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それはいつか、魔王となりて  作者: 志位斗 茂家波
1章 旅立ちと始まり
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1-07 人が集う街

‥‥‥ドラムスさんたちの馬車にお邪魔して、一緒に向かうこと三日目。


 ついに僕等は目的地の街というエルモスタウンという所へ到着し‥‥‥



「~~という訳で、あの蜘蛛は彼の仲間だから問題はない」

「そう言われてもな、ドラムスさん。町に思いっきり大蜘蛛が入ってきた時点で、色々とびっくりする人が多かったんだ」

「まぁ、そうなんだよなぁ‥‥‥」


 到着して早々、街の衛兵たちの詰め所に僕らは向かわされていた。


 無理もない。馬車と並走していたとはいえ、それでもハクロは結構大きな蜘蛛の魔物だ。


 そんな魔物が堂々と町に接近して来たら、警戒する人が出てもおかしくはなかっただろう。




 とは言え、一応ドラムスさんたちの説明もあり、無事にハクロも一緒に入れる許可を得ることが出来た。


 全員でどうにかこうにか説明したのもあるけど、一番大きかったのはハクロが自ら説明できたところがあるだろう。


「というか馬車道中の合間に文字を教えたら、器用に糸で全部書き出すってすごいな」

【シュル♪】

「しかも読みやすくして、きちんと筋の通った話になっているとは‥‥‥このダークネスタラテクト、知能高すぎないか?」


 空中に糸だけで文字を作り上げ、説明をしている様子はすごかった。


 ぽかんと衛兵たちがあっけにとらている中でも、糸を器用に紡いでも説明していったなぁ。文字糸が説明だけに使われてまたほどかれるのはちょっと惜しい気もする。


 そんなことはありつつも、無事に入ることはできたが、このエルモスタラウンはまだ田舎の方の街のようだ。


「それでも十分、人がいると思うんだけど?」

「ここは辺境地だからな。人の手がより一層入っている場所よりも、凶暴な魔物や他国との小競り合いの血にもなりやすい。だが、その分魔物からの素材の得やすさや、他国との交流も活発であることから安く珍しい品を購入できるなど、辺境ならではの利点もあるからこそ人も多いのだ」


 エルモスタウンは辺境の街だが、実はこの街が所属する国というルルンバ王国の中では結構栄えている方でもあるようだ。


 辺境ならではの強みを生かすことによって、活発に人が動くのである。


「さて、我々はここでいったん解散するとしよう。そうそう、ジーク君、ここには冒険者登録が可能なギルドがあるから、そちらへ向かい冒険者登録をしておきたまえ。旅路をするうえで、冒険者になっておいた方が色々とお得だからな」

「そうさせてもらいます。ありがとうございました、ドラムスさん」

【シュルシュル】

「いや、こちらこそ賊共の襲撃で手助けをしてくれたことに感謝する。また機会があれば出会おう」


 そう言い残し、商会の人達と僕らは分かれる。


「さてと、それじゃ冒険者が集うギルドへ向かおうか、ハクロ」

【シュル!!】


 出会いがあれば別れもあったけれども、今生の分かれとではないので、僕等は気持ちを切り替えてここのギルドへ向かうのであった…‥‥


「‥‥‥そう言えば、どこなんだろう?」

「おいおい、いきなりそこかよ」

「せっかくだから、こちらも護衛依頼達成の報告があるから、一緒に来るか?」

「お願いします」


‥‥‥うん、商会の護衛に冒険者の人達がいてよかった。


 そうじゃないと、ギルドにすぐにたどり着けなかったかも。






―――――――


 拝啓、王都内のギルド会議へ出席されたギルド長へ。


 あなたは今、何をしているのでしょうか。


 私ですか?ええ、今はちょっと…‥‥



「‥‥‥ダークネスタラテクトを連れた少年を、受付嬢のアリアに任せ、報告書を書いています』、っと」

「いや、手紙を書いている場合ではないでしょ副ギルド長ー!?思いっきりとんでもないやつを任せ、ギルド室で現実逃避の手紙を書くって、何やっているんですか!?」

「うるさいわね!!私だって命が惜しいのよ!!こんな時にのほほんっと王都へ出張したギルド長がいたら、全力で腹パンして相手させているわ!!」

「確かに普段サボり気味でこういう時に謎の勘の良さで、遠くに逃げるギルド長を殴ることは同意しますけどね!?」


 エルモスタウンに設立されている、冒険者ギルドの二階にあるギルド長室。


 ここでは今、ギルドを代わりに収めている副ギルド長と職員たちが言い争っていた。


 事のきっかけとしては、とある魔物が目撃されてちょっとした騒ぎになった事ではあったが、まさかのその件の魔物‥‥‥ダークネスタラテクトを連れた少年がここに来たことである。




 カクカクシカジカと、彼を連れてきた冒険者たちに聞けば、商会の護衛以来中に襲撃してきた賊への対応中に、救援してくれた者たちらしい。


 まだ13~14ほどにしか見えない少年なのはまだ良いのだが、その彼が連れてきている魔物の方が、ギルドにとっては大問題であった。


「ダークネスタラテクトって、別名『悪夢の闇蜘蛛』だとか『闇夜の襲撃者』とか言われるような、やばい奴なんだけれどもぉぉぉ!!若い時に討伐依頼が出て向かったことがあったけど、あれはもう二度と思い出したくない凄惨な戦いがぁぁぁ!!」

「副ギルド長!!盛大にのけぞって叫んでも現実は現実です!!しかも副ギルド長の所感としては当時の奴よりもはるかにヤバそうな奴って時点で、誰も救いようがない話しです!!」

「けれども落ち着いてください!!街を守る衛兵たちがきちんと報告書を出しており、安全だと言われています!!ですからどうか、落ち着いてここはギルドのトップ代理をしている副ギルド長が対応してください!!」

「そんなことを言われてもトラウマしかないのよぉぉぉぉ!!」


 うぉぉぉぉっと嘆きまくる副ギルド長に対し、どうしたものかと押し付けたいギルド職員たち。


 その押し付け合いの結果、まだここに就職して間もない受付嬢が対応させられているのだが、流石に滅茶苦茶すぎるのは分かっているので、きちんとギルドのトップが出て話してもらいたいのである。


 だがしかし、運が悪いことにここのギルド長は普段サボり魔のくせに勘が良いのか逃げ切っており、対応できるはずの副ギルド長は若いときに何やらトラウマを負っていたようで、まともに対応できていない。


 それでも、ギルドとしては夢を見る年でもありそうな若者が、冒険者になってほしいのだが…‥‥その仲間にダークネスタラテクトがいるのはどうなのだろうか。



「副ギルド長、大変です!!ダークネスタラテクトの危険度をよく知らない、D~Fランクの馬鹿がちょっかいをかけ始めています!!」

「大変です!!馬鹿共が素材狩りだとか言って、襲い掛かろうとしています!!」

「ギルド内での私闘や、他者のもつ魔物としての従魔への勝手な攻撃は禁止されているはずなのに、破られています!!」


「なんでさらにトラブルが舞い込んできているの!?ダークネスタラテクトの怒りを買ったら、それこそここが終わるわよぉぉぉぉぉぉ!!」


 言い争っていても問答無用で状況は動くようで、トラブルも一緒にやって来たらしい。


 ダークネスタラテクトに関してよく知らない馬鹿共が、勝手にやらかそうとしている話を聞いて副ギルド長は顔を青ざめさせる。


「暴れられる前に、即収束を急いで!!」

「そ、それが少年の方に既に殴りかかったという情報が!!さらにタラテクトに対して斧が投げつけられました!!」

「げぇっ!?」


 最悪の事態になりかけないことが報告され、青を通り越して白くなっていく副ギルド長。


 このままではまず確実に、ここは終わる‥‥‥と思っていた、そんな時だった。


「副ギルド長!!無事に収束しました!!」

「本当!?なんとかなったの!?」

「何とかなりました!!少年が殴ってきた相手を投げ飛ばし、タラテクトは斧を糸で掴んで傷を負わず、逆に襲ってきた馬鹿共をぐるぐる巻きにしているそうです!!」

「さらに、タラテクトが糸を使って会話をしており、馬鹿共へ説教を行っています!!」

「いや本当に何がどうなってそうなっているの!?というか、ダークネスタラテクトが説教って、何でぇ!?」


‥‥‥どうやらギルドの危機は去ったらしいが、新たに出てきた情報に混乱に陥っていく。


 こういう時ばかりは、立派な建前で逃亡したギルド長が羨ましくもなりつつ、大変な状況下で放置されていることに関して全員怒りも抱くのであった。




 

始めて来た、多くの人が集まる街。

森から出て、ようやくここで出発するかのような気分にもなるだろう。

それで、何やらトラブルもあったようだけど…‥‥

次回に続く!!



‥‥‥今気が付いたが、大抵ナンバー1の地位の人がのらりくらりとしているかもしれない

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