出会い
俺とあなたが出会ったのは五年前。
俺のバイト先に、あなたがお客さんとして店に来た。
俺のバイト先は、昔ながらの喫茶店。よく来る客といえば、近所のおじいちゃんとおばあちゃんで若い子はほとんど来ない。若い子が来るのは、おじいちゃんたちにつれられるお孫さんぐらいだ。
まあ、俺が昔ながらの喫茶店で働いているかというと、俺のおじいちゃんとおばあちゃんがここを営んでいるからだ。
若い子が好むような、今時のオシャレなお店でもない喫茶店。今日も常連客の声で店はにぎやかだ。
だから、俺は、あなたがこの喫茶店に現れたのに驚いた。そして、あなたはすごく目立ってた。俺は、あなたの接客をした。
「いらっしゃいませ。ご注文が決まりましたら、お呼びください」
「あの、おすすめは何ですか？」
「今日のおすすめは、オムライスです」
「じゃあ、オムライスと、オレンジジュースもお願いします！」
「ぷっ」
オムライスと聞いたあなたの顔は、子供のように輝いていた。かわいいなと思って、思わず笑ってしまった。
「いえ、かわいいと思いまして。失礼しました」
「・・・」
「ご注文は、オムライスとオレンジジュースですね。少々、お待ちください」
俺の言葉を聞いたあなたは、顔を真っ赤になった。それを見て、俺は恥ずかしくなった。
先に、オムライスをあなたの席に運んだ。あなたは、まだ顔を真っ赤にして固まっていた。
「お客様、お先にオムライスをどうぞ。お客様？」
と聞くと、あなたは肩をビクッとして、俺に気がついたようで、慌てて会釈をした。
あなたは、オムライスを見て、さっきまで真っ赤にしていた顔から、子供のような笑顔になった。
そして、勢いよくオムライスを食べた。その食べっぷりは、見ていてとても気持ちよかった。
オレンジジュースを運ぶ時に、笑ってしまったことの謝罪としてアイスをサービスした。最初は、頼んでないアイスが来たのを驚いたがすぐに気にしなくなったようだ。
あなたはお会計をするときに、言ってくれた。
「オムライスとても美味しかったです。また、食べに来ますね。あと、アイスのサービスありがとうございます」
「いえ、こちらこそ、ありがとうございます。またのお越しをお待ちしています」
その後の俺の顔見て、おじいちゃんがニコニコとしながら言ってきた。
「どうしたんじゃ？嬉しそうな顔して。もしかして、さっきの子に一目惚れをしたのかい？」
その言葉に、一瞬にして身体中が熱くなった。
「そそんなじゃないよ。俺は、恋愛なんて出来ないよ」
と、思わず言ってしまった。俺自身、驚いてるのだ。一度、会っただけの女性に恋なんてするはずがない。俺みたいなやつは、一目惚れ何てするかと思っていた。
それに、俺は、恋愛をしないって決めたんだ。俺の言葉を聞いたおじいちゃんは、辛そうな顔をしていた。
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