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月の光に導かれ

月光というゲームがあった。

忍者、魔法使い、道化師からいずれか選んで遊ぶゲームなのだが、それぞれ別ゲームにしろよ、という感じの、なんとも雑多で職業選択の差が大きく、ボリュームたっぷりのゲームだった。


俺は、そのゲームにのめりこんでいた。

課金もたくさんしていた。

だって、一番幅の狭い忍者ですら、スパイ、暗部、上忍、暗殺者、忍具開発者、などなど色々あるのだ。

魔法使いは魔女っ子から魔本作者、錬金術師、もちろん普通の魔法使いも。

道化師は一番幅広い。アイドルから俳優、歌手、かと思えば暗殺者まで!

更に、全てをコンプするとラスボスになれるのだ!

ラスボスカンストしたのは俺の誇りである。


ゲーム終了日、スペシャルミッションという依頼書が販売されていた。

月の導き、というミッションで、買うとシークレットな特典が貰えるらしい。

カンストさせたものにしか買えない依頼書で、忍者、魔法使い、道化師、ラスボスとあった。

もちろんラスボスクリアした。とても楽しいクエストだった。特典は次回作の招待券だった。結局それは開始されなかったけど。


【月の祝福を受けしものよ。目覚めなさい……】


 懐かしいNPCの声。月の導き。

 

 俺が目を覚ますと、半透明のウィンドウが宙に浮いていた。

 前世の記憶を思い出すと同時、スキルの知識が、力が、俺の中に流れ込む。


【月の導きにより、貴方は転生しました。複数のキャラデータをポイントに変換します……変換しました。アイテム付与開始します……付与しました。新システムインストールします……インストールしました。プレゼントを送付します……送付しました】


「……ええええええー!」


 俺は驚きの声をあげる。

 特典って転生かよ!!


 幸い、今日は日曜だ。半透明なステータスプレートを前に、状況を整理する。

 お、キャラ作成枠がある。10キャラまでで初期化されている。

 試しに新規作成を選択してみると、ステータスがとんでもなく高かった。

 これ使ってVtuberを気取ってみるのもいいかもしれない。

 色々見ていると、弟子入りシステムというのがあるらしい。

 

「これだ!」


 なんでも、変身アイテムを作って配れるとの事。

 やっぱり1レベルからが楽しいよね。

 ギルド作成っと! うおっ 俺が始めか。一週間アドバンテージが得られるよ!


 翌日、俺は変身アイテムを持って、学校へと行った。

 ちなみに、男子高の2年生でコスプレ同好会部長である。

 名門校なので一悶着あったが、そこはテストの点数を下げたら解散ということでゴリ押した。

 部員は俺を含めて5名。

 まずは俺、部長で特待生組の月美 銀星。

 同学年で副部長の美剣城 炎舞。仰々しい名前だが、武門の名家のドロップアウトである。

 女優と俳優の子でグレてたドロップアウトした鋏 美学。

 お家がお金持ち、頭脳明晰、肥満児なのが玉に瑕の甘木 玲里。

 すごい歴史ある名門の子だけど同じくドロップアウトした遠野木 鈴人。

 

 濃いメンツだけど、なんだかんだ信頼できるし、仲もいいと思っている。


「皆、聞いてほしい。凄い変身アイテムを手に入れちゃったから、Vtuberになろうぜ」

「Vtuber?」

「まあ、まずはこのパフを使ってくれ」


 俺は変身アイテムを配っていく。

 皆がパフ用のコンパクトを開けると固まって行く。


「キャラクター作成ってのが出たんだけどよ、部長」

「凄いだろ? まだ作るなよ。皆で方針相談しようぜ、副部長」

「は? は?」

「意味わかんねぇ。なんだ、これ」

「凄い、僕たち、これで世界の平和を守ったりするんですか?」

「俺としては魔法少女っぽい男の娘なんていいと思うんだ!」

「あ、性別欄でふたなり選べる」

「マジで!? じゃあそれにしようぜ!」

「……まあ、部長が拾ってきたんだし」

「ええ……」 

「本とクナイもあるよ―。全員分! 魔法使いと忍者になれるらしい」

「凄いな」

「凄すぎて引く」

「キャラと色決めようぜ! 俺レッドで熱血元気系な!」

「待った! 赤は俺が良い! リーダーじゃなくてもいいから!」

「そうだよ部長、赤は副部長に譲ろうよ」

「仕方ないな……」

「僕は紫にします。ですわ系で紫」

「紫!?」

「あ、じゃあ僕は白にしようかな。癒やし系白」

「クールな青で」

「赤青白紫かぁ。うーん。月の色で黄色にしようかな」


 そして、キャラを作成する。ふたなり、魔法少女系縛りである。

 出来ましたのがこちら。


「紅だっ 皆、よろしくなっ」


 ちょっと跳ねた赤毛のショートカットの元気っ子。本名炎舞


「白だよ―。よろしくね」


 ゆるふわパーマで、ほわほわしたおっとりな銀髪の子。怜里。


「紫ですわ。よろしくおねがいしますわー」


 紫のストレートの髪。だけど、不思議と違和感はなく、気品漂う子。鈴人。


「青。よろしく」


 青髪のショートカット。クールで冷静な子。美学。


「ムーン。よろしく」


 そして、金髪のおかっぱ、凛々しき子、俺、銀星!


「五人揃ってムーンチルドレン! かーわーいーいー!」

「俺が一番かわいい」

「いやいや、僕が一番でしょ」

「僕も悪くはないんじゃないですか?」

「俺。絶対俺」


 ということで、早速行動開始。

 

「まずはギルドに入って。そう。ムーンチルドレンってギルド。そうするとギルド権限が移譲出来るから、とりあえず部屋の改装権と改装ポイントを渡す。ギルドハウスだけど、公開することも考えて、それぞれの部屋をデザインしてくれよ。まだレベル低いからアイテム殆どないけど」

「OK OK」

「放送拠点は東京にしておいたけど、良いよね」

「人数多いし、いいんじゃない?」

「よっしゃ、日本人の性癖ぶっ壊そうぜ!」


 初期スキルの取得をして、部屋を整えて。まずは自己紹介動画の撮影である。

 一番初めに、システム紹介動画を作る。そりゃそうだ。これがなければそもそも始まらない。

 まず、私がギルド長権限でギルドカメラをセットする。

 

「本日より、東京の魔導ネットは、我らがムーンチルドレンが先制奪取した。私は司令官のムーンだ」

「ハートを燃やせ! 隊長のあかだぜ―!」

「衛生兵のしろちゃんですよー。皆のハートをよしよししちゃうよー」

「ハートをスナイプ……スナイパーあお!」

「気高く万物を見下ろす……偵察兵のむらさきですわ」

「我らは、今後東京、ゆくゆくは日本の魔導ネットを支配していくつもりだ。覚悟してくれ給えよ?」


 そして、声を合わせ、指で四角を描く。


「「「「「みんな一緒に! ウィンドウオープン! ムーンチルドレンで検索してね!」」」」」


 うん、上手く撮れたな。

 後はギルドの紹介文として、『ふたなりレンジャー爆誕! 皆よろしくね♡ 次回侵略は次の日曜日! と』


 早速放映!


 

 夕方、東京の空に大写しで画面が表示され、トップニュースになった。

 



















































【大体全部日本のせい】エイリアンが侵略してきた件【ツッコミが追いつかない】

 これだけ言わせて。

 魔導ネットってなんぞ


 名無しのエイリアン

 とりあえず、東京でのみ指で四角を書いてウィンドウオープンって言えば半透明のウィンドウが出る。検索するまでもなく稼働しているチャンネルは1つで、ムーンチルドレンのみ。出ている動画は一つだけ。一週間後に本格稼働らしい。


 名無しのエイリアン

 東京のみかー


 名無しのエイリアン

 心配せずともそのうち日本に広がるらしい。


 名無しのエイリアン

 謎技術こっわ


 名無しのエイリアン

 どうみても日本の文化を勘違いしてる


 名無しのエイリアン

 むしろ理解がありすぎるまである


 名無しのエイリアン

 コメント入力できないとか糞だな


 名無しのエイリアン

 とりあえず深夜番組に帰れ


 名無しのエイリアン

 エロゲの世界に帰れ


 名無しのエイリアン

 視聴者数とチャンネル登録数と知名度の上がりっぷりエグすぎワロタ


 名無しのエイリアン

 レベルがガンガン上ってる。視聴者数とかが関係あるのかな。

 

 名無しのエイリアン

 本当に侵略だったときのために準備する政府と自衛隊の皆さん可哀想。


 名無しのエイリアン

 エイリアンからの文化侵略だと思うんだけどね。


 名無しのエイリアン

 その前にエイリアンの文化を日本が侵略完了してね?


 名無しのエイリアン

 政府がエイリアンに映倫法への加入を呼びかけているwww

 

 名無しのエイリアン

 著作権もあるで


 名無しのエイリアン

 18禁を空に放映するのは止めてくださいという渾身のお願いwww


 名無しのエイリアン

 魔導ネットへの日本の加入要請もしてる。頑張れ政府

 

 名無しのエイリアン

 著作権関連は大事。

 



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