競走
お待たせしました!!
文が全く思い浮かばなかった男、桜野ですm(*_ _)m
唐突ですけど、僕の作家名の桜野は「さくらの」って呼び方なんですけど「ソプラノ」と発音似てる気がしてたんですよね。ホントに関係ない話ですけど
───────あれから、十数分経ったが蒼龍を見つけることは出来ず、アテもなくオレは迷路の中にいるかのように道に悩まされていた。
そんな時に、胸ポケットに入れていた携帯が着信音と共に振動を始めた。
番号は不明だったが……もしかしてと思いながら、オレは応答した。
「もしもし、源です」
『……私です、お昼は失礼なことを言って申し訳ありません』
───────声の主は、昼にオレと応対した風魔家の侍女、美江さんだった。
やっぱりこの人だよな。
「気にしないでください、あれはオレが悪いです。
ところで、どうしたのですかこんな時間に」
訊ねると、美江さんは少し躊躇っていたが、深呼吸してからオレに用件を伝えた。
『……源 未音さん。
貴方にお願いしたいことがあるのです』
決心しなおした、その声音はとても真剣で。
それでも、どこか泣き崩れてしまいそうな脆さがあった。
……蒼龍関連だろう、察したオレはなんでしょうと問うた。
『……依頼の前に、蒼龍様の行動を説明させていただきます』
言って、彼女は───────蒼龍の事を話し始めたのだった。
『……風魔家は、鬼狩り以外にも不祥事を行った鬼狩りの一族を抹殺する“処刑人”という役割を持っております』
つまり、蒼龍は不祥事を起こした鬼狩りの誰かを殺すために動いていると。
予想だが、源家の誰かとかだろうか?
……しかし、義博はやるにしろ証拠はしっかりと隠すタイプだ。
多分、蒼龍でも見抜けないだろう。
となると……いや、まさかな。
そうだ、そんなわけがない。きっと、義博か義貴が何か余計なことをして、お尋ね者となったのだろう。
『今回、不祥事を起こした……方は……。
───────因幡 藤也様。
蒼龍様との古いご友人で、あなたとも仲がよろしいとお聞きします』
しかし、そんな淡い希望は呆気なくと。
容易く打ち砕かれた。
……藤也が?
しかし、アイツはそんなことするようなやつでは無い。
何故か、ソレはそもそもアイツは無実の鬼を殺せるほど酷い性根をしていないというのは、高校からの付き合いでわかる。
鬼の血を引いている、オレだからこそ分かった。
アイツは、嫌悪で避けているのではないというのを。
「……どうして藤也が?」
『藤也様の家系……つまるところ因幡家のお話になります。
彼らは、鬼狩りを始めた当初はとても脆い一族だったのです。
元々身体能力が高い訳では無い、彼らの一族はとある暗示を用いることで身体能力を上昇させていたのです。
“鬼忌快壊”……鬼を忌み嫌い、快楽的に壊殺せよという呪いを代々植え付けてきました』
「……その暗示も、藤也が?」
その通りです、と美江さんが答える。
『しかし、その暗示も中途半端なものとなってしまったようで……幼い頃に、その異様な光景を見た蒼龍様が、当時の当主である藤也様の父をその場で殺めてしまったのです。
本来ならば、その暗示は現れることはないハズだったのですが───────……』
「ある時、暴走したと?」
『はい』
声が震えている。
今にも泣きそうに、感じられるその美江さんの声に心を痛めながらオレは現状の流れを仮組みする。
何者かによる似たような暗示、もしくは呪術の類で藤也が暴走を始め、そして蒼龍が処刑する為に追っている。
つまるところ、こんな感じだろうか。
時期は恐らく……田沼組掃討作戦の時期だろうか。
ちょうど、長期休暇をとったタイミングがその直後だし、大勢の鬼を手にかけて藤也が狂ってしまった可能性もある。
「……それで、美江さん。
オレに頼みたいこととは?」
もう分かっている。
言葉など、聞かずとも身体は自然に動いている。
足音で察してか、美江さんが『言わせるなんて酷い人です』と呟いて、本題を口にした。
『……蒼龍様よりも早く、藤也様を捕らえてください。
弟の朱雀様の件と言い、蒼龍様にはこれ以上、彼にとって大切な方を手にかけて欲しくないのです』
「わかりました。至急、蒼龍を止めるべく動きます」
……さりげなく新事実を知ってしまう。
そ蒼龍は弟を殺してしまっていた。
次は親友と来た。
そんな悲惨な経験、絶対にさせてたまるか。
通話を切り、オレは急いで蒼龍の元へと向かうのだった。
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過呼吸気味に胸を上下させて、オレは蒼龍と出会った場所へと戻る。
仕切り直すため、戻ったのはいいが状況はやや絶望よりだった。
なにしろ手がかりがない、つまりは見つけたくてもどうにもできない。
八方塞がりの状況の中。曲がり角の方からズル、と地面を這うような音が聞こえた。
……もしかして。
オレは、音の聞こえた方に走って向かうとその先には─────夥しい程の血を流しながら、地面を這う蒼龍の姿があった。
まさに地を這う蛇のように、蒼龍は苦しげではあったが、まだ何かを諦めていない表情を浮かべていた。
どこか悔しそうに、辛そうに顔を歪めている彼は、オレに気付いていない様子だった。
急いで手当をしなければ……!
「蒼龍!!」
「……未、音………か」
ダメだ、完全に死にかけている。
早く止血をしてやらないと、蒼龍が危ない。
仮に、死んでも手遅れだなんて思いたくない。
オレだって、四肢が潰れた状況でもこうして満足に動かせるようになるまでに至ったのだから。
───蒼龍の方へ駆け寄り、オレが手当をしようと手を伸ばす。
しかし、それを蒼龍は首を振って拒絶した。
「大、丈夫だ……じきに治る」
そして、よろめきながらも鎖を杖状に束ねさせて、身体を支えながら起き上がる。
よく見ると蒼龍の腹部から血は、確かに止まっていた。
なら、後は安静にさせるべく蒼龍を家まで送るだけだ。
「……お前と藤也の事情は聞いたよ、取り敢えずはお前を家に送る。
で、その後にオレは藤也の追跡を───」
「………ダメ、だ。
藤也を追う、ってんなら……俺を、殺せ……
藤也とは、否応にも、殺し合いに発展はしかねない、なら、人を殺せない、お前が行った、ところで死ぬだけだ……!!」
だが、オレの言葉が余計だった。
言わなければよかったものを、つい喋ってしまった。
蒼龍は最後の力を振り絞って、刀の柄を握る。
呪装具の鎖をまるで蛇のように空に這わせながら、オレを睨む。
満身創痍だというのに、その力強さはまさしく龍のように威厳のある眼光。
しかし、屈する訳にはいかない。
オレは、ポケットに忍ばせていたナイフを出し、刃を蒼龍へと向ける。
「……確かにオレは、友達を傷つけたくはない。
田沼組の時に、同期が何人か死んじまったし尚更な。
だからこそ、お前らには死んで欲しくない!」
眼光に負けじと、オレは吠える。
ここで圧されては、オレの努力は意味がなくなってしまう。
ふと、腹部を見ると蒼龍の傷口が塞がり始めている……なにか、呪術的なモノなのだろうか?
「……だから、高校の時、お前はやめとけっつったんだよ、未音……
オレは、オマエみてぇな甘ちゃんが、到底、人を殺せるとは、思わなかったからな」
「友達と、怨み相手は関係がない」
そりゃそうかなんて力弱く笑い、蒼龍の立位が崩れる。
やっぱり、無理してたんじゃないか……!!
蒼龍を受け止めようと腕を伸ばす。
「ホンットに甘いな、未音…」
しかし。小さな声と共に繰り出されるはこんな状態から放たれるとは到底思えない、重く鋭い一撃だった。
短刀の柄で、オレの腹部を思い切り突いた蒼龍は、膝を崩すオレを見て謝意と、暗い表情を浮かべたが、すぐに別の方に顔を向け、跳ぶ。
恐らく、藤也の所へ向かったのだろう。
「甘いのはお前だよ蒼龍。
これで気絶するワケないってのに、ホントにお前は……!!」
よろつきながらも立ち上がり、オレは蒼龍の後を追う。
……今の蒼龍は、怪我も相まってかかなり遅いし、さっき逃げられたのは閃光玉の影響もでかい。
追いつくことなんて、とても容易だった。
オレが声をかけるより早く、背後のオレの気配を感知したのか、観念したかのように、蒼龍が息を吐き出し、
「……困った、お前と殺り合う装備なんて持ってきてねぇぞ」
なんてことを言った。
完全に友達に接するかのような態度の蒼龍には、戦う意思なんて見えなかった。
「じゃあ協力するしかないな蒼龍?
利害一致の関係というか、競走だと思えばいいさ」
「なるほどね……いいぜ、乗った」
はにかむ蒼龍は、嬉しそうに涙を滲ませている。
やっぱり、蒼龍だって殺したくないよな。
さっき決意したばっかだってのにもう一度誓い直し、オレは蒼龍と藤也との戦闘を想定した話し合いを行うのだった。
キャラ紹介
煌月玄人
第1章にて未音の命を救った亜人種課の男。
現状における最強の人間として存在しており、その実力の上限も未知数となっている。
巨大な鎌を武器として扱うその姿から、『死神』と呼ばれ、恐れられている。
年齢……27
誕生日…1月1日
身長……189cm
好きなもの……未来ある若者の成長
嫌いなもの……腐った上層部
天敵……無し




