表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/80

 草履を脱ぎ、ミラモは長い廊下を歩いていく。日の光が入ってくるため、暗くはない。


 本来の城なら、窓は木の板や格子がはめ込まれているため、もっと暗いはずだ。


 だが、この城の窓には、無色で透明なガラスがはめ込まれている。


 灯かりも、ろうそくなどではない。


 花の形をしたリムが間隔をあけて置かれている。


 すぐに消えないリムもいる。

 小型のものが多く、この花の形をしたリムは一ヶ月以上存在することができる。


 時間が経つと花びらや葉が消えていく。それであとどれほど使えるのかわかるのだ。このリムは、夜になると明るくなる。


 光を放つのである。


 正面に、二人いた。


「上へ」


 ミラモは先ほどと同じように身分を示した。


 一人は係の者ではなく、自分を待っていたらしい。


 銀色の扉が開く。


 材質は、やはりリム由来の金属。

 ミラモとその男が乗り込んだ。


 エレベーターである。


 新世界なら内側に操作をする部分があるが、こっちでは外にしかない。


「やっぱり城にエレベーターってのは、どこかおかしいと思いますよ、俺は」


「しかし、便利でしょう」


 男は扉の方を向いたまま、静かにそう言った。箱が上がっていく。


 あとそのスーツ、ワイシャツ、ネクタイ、ベルトの姿も。


 暑そうだ。今日でも二五度はあるだろう。

 五階だったか。まだ上はあるが、箱はそこで止まった。


「このまま、執務室へ」


 男が先に降り、ミラモも続く。


 城は縦だけでなく、横にも長い。


「どうぞ」


 男はすぐそばに立てて置かれていた靴を二足持ち、ミラモの前に置いた。


 床は同じ木の板だが、ここからは洋風になる。


 ミラモは黙ってそれを履いた。


 いつも草履で、しかも裸足なので慣れないことであった。


 歩き、一度右へ角を曲がり、その左の扉。


「ミラモ・アキシアル様をお連れ致しました」


 執務室と書かれた扉に向かって、男はそう言った。


 扉は前後に開閉する洋風のものだ。


 少し離れたところから、入れ、という声が返ってきた。


 首相以外にも何人かいるようだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ