二話
すでに登った太陽の光を受けながら、のんびり歩く。
寮から学校までを呑気に歩く人はそんなにいない。
勉強している人、おしゃべりが止まらない人、遅刻しそうですっ飛んでいく人。
(補習かな、あの人。)
まあ、私はそのどれにも当てはまっていないのだが。
そんなことを考えていると、遠くから声が聞こえてきた。
「うわ、『色なし』だ」
「よくものうのうと学校にこられるよね」
「いつも何してるんだろう…」
(…いつも通りだな。)
コチラを指差し、ひそひそと陰口を叩く同級生たち。
しかし、これはいつも通りなのである。
みんなが言っていたように、私は色なしだ。
この世界の魔法は、色によって分けられている。
赤なら炎系、青なら寒冷系、黄色なら電気など、色ごとに属性が割り当てられているのだ。
まあ、基本的に色の三元色がそのまま出る人はいないので、実際はもっと細かいのだが。
ほとんどの人は、10歳になったら学校入学と同時に色の判定を受けて、その色を元に自分の魔法を学んでいく。
閑話休題。
しかし、私は色なしだ。
つまり、色が発現しなかったのである。
現代、色の出ない人は魔法が使えないとされており、見下されている。
事実、私は大した魔法は使えないのだが。
勉強はさせてもらっているが、知識がつくだけ。
せいぜい、手のひらにマッチほどの火が出せるだけである。
ボッ、という小さな音と共に手のひらに出現した火を眺める。
色なしにはちょうどいいだろう。
火を吹き消して、私は校舎の中へと踏み入った。