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【第44話】緊急事態

「ボルテ先輩! ノゾキ騒動のおかげですっかり忘れていたけど、大事な話があるんです」


「なんだ、ヤニック?」


例のノゾキ未遂事件を経て、俺とボルテ先輩たちはすっかり打ち解けていた。


「これから戦う敵のことです」


「何かわかったのか!?」


「もしかしたらその敵は、魔王の手下じゃなくて、魔王そのものかもしれません」


「というと?」


「魔王は相手の姿を好きなように変えられる呪術を使えるらしいんです。今まで戦った勇者たちが、たとえば全員、虫や石ころに変えられてしまったしたら、誰も帰ってこないのも納得いくでしょう?」


「なるほど……。だが、そうだとしたら、その呪術を破る方法は!?」


「コトネなら破れるかもしれません」


「コトネちゃんが? どういうことだ?」


俺は、コトネがかつて魔王と戦って敗れたこと、ラケットに変容させられたことや、昼間は俺のラケット、夜は人間に変容することなどを説明した。


「ラケットに変容したコトネの力をもってすれば、もしかしたら魔王も倒せるかもしれません」


「そういうことだったのか。じゃあ、さっき体育館の壁をふっ飛ばしたあの技も……」


「そう。ラケットの──いや、コトネの力です」


「すべて納得いった。じゃあ、キミは今日から、俺たちのクラスリーダーだな」


「いや、それは……」


とまどっていると、ザンボとダイタンもコクリとうなずいた。


「ボルテがそういうなら、俺からも頼むよ」


「俺からも頼む。魔王からこの国を救うために!」


「……わかりました。俺たちの出発はいつなんですか?」


「出撃があるとすれば、4日後だ。4日後の帰還予定日までにB組が戻らない場合は、彼らは全滅したものとみなされ、次は僕たちにお声がかかるだろう」


「そんな悠長な! 今すぐ出撃して、B組に加勢しましょうよ!」


「そうすると、もしもB組とC組がいっぺんに全滅させられた場合、後続部隊を育成する時間がなくなる。王宮は今、世界各地から精鋭を集めて魔王討伐部隊を編成中なんだ」


「ええっ!? じゃあ、グロワール高校の生徒は全員、ただの時間稼ぎをやらさせれてたってことなのか!?」


「まあ、ある意味、そういうことだな。もちろん、B組や僕たちC組が敵を倒すことができれば、それが一番なんだが……。王宮としては、それが失敗した場合のことも考えなきゃいかんだろう」


なんてことだ!

国王は最初っから、俺たちが勝つことなんか信じちゃいないんだ!


そのときだった。


カンカンカーン! 

カンカンカーン!


「こ、この音は!?」


宮殿じゅうに響き渡る鐘の音に、ボルテ先輩たちが血相を変えた。


「先輩! なんですか、この鐘の音?」


「非常ベルだ! この鳴らし方は──緊急事態! 敵襲だ!」


「なんだって!? こんな夜中に!?」


「落ちつけ、ヤニック君。キミはもう、俺たちのクラスリーダーなんだぞ」


「そんなこと、いきなりいわれても……」


「自信をもて。キミは、実力で俺たちのエースなんだ!」


「わ、わかりました! とりあえずラケットを──あーっ!」


あたりまえのことに、今ごろ気がついた。


俺のカバンに入っているのは、使い古しのラケットだけ。


肝心の赤いラケット──コトネは今、人間に変容しているのだ。


「ボルテ先輩! 俺、無理です!」


「なぜ!?」


「俺が力を発揮できるのは、あの赤いラケットのおかげなんです! でも、ラケットは朝までコトネに変容してて──!」


「な、なんだとう!?」


「だから、チームリーダーは今までどおり、ボルテ先輩ってことで!」


「ええい、仕方がない! みんな武器を持て! 応戦だ!」


おおおおおおおおおおおーっ!


それぞれラケットと砲弾を手に、大部屋を出ていく3年C組の男子たち。


感情が極限まで高ぶり、もはや敵を倒すことしか考えていない彼らに、以前コトネから聞いた、おそろしい話を伝えることはできなかった。


「夜になると魔王の力は30倍にはね上がる」とは、どうしても……。

『勇者をねらえ!』をお読みいただき、ありがとうございます!

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