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家の中は変わらず、片づいたままだった。
窓から入ってきたあの男の靴についていた細かな砂利が、わずかに散らばっている。
変わったのは、それぐらいか。
いや、あと自分の周りにパンのくずが落ちているな。
シイカはベッドの上にいた。
外枠は、リムの金属でできている。
もう一人か二人は眠れそうな広さである。
他に、机や少し背の低い本棚なども、ミラモが作ったものであった。
全てが、変わった。
トルストおじさんがパンや肉の燻製や、果物を持ってきてくれるようになった。いつも、玄関に置かれていて、顔はほとんど合わせていない。
学校へ行かなくなった。でも、もう数日で長い休みに入るので、ちょうど良かった。
ミラモがいなくなった。
ここからもっと西側の海の近くの墓地に、ミラモの墓ができた。骨もちゃんとしまっておいた。
また、一人になった。




