幕間 食罪
残虐描写ありです、これもしかして18禁にした方が良かったかぁ?
───────美味しそうな、▉がいる。
でも、生はダメだ、調理をしないと。
……衝動が激動する、行動へと流転する。
それの足元に呪術を発動させて、噴水かのような勢いで炎が地面から噴出し、ジューシーに焼き上げたそのニクはとても苦しそうなカオを浮かべながらゼツメイしていた。
まるでブランド牛のように見えるソレを前に、僕は口元を垂涎させる。
「───美味しそうだ」
呟き、口いっぱいに頬張る。
後ろからコツコツと足音が聞こえる。
振り向くと、そこにはあの日のヒトガタがいた。
仮面のせいで表情は読めないけれど。
どこか嬉しそうな足取りなのが若干、苛立つところではあった。
───────お前も、ボクの餌だぞ。何を偉そうにして歩いている。
「“成功、成功”
“因幡 藤也クン。貴方は最高の殺人劇の主人公だ”
”カニバリズム、猟奇殺人……etc etc“
”コレはかの切り裂きジャックすらも凌駕する、史上最低のシリアルキラーとして後世に語り継がれるでしょう”」
クルクルと手元のステッキを巧みに回しながら、そのヒトガタはますます僕へと近づく。
「“そして、この殺人劇はここで急展開を迎えるのです”
“───狂った男は突如として、理性を取り戻す”
“そして、贖いを求め友人である青年と殺し合い───その根底に隠された生存本能を刺激され、友人を殺すのです”」
ゆっくりと、ゆっくりと男が近づく。
───ドクンと、なにか胸騒ぎがして、心臓が跳ね上がった。
逃げなければ、なにか大変なことが、取り返しのつかないことが起こる。
僕はその場から離れようと、足を動かす。
「“いけませんよ、殺人劇の主人公、切り裂きジャックの正当な、養殖の後継者”」
しかし、足が宙を浮き空を蹴る。
ステッキが巨大なマジックアームへと姿を変えて、僕を持ち上げていた。
松葉杖並の長さだったステッキは、いつの間にか、五メートル以上離れている僕を掴むまで伸びていたのだった。
そんな長さのステッキはゆっくりと。ゆっくりと、縮んでいく。
……断頭台を歩く死刑囚の気分のようだ。
どうにかしようと足掻こうと思考する。
しかし、無意味だと悟り、諦めてしまう。
「“貴方には筋書き通りに動いてもらわないと、カレの潜在能力を発揮できません”」
そんな余裕綽々とした様子でヒトガタは迫る、迫る、迫る。
「“さて、これにて殺人劇の第二幕です”」
ヒトガタは僕の頭を掴み───
「“さぁ、慟哭しろ。衝動に身を任せた罪悪感で流転しろ。新たなる切り裂きジャックよ”」
そう言い、僕の脳に呪力を流し込む。
───その瞬間、僕の認識は一気に激変する。
口の中に広がる、鉄のような味、生臭い匂い。
そして目の前に転がっているのは、僕が何故か美味しそうだと勝手に思い込んで、殺した───
「“あぁ、そういえばソレは人です。あなたと同じね。
おやァ? おやおやおやおや?
人の輪を外れちゃいましたねぇ”」
面白おかしく言う、この得体の知れないモノの言葉に僕は喉が焼き切れそうな程、慟哭した。
「─────あ、アァ……ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァァァ…………!!!!!!」
慟哭する、空に残響させる。
発狂せずにはいられない、絶叫しなければ、それこそ精神が壊れそうだった。
気持ち悪さに、抑えれなかった血筋の呪いに。
……止めに来てくれた共を殺めた、僕自身に。
そんな実に滑稽な姿の僕を見て、ケタケタと非常に嬉しそうに笑う道化師は、それはそれは楽しそうであった。
「“そうそう、アナタのお友達はアナタのことを捕まえる気満々ですよ?”
“ここからそこそこ近い位置にいます、北を約二キロくらい、ですかね?”」
───つか、まえる?
彼らは、そんなことをしようとしているのか。
こんなに人を、鬼を殺したというのに。
僕は……許されていい人間ではない。
……蒼龍にも言ったことがある。認めなければならないと。
認めて、前へと進む。それが例え、滅びの道だとしても。
当然だ。殺されなければ、赦されないだろう。
でも……まだ、そんな優しいことを考えているトモダチに感謝を覚えながら、僕はゆっくりと歩き始めた。
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