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てるさんですっ!~てるさんは宇宙連合の教祖なのです~

 てる「てるさんですっ。」


 ある日、てるさんはジャノメミシンでアルバイトをしていた学生時代のことを思い出し、ベッドから跳ね起きた。


 あたりはまだ暗く、デジタル時計は午前4時を示している。


 てる「てるさん、寝ぼけちゃってたです…」



 照れくさそうに後ろ頭をポリポリするてるさん。



 てる「あ!そうです…銀河連邦からの通信を確認するです!」



 てるさんが枕元にあるラジオに手を伸ばす。


 レバーを回しチューニングさせると、ザザーっとしたノイズと共に男性キャスターの声が。


『本日……○○地方は梅雨の影響により、20mmをこえる雨量が……』



 てる「ふわぁ!!宇宙のみんなが恵みの雨を降らせてるです!てるさんも頑張らねばっ!」




 てるさんは両手でガッツポーズをつくった。




 てる「そういえば、てるさんの名刺…ママ受け取ってくれなかったです…いい出来栄えだったんですが…なぜでしょう?です……」





 てるさんの手元には


『ロシアのスパイ&宇宙連邦事務局 てるさん』


 と印字された名刺が100枚セットで置かれている。




 てる「みんなに配らないと、まだまだあるですっ☆」



 てるさんは前向きでポジティブ思考なので、これらの名刺をどうやってみんなに配っていくかのイメージトレーニングもしていた。



 てる「ふわぁ~…なんだかまた眠くなってきたです……みんなもまだ寝てるし、てるさん

 …もうひと眠りするです……」



 ZZZ…



 布団をかぶり直し


 てるさんは再び夢の中へ…






 そこは雲の上。


 どこまでも続く青空のステージ☆



 てるさんは魔法の衣装に身を包んで、みんなの声援を浴びながらマイクを握っている。



 てる「みんなーー!!!てるさんですっ☆」



 集まった民衆たち「うぉおおおお!!てるさーーーーーーーーーん!!!!」




 てる「今日は、てるさんの後援会に来てくれて、ありがとうです!いっぱい歌うです!」



 民衆たち「てるさん!☆てるさん!☆てるさん!☆てるさん!☆」




 民衆たちはサイリュームを振りながら、ジャンピングして大盛り上がりだ。



 てる『Amazing grace! How sweet the sound~~♪てるさん~♪宇宙を~♪護る~です~~♪』



 ひらりと魔法の衣装が翻ると、星屑の輝きが分布する。



 そしてその星屑が生まれたばかりのミルキーウェイに溶けていく。




 宇宙。調和。愛。




 今まさに、てるさんは唯一の宇宙アイドルだった。






かみこの実父「てるさん」をモチーフにしました。



てるさんは私が子供の頃にじーっと観察をしていましたが「喜」「怒」「哀」「楽」のどれもがなく、常に感情は一定…「無」でした。


そして、てるさんの語る言葉はどれも殆ど聞き取ることは不可能なのですが

その中で「てるさんです」「ジャノメミシン」という二つの言葉だけはハッキリと聞き取れました。



そう。てるさんの唯一の職歴…大学生時代のアルバイト先「ジャノメミシン」です。


母の話によると、てるさんは「ロシアのスパイ」と「銀河宇宙連邦」を自称しており、特に銀河宇宙連邦に関しては自作の名刺を作成するほどの凝りようだったとか。



スパイでジャノメミシンで宇宙連邦のてるさん。



享年は70代半ばでした。ありがとう。てるさん。


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