その後
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俺は、一週間入院した。その間は、当然喫茶店は休んだ。現在は、退院している。
日曜日、あなたがいる時だけは店に立った。あなたは、変わらず俺に笑顔を向けてくれる。
そして、オムライスを食べている。
「遼さん、もしよかったら今度の日曜日に出掛けませんか? 」
「えっ?」
「いきなりですみません。このお店以外にも会いたいと思ったので。もちろん、体調が良ければですけど……」
「行こう。俺もそう思っていたから」
「いいんですか?無理はしなくていいですよ」
「無理はしてないよ。久しぶりに外に出かけたいんだ」
「ありがとうございます」
こうして、俺にとっての初めてのデートがスタートした。
楽しかった。あてもなく、ブラブラと歩いたり、気になるお店があったら入ってみたりした。さなえちゃんを家まで送ることにした。
本当は、俺がもうすぐ逝ってしまうことを言おうと思っていた。
「さなえちゃん、聞いて欲しいことがあるんだ」
「何ですか? 」
「俺は、……」
いざ、言おうと思うと言えなくなった。
「遼さん。私も話したいことがあるんです」
「うん」
「私は、遼さんのことが好きです。一緒にどこまでも生きませんか?」
さなえちゃんの告白を聞いて、心が温まった。生きてるって感じがしたけど。
「遼さん? 」
「俺もさなえちゃんのことが好きなんだ。でも、一緒に生きれない。俺は、もう一年も生きれないって医者に言われたんだ。さなえちゃんは、まだまだ人生永いんだ。それに、さなえちゃんは高校生だ。高校を卒業したら大学に行くか、就職とかするんだろ?この先も俺なんかよりも、もっと好い人がいるよ。だから、ごめん」
「『だから、ごめん』って、何ですか?私の好きって気持ちはダメなんですか?私は、遼さんが好きなんです。遼さんが一年も生きれないなんて、その時にならないと分からないんじゃないですか?高校生だからダメなんですか?まだ、進路は決まってません。進路が決まって、新しい環境になっても、私が一緒に生きていきたい人は、遼さんなんです。遼さんじゃないとダメなんです」
「俺も、さなえちゃんと気持ちは同じだ。さなえちゃんが高校生だからダメなんじゃない。俺が一年後も生きていても永くは生きれないと思うんだ。俺が死んだら、さなえちゃんを悲しませて、泣かすことしか出来ないんだ。俺は、さなえちゃんの笑顔が好きなんだ」
「私は、遼さんが死んだら確かに泣いてしまうと思います。それは、悲しくて泣くんじゃないです。遼さんがいなくなって、寂しくて泣いて涙を流すんです。それぐらい、好きなんです。そうなってしまっても、遼さんと生きていきたいんです」
「本当に、良いの?俺で」
「遼さんが良いんです」
「俺は、さなえちゃんとだったらどこまでも一緒に生きていたい」
「はい!よろしくお願いします」
「うん、よろしくお願いします」
こうして、俺の最初で最後の彼女が出来た。