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それはいつか、魔王となりて  作者: 志位斗 茂家波
1章 旅立ちと始まり
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1-04 仲良くなったのはいいことだ

 ピラニアックモンキーを埋め立てて二日目。


 治療をしたとは言え流れ出た血液分の回復を待ちつつ、確実にやれたと確認できるまで野宿をしたが、どちらも無事に済んだ。


「頭がくらくらするとか、そういうのはない?」

【シュル!】

「ピラニアックモンキーの絶命を確認できた?」

【シュル!!】


 今の健康状態を確認すればすっかり治ったようであり、掘り起こしたピラニアックモンキーはしっかりと息が絶えていた。

 

 これなら出発しても問題は無いけど、ちょっと蒸し焼きにし過ぎたのか真っ黒こげになっていたので、ピラニアックモンキーの可食部が駄目になっていたことは残念である。


 とりあえずアンデッド化しないように、更に念入りに火葬して埋め立てつつ、僕らは歩み始めた。




「それにしても、大きいねハクロ。見た目だけだと蜘蛛の魔物ってことは分かるけど、何の種類何だろうか?」

【シュルルゥ?】


 魔物の種族名は魔障の森で爺ちゃんに教えられていたところは分かるけど、見たことがない奴とかは分からない。


 多分、人のいる場所ならばその手の事を教えてくれる人がいるだろうし、そこで学べるかもしれないけれども、こうやって森から出るだけでも見たことがないものと出会うのは驚くことだろう。


【シュル!シュルルル】

「ん?どうしたの…ああ、なるほど。前方の方に大きな牛の…あれは知っているやつだ。確か、ロデオモッス!全身を震わせて体当たりを仕掛けてくるやつだけど、焼いたお肉は結構おいしい奴だ!!狩るぞ!!」

【シュルル!!】


 爺ちゃんから学んだことのあるモンスターの群れがちょうど来ていたようで、すぐに僕らは狩りを始める。


 そこそこの強さを持つ牛の魔物でもあるが、彼等には一つ大きな弱点があるので、そこを突けばかなり楽に倒せるのである。


「ハクロ!ロデオモッスは眉間に魔核があるからそこを狙えばいいよ!!大きな衝撃を与えれば痺れて動けなくなるから、そこで一気にやるよ!!」


 魔核。それは魔物たちだけが持つ心臓のような役目を持つ器官でもあり、魔道具と呼ばれる類で使用できる燃料となる不思議な石。


 魔石と呼んだほうがしっくりきそうなものなのだが、どうも魔物によっては石の形状だけではなく、ドロドロとしていたりプルプルとしていたりと、完全に石ともいえないので核という事で統一しているらしい。


 そしてその魔核は同時に魔物たちの急所にもなり、大きな衝撃を与えれば動けなくなることもあるのだ。


‥‥‥だったらピラニアックモンキーも魔核を狙えばよかったんじゃと思うけど、初遭遇したので位置が分からない。核となる場所とわかっていても、人の心臓のような位置にあるわけじゃないのだ。


 その為、魔物を狩る際はできるだけその魔核の位置を把握できていたほうが都合がよく、いざとなれば狩りやすくもなる。


 ただし中には例外と言うのもあるのか、一つとは限らず複数持っていたり、かなり強い魔物だと魔核は大した弱点にもならないので、完全な急所とならないのが残念でもある。


 まぁ、今回はものすごく分かりやすい位置なので、楽々と狩ることができ‥‥‥数分後にはあっさりと、十分な量を僕らは狩る事が出来た。狩りつくさずに、残しておいた方がまたいつか遭遇できるから、多少逃げていたとしても問題はない。



「ふぅ、とりあえず解体作業と血抜きか‥‥‥この辺だと、あの木にぶら下げれば良いかな?ハクロ、手伝って」

【シュルル】


 糸を出してもらい、仕留めた獲物の足を縛り上げ、木に吊るす。


 ざっくりとナイフで切り付けて、どくどくと流させて待つ。血がある状態で下手に解体すると滅茶苦茶べったりするし、ある程度抜いた方が軽くもなる。

 

 ただし、血の香りが広がるので、できれば風通しの良い所で流すか、河の方で流れに乗せてしまうのもありかもしれないが、ここはそんなに長いする気はないからね。


「お、もう抜けきったかな?あとは解体して、ちょっと早いけど昼食を取ろうか」

【シュルル♪】


 血を抜いた場所からは少しはなれ、見通しのいい場所で周囲に警戒をしながらも、昼食の用意に取り掛かる。

 サクサクと肉を解体して火をおこし、そこでじっくりと焼き上げるのだ。


 本当はもうちょっと良い調理場や調味料があればよりおいしくなるけど、ロデオモッスの肉はシンプルに焼くだけでも非常に香ばしい香りが漂う。


 ああ、中までじっくり焼き上げないといけないのもあるかな?中途半端に焼き上げるとまだ肉自体は生きているのか震えまくって気持ち悪い食感になるんだよね。


「このぐらいで良いかな?ハクロ、それじゃ食べよ」

【シュル!】


 木を切って削って作り上げたお皿に盛りつけ、食べ始める。


 ハクロの場合はさらになくても良いようだが、丁寧に糸で縛り上げて吊るして食べ始める。


「うん、美味しい美味しい。しっかりと焼けているね」

【シュルシュルル♪】


 もぐもぐと食べつつ、残ったお肉は少し焼き上げ、軽く干しておく。


 いつでも手に入るだけでもないし、干し肉にしてちょっと蓄えるのだ。‥‥‥それでも多少残ってしまうのは廃棄しかないのがもったいない。



 

 食べ終え、ゆっくりとお腹を休め、そろそろまた出発しようとした‥‥‥その時だった。


【シュル?シュル、シュルル】

「ん?どうしたのハクロ?あっちの方に何かあるのか?」


 また何かを見つけたようで、今晩の夜食としてちょうどいい獲物があったのかと思い、目を向ける。


 ちょっと見にくいのでカバンから爺ちゃんが入れていたらしい双眼鏡を出して確認すると、獲物がいるわけではなかった。



「あれは‥‥‥人かな?でも、なんか争っているな?」


 馬車とか言うものが傍にあり、何やら争っている様子。


 爺ちゃんの話だと、盗賊だとか山賊だとか、とりあえず悪党っぽいのもいると聞くが、あの襲っている集団がそうなのか?



「せっかく人を見つけたんだ。助けて人のいるところを教えてもらおう!!」

【シュルル!!】


 取りあえず僕の走りでは間に合いそうにないので、ハクロの背中に乗せてもらい、すぐさま襲撃現場へと直行するのであった…‥‥



…‥‥あれ?そう言えばハクロって結構大きい蜘蛛の魔物だけど、それがいきなりやってきたらさらなる襲撃として勘違いされないかな?

普通に考えて、大蜘蛛の襲撃は救援と思えないかもしれない。

というか、襲撃している側されている側、双方混乱するかも。


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