あれから
あなたは、あれから何度もオムライスを食べに来るようになった。そして、俺たちは自然と話すようになった。
話をして最初に知ったことは、あなたの名前が成瀬さなえ。そして、近くの高校に通っている高校二年生だ。部活は美術部で油絵を描いているそうだ。
「どんな絵を描いてるのですか?」
「私は、抽象画てす。こんな絵を描いています」
と、写真を見せてくれた。すごいと思った。 あなたがこの作品を描いているなんて想像が出来ない。
「すごいですね。さなえさんの絵、とても好きです。私には、とても描けません」
「ありがとうございます」
あなたは、照れてた。素直にかわいいと思った。
俺は高校に行ってなかったから、あなたの話はとても新鮮だった。
あなたは、おこづかいを貯めながらオムライスを食べに来ているようで、それは毎週日曜日に必ず店に現れる。
一週間に一度しかあなたに、なかなか会えなくて 寂しいと思った。
俺は、あなたの名前を呼んだのはお客様だからだ。俺は、あなたのことを聞いて知っているのに、俺自身のことは、全く話してない。
それは俺とあなたが、ただの喫茶店の店員と客という関係で終わらせたかった。お互いのことを知れば知るほど、どんどん好きになってしまうから。
お客様のことを知るのも店員の務めである。あなたにとって、俺を楠木遼ではなく、ただの店員でいいと思った。あなたは、薄々俺のことを知ってるのかもしれない。
他の客の中でも常連客には、遼君と呼ばれてるから。世間話の中に俺の話が入っているから聞こえたかもしれない。
俺は、あなたのことを好きになっては、ダメなんだ。あなたのためにもこれだけはダメなんだ。
もしかしたら、あなたを悲しませることが起こるかもしれない。俺もあなたのことをただの店に来る女子高生と思おう。俺は、絶対に恋愛感情を持たない。
他のお客様のように世間話をするだけでいいんだ。そのときの俺は、俺自身にそう言い聞かしていた。
あなたが店に来る度に、俺の心臓はおかしくなる。ドクドクとうるさいし顔が熱くなる。
そうなる度に俺は、あなたのことをただの女子高生のお客様と言い聞かしながら接客をする。
俺の心臓のドクドクや顔が熱くなるは、身体が弱いからなることだ。だから恋愛感情でなるのではない。俺は、だんだん自分自身にそういい聞かすようになった。
恋愛感情といっているが、これはドラマや漫画の影響であって、実際はどんなものかは分からない。
今の俺は、もうあなたに恋いてるかもしれない?
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