凄いドライな発言から来たな。
まぁ地位を傘に来て学級崩壊とか起きたら学校の意味がないもんな。
「また家が町の中にない者は学生は寮に入ることができる。寮は無料だが食事は出ないので自分で稼いでなんとかするように。おすすめは魔物を狩って売るなり食べるなりだな。実戦訓練にもなる。まぁ死なない程度にな」
寮が無料なのはありがたいな、食事はまぁ俺達なら魔物を狩れば問題ないだろう。
「寮では貴族、平民、男、女で分かれて貰う。これは余計なトラブルを起こさない為だ」
『これはトラブル回避というだけでなく、立場の違う相手と騒動になった際の安全地帯を作る為でもあるな』
成程、確かに暮らす場所が分かれていれば多少は安心できるもんな。
「次に授業だが、諸君らには戦闘訓練、集団戦訓練、魔法訓練、文官教育、初等貴族教育、上等貴族教育を受けて貰う。貴族教育に関してだが平民と一部貴族は初等貴族教育を、すでに十分な教育を受けている貴族には上等貴族教育をそれぞれ受けて貰う」
「なんで俺達も貴族教育を受けないといけないんだ?」
「俺達は騎士になりに来たのになぁ」
と、貴族教育の話が出てきたところで平民枠の合格者から疑問の声が上がる。
「当然だろう。騎士は貴族に仕えるものだ。貴族社会のルールを知っておかねば主人に恥をかかせることになる。それが嫌なら騎士ではなく騎士にこき使われる下級兵士にでもなるんだな」
「んだとぉ!」
「バカもん!さっそく面倒を起こすな!」
険悪な空気になりかけた貴族と平民の生徒達を教員が叱る。
「こんな感じで問題を起こした奴はどっちも叱るから、家の名に泥を塗りたくなければつまらん騒ぎは起こさないように」
他にも細々としたルールを学ぶと話は終わり、寮へと案内される。
「あっ」
男子寮と女子寮で建物が分かれていた為に、アリアナが寂しそうに声をあげる。
「また明日な」
「う、うん」
そうして連れてこられたのは二階建ての建物だった。
「寮は相部屋になる。同室の生徒とは仲良くするように」
そして教員から自分の名前と部屋番号の書かれた木札を受け取ると、自分の部屋へと向かう。
「ここが俺の部屋か」
中に入るとそこには二つの二段ベッドとテーブルのみというシンプルな部屋だった。
そしてベッドに腰掛ける2人の少年。おそらくは先輩だろう。
「お、来たな」
と言ったのは二段ベッドの上に座っていた少年だ。
「俺は2年のマーズ、そっちはフィズだ」
「よろしく。君は」
「今日からお世話になりますキオです。よろしくお願いします先輩がた」
俺が頭を下げると2人は意外そうな顔をして笑う。
「思ったよりまともな奴が来たな」
「そうだね、マーズは最初から舐めた口聞いて先輩にゲンコツ喰らってたもんね」
どうやらマーズ先輩はヤンチャだったらしい。
「もう1人はまだ来ないのか?」
「もう1人?」
「この寮は4人部屋なんだよ」
「お、あったあった! ちーっす」
と、そこにやって来たのは一際小柄な少年だった。
「こんな感じですか?」
「こんな感じだねぇ」
「いやいや、ここまで酷くなかったぞ。俺はちゃんと名前は名乗ったぞ」
その一言で大体理解したわ。
「ん? 何の話?」
唯一本人だけが会話の意図が理解できず首を傾げる。
「まぁとにかくだ、先輩の初仕事といくか」
マーズ先輩はニンマリと笑みを浮かべて近づいて来たので俺はそっと横に下がる。
「名前くらい名乗れ! 馬鹿野郎!」
「ぐぇっ‼︎」
ゴンッと中々痛そうな音が寮に響いた。




