託して
きっと、これが物語の最後になると思うから。
今の気持ちとか、色々書くね。
短くなると思うけど。
また、奇跡が起こってくたら、いいのにね。
そう何度も、奇跡は起こってくれない。
今、これを書いていること事態が奇跡かもしれない。
意識が戻らないまま死んでもおかしくなかったから。
それでも、俺は幸せだったんだ。
俺は、不安なんだ。
俺が死んだら、さなえちゃんは立ち直れなくなるかもしれない。
さなえちゃんは、叶翔が、いるからって無理をするかもしれない。
そうときは、周りに頼っていいからね。
俺は、笑顔のさなえちゃんも、好きだけど。
無理をせずに、泣きたいときは、泣いていいんだからね。
この物語を読んで、立ち直れる、いや前に進めることを願って、俺の人生をこの物語に託しておきたかったから。
俺は、自分が生きたという証を残したかった。
だから、俺はさなえちゃんと過ごした、出会いから現在までの八年間の日々の物語を書いたんだ。
さなえちゃんのお腹のなかに新しい生命が生れた時に、この子に、なにか残してやりたいと思って物語を書こうと決めた。
さなえちゃんと出会ったときからの日記を元にその時から書き進めていた。書くのって、思ったよりも大変だったな。
さなえちゃんと叶翔に、内緒にしていた。
他のみんなは、知っている。
それはね。叶翔が、まだ、さなえちゃんのお腹のなかにいるときにね。
さなえちゃん達の実家に行ったことがあっただろ?
その時に、さなえちゃん以外の成瀬家に、俺がその場にいないときのことも物語に書きたいから教えて欲しいって頼んだんだ。
それと、俺が死んだときにこれを渡して欲しいって。
さなえちゃんが、俺のことを寂しいって思ったときに読んで欲しい。
叶翔にも見て欲しい。俺のことを興味を示した時でもいいから。
大人になった時でもいいから。俺のことを知って欲しい。
俺には、お父さんの記憶がなくって寂しかったから。
叶翔にも、そんな思いをして欲しいくなかったから。
俺は、さなえちゃんに出会えて良かった。
さなえちゃん、俺の最愛の奥さんになってくれてありがとう。
叶翔、生まれてきくれありがとう。
お父さんって読んでくれてありがとう。
叶翔の成長を見届けなれないのが心残りだ。
家族の温もりを知ることができて良かった。
俺が、見えなくなっても、さなえちゃんのそばにいるから。
俺が、いなくなっても、これからの人生を、幸せであることを願います。
さなえちゃん、愛してます。
一緒にどこもまでも生きてくれてありがとう。
楠木遼
遼の最期に書いた物語です。
読んでいただきありがとうございます。