慟哭するピエロ
誰でしょうね、毎週土曜の18時に投稿すると言ったのに丸一日遅れて投稿してしまう馬鹿者は。
私です、本当にすいませんでしたァァァァ!!!!
電話を受けて巴が実家へと帰る。
玄関から長くしかれている煌びやかなカーペットの上を歩き、リビングへと向かうとリビングの中央に置かれてあるソファへと深々と座って巴を待っていた髭を貯えた初老の男性がいた。
男は一つの領地の主かのように傲慢さを隠さない気配を纏い、巴の帰宅を迎え入れた。
「───────やぁ巴。久しいな」
片手に煙管を蒸す、時代錯誤の男性は巴の父である麻上徹也が挨拶を交わす。
煙管の臭いに不快感を感じ、巴は口調を荒くながら訊ねた。
「話ってなんだよ?
うぜぇ話ならやめろよな」
徹也は圧をかける巴に臆することなく、煙管の煙を吹きかけて答えた。
「そのウザイ話をしに来た。
もう、亜人種課は辞めて私の跡を継ぐのだ。
心ゆくまで遊んだろう、だから───────」
「ざっけんじゃねぇぞカス親!!」
自身の父の言葉を遮り、麻上はテーブルを荒々しく殴る。
テーブルにヒビが入り、相当な力を込めた麻上の拳から血が滴っていた。
しかし怪我を気にすることなく麻上は口調を激しく、怒りを全力でぶつける。
「ガキのやりてぇことを尊重できないってんならそのまま首吊って死にやがれ!!
いちいち言うのを辞めろつってんのにワンワンと喚き散らしやがって!!
調教されてねぇ犬か、あぁ!?」
テーブルを蹴り飛ばし、麻上が玄関へと向かう。
「巴、話はまだ終わって───────」
「話し掛けんな、ぶっ殺すぞ!!」
父の呼び止めは虚しく、巴は怒号を放ってドアを蹴り飛ばしながらリビングを後にした。
「・・・・・・誰が辞めてやるってんだ、オレはまだ」
何かを口にして、麻上は外へ出たのであった。
麻上が部屋をでた後、彼の父は「仕方ない」、と自身に言い聞かせ、電話を手に取る。
「もしもし、私だ。実はだね─────」
通話を終えると、徹也は壁に飾ってある家族の写真を見つめる。
忌々しげな視線の先には、巴の幼少期の姿が写っているのだった。
「・・・・・・お前が悪いのだ、巴よ。
素直に言うことを聞いていれば、痛い目を見ずに済んだというのに。
───────躾のなっていない犬だと?
それは自分だと、未だに分からぬとは愚かな息子・・・否、道化よ」
嘲笑を浮かべ、徹也は明日には訪れる息子の失脚を楽しみに胸を弾ませるのだった。
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翌日の十月二十六日、亜人種課はある話題で賑わっていた。
それは、麻上巴という亜人種課の中でも類稀の才能の持ち主の今までの悪行が、テレビで流れていたからだった。
虐めや、動物虐待・・・・・・果ては強姦など。
その全てが全国のテレビにて報道されていた。
運がいいのか悪いのか、顔だけはテレビでは伏せられていた。
そんなニュースの内容を見た早番の職員たちは麻上について話題がもちきりとなっていたのだった。
「どこか気性が荒い所があるとは思ったが、正直それは道化師に何かされたからでは?
と、思っていたのだがな」
「本当にな・・・・・・まさか素でそんなことを行っていたとは」
「ネットで見た噂だが、彼と付き合った女性の一人が薬漬けにされて風俗へ売り飛ばされたりもしたらしい」
次々に、彼への話題で溢れる。
当の本人である麻上は、所長室へ連行されて取り調べを受けていた。
本人がいたら、今頃はこの場の職員達に詰問されところだっただろう。
そんな彼らを気にする様子を見せることなく、光が入室する。
「おはようございます」
「あぁ、光さん。
ニュースを見たか? 君、確か彼と同級生だったろ?」
一人の男性職員が訊ねる。
瞬間、光が眉を顰めたが直ぐに取り繕い、答えた。
「えぇ、見ました。
勿論、噂になっていましたが・・・・・・当時の私は家族の事でそれどころではなくて」
光の言葉に職員がしまったと悔いる。
彼女は高校生の頃、父を亡くしている。
それは、彼女の義理の弟である鬼と人のハーフである少年の犯行であったと新聞にも載る程の大ニュースであったからだった。
と、いうのも光の父である麻上洸一は大物政治家であったからだった。
「す、すまない麻上くん。
私が不覚で───────」
「違うだろ麻上さん。アンタは大事な家族の二人をあのカスに奪われたんだろ」
職員の言葉を遮り所長室から出た一人の男が麻上に歩み寄る。
薄顔で、長身の男はどこか地味な雰囲気を放っていた。
光は男とは面識があった覚えはなく誰だろう、と困惑していた。
男に戸惑う光を見て、すぐに察した男が謝った。
「あぁ、すまん。
そういや初対面だったな。
俺は佐藤だ。アイツとは訓練生時代の頃の同期でな・・・・・・名前が地味って理由で虐められてたんだ。
それで鬱になって訓練校を辞めたんだが玄人さんが相談に乗ってくれてな今は訓練校を入り直して今頑張ってんだ」
「あ、な、成程ね!!
いきなりだったから戸惑っちゃって・・・」
「いや、ほんとソレは無理もないさ」
「それで、麻上くんの家族が奪われた、というのはどういうことなのだ?」
佐藤の発言に興味を持った、髭を生やした職員が訊ねる。
「あ、佐藤くんその話はやめ───────」
やめて欲しいと言おうとした、光を遮り佐藤が正義感故の暴走を開始させてしまった。
「麻上さんの家族の二人はあの悪魔に殺されたんですよ。
これは、都内の学生の間じゃ有名な噂でして。
大物政治家の麻上洸一は、クズの麻上巴に殺されたんだって。
麻上は、女子にくっそモテてましたからさすがに有り得んかって思ってたんですけどね。
アイツ、俺を虐めてる時に自分から語ったんですよ。楽しそうに」
「なに・・・・・・?」
髭を生やした職員が眉を顰める。
他の職員達も気になった様子で、佐藤を見る。
その様に快楽を得た佐藤がさらに言葉を紡ぐ。
「”十月三十日にオレァ人を殺した、麻上洸一と、オレと同じ名前のパチモンくんをよォ“
って言葉は忘れなかったよ、俺も衝撃すぎて頭がこんがらがったしな。
その後がもっと衝撃だった。だって光さん、君は麻上にレイ───────」
「佐藤くん、それ以上はやめて」
静かな怒りを込めた言霊を受けて佐藤は口ごもった。
そして彼女は職員に向けて、言葉を発した。
「後のことは想像にお任せします。
・・・・・・それと、確かに私は大事な人を失いました、麻上にだって恨みがあります。
けど、別に復讐をしたい訳では無いです。
自殺しようとした私を玄人さんが止めてくださり、そしてやりたいことが出来たんです」
「・・・・・・責めるわけではないと前提で言わせてもらう」
髭面の職員が再び声を発する。
どうぞ、と光が促した。
職員が少し葛藤して無言となったが、意を決して口を開くのだった。
「何故麻上に対してはキツイ言動を取っていたのだ?
やはり彼に対しての嫌悪感、または憎悪などがあったのではないか?
・・・・・・君の、やりたい事とはなんだ?」
「今はお答え出来ません、延時さん」
何故、どうしてだと訊ねようと延時は口を開く。
しかし、彼女の瞳を見て開いた口は自然に塞がった。
───────邪な理由ではないと、悟り安堵したのだった。
「ノブさんさぁ、いつも言ってるけどそういう質問攻めやめようよー」
「そうそう、貴方優秀なのにどうしてそうも人を傷付けるのかしらねぇ?」
同僚二人に言われ、延時は焦りながら手と首を横に振り否定する。
「いや、毎回言ってるが私はそういう意図は・・・・・・」
言い切る前に、女性職員が前へ詰め寄り延時に圧をかけながら延時を叱責する。
「それじゃあそろそろ治しなさいよー?
貴方、後輩達に鬼って揶揄されてるの自覚なさい?」
「え、私が!?」
目を丸め、ショックで動揺を隠し切れていない延時をそのままにして、女性職員の一人が光の肩に掌を添え、
「言いたくないなら言わなくていいからね。
後でそこの生徒にもキツく言っといたげるから」
優しく接した。
「・・・・・・ありがとうございます皆さん、本当に感謝しかありません」
深々と光が頭を下げ、その場にいる全員に礼を述べる。
───────その直後だった。
「てめぇら全員、死にやがれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!」
光の人生を潰した、その男の絶叫が、ドアから漏れ、オフィス内に響き渡った───────
あ、大阪漫遊の旅は楽しかったです(おい)




