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【長編ダークファンタジー・完結済み】朗読者の戦記  作者: 佐藤さくや
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 機関銃も爆薬も、当然、新世界の技術をどこかの朗読者がこの旧世界に広めたせいで作られたが、運悪く、朗読者は鍛冶屋にもなることができるのであった。


 つまり、構造さえわかれば、いくらでも練成で実物を目の前に具体化できるので、結果、簡単に量を作れてしまうということになるし、改良、進歩も早くなる。


 翼竜は旋回し、西へ頭を向けた。


 おそらく、雲より少し低いくらいの高さである。

 下はよく見える。飛び立った山を越えていた。

 さらに、しばらく風を切る。


 見下ろした先は広く、点々と光っている。ミラモは星老の街の上空へと達した。見張りも敵の敷いた陣も、うまくやりすごした。


 人を殺し続けるには信念が必要だ。殺すに見合うだけの報酬も。金のために、人を殺し続けられるのであれば、それも信念と呼んでいいと思う。


 それらは数年も経てば、あまり必要なくなるが、やはり慣れるまでは必ず持っていた方がいい。頭がおかしくなる、ということから、自分を守ってくれる。ここは旧世界だ。自分と戦うのに手段を選んでいるだけの余裕はない。


 翼竜の背に木箱を置き、手榴弾三つをとり出す。細長い部分を指にはさみ、三つを左手に持った。右手で木箱を放り投げた。


 翼竜は羽ばたきを止めた。練成で体を固定する。


 ぐるりと体を回転させ、翼竜は下を向く。


 落ち、再び風が始まる。


 なぜかミラモは笑いたくなった。時々こうなるが、理由はよくわからない。ただ、笑いたくなるだけなのだ。だから、笑ってはいない。


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