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第2話 使用人コニー



 友人のレミィがいなくなった日の事は、いつだって忘れられない。


 彼女は不器用で、だけどとても優しい人。私にとって一番の友達だったから。


 私やほかの友人達を、その優しさで何度も助けてくれた。


 そんな彼女だから、その日も何かに巻き込まれたのだとすぐに気が付いた。





 それは、彼女の誕生日の翌日に起こった。


 彼女は血まみれの家と、ペットを残して失踪してしまった。


 私は、残されたペットを手当てした後、彼女を探さなければと強く思った。


 手がかりを求めて、たどり着いたのは風の町ウンディ。


 私はそこで、変わり果てた彼女と再会する事になる。


 あの惨劇の日に、何があったのかは正確には分からない。


 けれど、辛い事があったのは確かだ。


 あの血だまりの家には、彼女の両親の亡骸があったのだから。


 だからだろうか。


 レミィはこれまでの記憶を失い、新しい居場所を得て、新し生活を始めていた。


 そのため、彼女に不幸な出来事を告げて、元の居場所に戻すかどうかためらったた。


 今が幸せなら、その生活がずっと続くのも悪くないのではないか。


 そう思ったからだ。


 彼女が元の場所に戻っても、もう家族は生きてはいないのだから。





 悩む私は、彼女が働いている屋敷へ向かった。


 彼女は使用人として大きな屋敷で働いているようだからだ。


 もっと間近で彼女の事を知ろうと思って、私も同じ場所で働く事になった。


 彼女は記憶を失っても、根本的なところはまったく変わっていなかったようだ。


 困っている人や悲しんでいる人を放っておけない優しい人だった。


 そんな彼女だから、もしも新しい生活を選んだとしても、別の不幸に見舞われてしまうのではないかと心配になった。


 予想は的中して、見るからにあやしいけが人を屋敷へ連れかえって、世話をする始末。


 頭を抱える事になった。


 彼女だけは任せておけない。


 そう思った私はそのけが人の世話の半分を引き受けて、素性を調べる事にした。


 けが人は、どこか底が見えなくて、何か企んでいるように思えた。


 だから、常に警戒していた。


 それに怪我人がやってきてから、なぜか友人が命を狙われる事が多くなったから、私は疑念を深めた。


 こんなあやしい人間を、屋敷においておく事はできない。


 そう思った私は、そのけが人を屋敷から追い出そうとしたが、予想外の抵抗にあった。


 けが人は、とてつもない戦闘力を秘めた人間だったらしい。


 私は返り討ちにあった。


 倒れて、かすむ視界の中、けが人が嘲るように嗤うのを見た。


 私の直感は、間違ってはいなかったのだ。


 けが人が去っていったあと、私は小さなネコに全てを託した。


 友人のペットだったネコ。


 記憶を失って新しい人生を得た友人にもよりそって、仲良くしてくれるいいネコだ。


 私は最後の力を使ってネコに手紙を託した。


 どうか誰かが、あの危険人物の正体に気が付いてくれるように、と。



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