【第27話】生徒会長の言葉
翌日。
登校すると、1年G組にモナが駆け込んできた。
「ヤッちゃん! 私、2学期からA組だって!」
「どういうことだ? 入れ替え戦でシミターレに負けたのに」
「今朝、シミターレさんが退学したらしいのよ」
「なんだって!?」
「それで、すぐに緊急職員会議が開かれて、私がA組に上がれることになったの!」
「そうだったのか。よかったな。おめでとう。
「ありがとう! ヤッちゃんが首席。私が2番で卒業すれば、一緒に勇者パーティーを組めるよね」
「お……おう。まあ、そうだろうけど」
「がんばろうね! じゃあ、もう授業が始まるから行くね!」
モナが姿を消すと、いつものように俺の周りにクラスメイトたちが集まってきた。
「モナさんがA組かあ……すごいねえ」
「私もライバルとしてがんばらないと」
「まさかモナさんと付き合ってるの?」
「ヤニック君、モナさんとパーティー組むの?」
「いや、付き合ってないし! パーティー組むっていうのも、あいつが勝手にいってるだけだし! G組の俺が首席で卒業できると思うか?」
「なーんだ」
「よかったー」
「まだ私にもワンチャンあるのね」
「私だって!」
赤いラケットの力は確かにすごい。
今のところ完全に無敵だといってもいいだろう。
だが、それも昼間の戦いに限られる。
実際、昨晩はコトネの機転でうまく切り抜けたものの、ほとんど負けが決まっていたような勝負だった。
それに、おそらくA組にはシミターレ以上の力をもつ者もゴロゴロいるだろう。
現状まだ、トップになれる自信はない。
今日は珍しく何事もなく1日の授業が終わり、1学期最後のホームルームの時間になった。
担任のアンヌ先生が教壇に立つ。
「1学期は本当にいろいろありましたが、みなさん、おつかれさまでした。でも、夏休みだからといって練習をおこたらないように。では、2学期からF組に上がるエルミーさん、みんなに何か一言お願いします」
指名されたエルミーは、ゆっくりと立ち上がった。
「今回は運よくF組に上がれましたが、気を抜かないで、さらに上を目指してがんばります。みなさん、お世話になりました」
教室内に拍手が起こった。
優等生らしい、無難なあいさつだ。
だが、エルミーの話には続きがあった。
「私がいなくなるので、次のクラスリーダーを決めなければいけませんが、私はヤニック君を強く推薦します」
「……えっ?」
驚く俺をよそに、教室にはさっきとは比べものにならないほど大きな拍手と喝采が巻き起こった。
「賛成!」
「異議なし!」
「エルミー、よくいってくれた!」
「ヤニックくーん!」
「ヤーニック!」
「ヤーニック!」
「ヤーニック!」
すると、アンヌ先生がいった。
「ご静粛に。みんなは賛成のようだけど、いいですか、ヤニックさん?」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ。クラスリーダーの仕事なんて、俺ぜんぜん知らないんだけど」
「大丈夫です。私が指導します。手とり足とり」
エルミーがそういうと、アンヌ先生はうなずいた。
「それなら安心ですね、ヤニックさん」
「はあ……」
「では、決まりですね。エルミーさん、着席して。F組でもがんばってね」
「はい!」
エルミーは着席して、俺にウインクした。
まあ、いっか。
クラスリーダーといったって、仕事はたぶん、生徒会の連絡事項をクラスのみんなに伝えるぐらいだろ。
*
エルミーの話では、今日は放課後に1学期最後の生徒会集会があるということで、俺をみんなに紹介したいということだった。
面倒だが仕方がない。
放課後、エルミーとともに生徒会室に向かうと、全クラスのクラスリーダーが集結していた。
その中でも目立っているイケメンの3年生がエルミーに気づいて声をかけてきた。
「エルミー君は今日が最後の生徒会だったね。彼が後任かい?」
「はい、1年G組の新リーダー、ヤニック君です」
「──そう。よろしく。僕は生徒会長のレオナール。レオと呼んでくれ」
レオの握手は力強かった。
グロワール高校の生徒会長を務めるからには、かなりの強者のはずだ。
生徒会長といえば、首席候補である。
つまりレオは、ほぼ間違いなく将来、勇者の称号を得る男というわけだ。
確かに、なんとなくオーラのようなものを感じる。
「はあ、よろしくお願いします」
「じゃあエルミー君とヤニック君、すまないが急いで着席してくれ。今日は重要な発表があるんだ」
俺たちが席につくと、レオは教壇に立った。
「みんな、大切な話がある」
レオの言葉に、生徒会室は一気に静まり返った。
「昨日、となりのイポリ村に、魔王の攻撃があった」
ざわざわざわ。
「静粛に。イポリ村には急遽、わが国トップの実力を誇る7つの勇者パーティーが送り込まれたが全滅。そこで、王宮からわが校に召集令状が届いた。──3年A組の生徒には全員、魔王討伐のために戦ってほしいと」
ざわざわざわざわざわっ。
「僕を含めて3年A組の生徒は全員、明日から王宮で実戦訓練を積んだのち、できるだけ早く魔王討伐に向かうことになる。もしも……もしも僕たちに何かあった場合は諸君、わが校を──いや、わが国を頼む!」
ざわついていた生徒会室は、静まり返った。
あまりにヘビーすぎる生徒会長の言葉と急展開に、俺たちは言葉を失ったのだ。
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