40話ーお城、終了のお知らせ
お待たせしました
地下牢の中に侵入することが出来た私だけど…
ユウどころか誰もいない。
兵士以外スッカラカンじゃない。
兵士必要あるの? これ、
「それにしても、ここにいる必要ってなんなんだろうな」
「まったくだ。だがまぁ、これだけで、金が貰えるんだ。いいじゃないか」
がははははと、笑っている兵士。
やっぱり、こいつらも思っている事は同じみたいね。
まぁ私には関係ないけども。
それにしてもこの場所にはいないみたいだし、どこかの部屋に閉じ込められているのかしらね。
空いている扉から戻り、階段を上る。入り口で札の回収は忘れずにする。
スキルでユウの魔力見つけられればいいんだけど、なんかで妨害してるのか何にも感じられない。
前はそんなんじゃなかったのに。
とにかく、これじゃ1つ1つ探していくしかないから面倒ね。
とりあえずここ、いない。
ここもいない。
ここにもいない。
ここにも……
扉を片っ端から開け続け10分くらい。
まったく見つからない。
この階制覇したんだけど…
2階行くか。
……ん? 念のため発動していたスキル"魔力感知"に複数の反応があった。
なにこれ。1階だけ妨害してたの?
どうせやるなら全部の階やりなさいよ。適当ね。
まぁ、いいわ。助かるし。
それに……
「…見つけた」
ユウの魔力反応。
でも、それだけじゃなくて近くに複数の反応もある。
…あれ、でもこれ、2つだけ動いてるわね…
片方はユウだけど、もう1つは誰かしら。
とりあえず、ユウの近くにある反応以外は全て各部屋の中だったらしいので、ユウの所まで一直線に廊下をすすむ。
場所は一番奥だった。
扉に耳をあてて音が聞こえるか試してみると、何も聞こえない。
防音かしらね。
「…まぁ、いいわ」
そして、私は扉を開いた。
中は灯りがついているみたいですごく明るい。
そして、至るところに倒れている大量の兵士。気絶しているみたい。
前を見ると、
何故か、ユウとクソ勇者が剣で打ち合っていた。
…ん?
リュミナの話だと怯えてたんじゃなかったっけ?
なんか、めっちゃ楽しそうにクソ勇者と打ち合ってるんだけど…?
……え?
そんな感じで困惑していると、
「…ん? あぁ! リリィだ!」
ドンッ! …ガッ! ガガガッ! ……ドォォン!!
ユウが私に気づくと、クソ勇者を吹き飛ばし、地面を削りながら壁にぶつかった。
そして、こっちに手を振りながら小走りでやってくる。
「…え…えっと…本当にユウ?」
「そうだよ!」
だきっ!
とでも、効果音がついても良いくらいに、ユウが満面の笑みで私に抱きついてきた。
…あ、これ死んだわ。
…と、いうのは冗談として、
「ユウは一体何をやってるの?」
「…え、気づいたら知らない部屋のベッドの上にいて、色々と探検してたらここにたどり着いて、そしたら勇者がいて、お話ししてたら、襲いかかってきたから、適当に相手してた」
「そ、そう…」
「しかも倒しても倒しても起き上がってくるの! …ゾンビだね」
いや、私はユウが勇者を倒せていることにびっくりなんだけど。
リュミナの、あの話は一体…
「ねえユウ。リュミナが言ってたんだけど、ユウが怯えてたって」
私がそう言うと、ユウが今思い出したかのような顔をした。
「ああ! 忘れてた。あれ違うの。リュミナの記憶が改竄されているだけだから、気にしないで」
「そうなの? それならよかっ…ん?」
なんか今すごい事言わなかった?
「本当はね、私が誰かに操られていたみたいで、その子がリュミナの記憶を改竄して、私をここに連れてきたみたい…ごめんなさい」
しゅん、と、うなだれる。
え?
待って…待って。
えぇと、つまり、リュミナの話は嘘で…ユウが誰かに操られて…ここにつれられてきたってわけ……
……いや、誰よ! その操ったやつは!?
「犯人は誰なの!?」
ユウの両肩を掴んでがくがくと揺らす。
「し…知らないよ……で、でも…もう大丈夫だから、心配しないで……! あと、揺らさないで」
「…くっ……犯人に会ったらぶっとばしてやるわ」
ふつふつと怒りが込み上げる。
…あっちで倒れてる勇者にこの怒りぶつけてやろうかしら。
消し炭にしてやるわ!
「あ、あはははは……そ、そうだリリィ! リリィもやろう!」
「何を?」
ユウは私の手をとって、空いている手で勇者の方を指差す。
……ユウ、あなたまさか…
「ゾンビのごとく起き上がってくる勇者を倒す遊び!」
「乗ったわ!」
「…のるんじゃねぇぇぇよぉぉぉぉ!!?」
気絶していたクソ勇者が起きあがって叫んだ。
……ち、起きたのね。
さすがに、起きている勇者をぶっとばすと、指名手配されてしまうからやめといた方がいいわね。
……あれ、そしたら、ユウはもう指名手配?
……うん。その時は、逃げましょうか。みんなで。
「…はぁ…はぁ…はぁ……くそっ、こんな、可愛いくせして、どんだけつえーんだよ……はぁ…俺、勇者…なのに……」
息も絶え絶えな勇者は剣を支えにしてやっと立っている状態だった。
「勇者って言っても、あなたはまだまだひよっこでしょ。私達を倒したいなら、もっと精進しなさい」
「…くそ……お前ら…俺に、こんな事して…ただですむと思うなよ……こっちには、王がついてるんだからな」
「……あ」
ユウがまるで今気づいたかのように声をあげる。
ユウ…さっき自分で勇者って言ってたでしょ。
「そういえば、外の兵士は増えてたのに、中に全然兵士がいなかったのは、ここで倒れてたからなのね」
至るところの倒れている兵士を見回しながら言う。
ざっと見て100ちょいってところかしら。
「安心して! みねうちだから」
はいはい。偉い偉い。
頭を撫でとく。
「まぁ、どうして、国王が勇者側についてるのかは知らないけど、そうね……出ましょうか、ここを」
家はあるけど、これといって大事な物は置いてないし、王都でしか活動できない訳じゃないからね。
国王が勇者側についてるのも、十中八九勇者が何かしたからでしょうし……
むしろ、Sランクである私が抜けたとなると、困るのはそっちでしょうし…
これを気に旅に出るのも悪くないわね。
「ごめんなさい……迷惑かけちゃって…」
「何を言ってるのユウ? むしろ私が今から迷惑かけてごめんね」
…チッ……チチッ……ヂヂヂッ…!
「え? リリィ?」
私の体に雷が纏わりつく。
ユウはそんな私を見てポカーンとしている。
…さてと、死なない程度にいきますか。
「…お、おい、待て……まさかとは思うが……お前」
「大丈夫よ。みねうちだから」
たぶんね。
…ドッガアァァァァァァァァァァァァァン!!!
その日、城にどでかい穴が空いた。
王都編本編はこれにておわりです。
なんか短いので、次行く前に、番外編としてほのぼの百合物語でも出します。
こんな話が良いという方いたら、言ってもらえればそれにしますね。特に無さそうだった場合は、なんか適当に、、、
ちなみにユウは誰が自分を操ったのかは気づいています。たぶん読者の方も気づいてるんじゃないかなぁと思ってたり…
後程出ますはい。
それではありがとうございました。m(_ _)m
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