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第34話ー依頼5個目 討伐依頼

 適当なレストランで昼食にしたあと、再度ギルドにやってきた。


 「これを受けましょう」


 ボードから持ってきたのは、一角ラビットの討伐。…あ、言っておくけどDランクだからね。Dランク。


 証拠の部位は、角。ちなみに、根本から折れてるやつでなおかつ、綺麗に折れているなら、報酬がアップする。


 「またAランク持ってくるかと思ったけど、さすがに大丈夫みたいね」


 「次持ってきたら、ハンマーで叩いてやるっていってたから楽しみにしてたのに」


 「はん…!?」


 …な、なんておそろしいことをしようとしていたのシエルは。さすがに、ハンマーで叩かれたら、重症よ私。…普通にしておいてよかったわ。


 「どれにしたのー?」


 てててーっと、ユウが小走りでやってくる。…か、かわいい。


 「この一角ラビットの討伐。部位は角ね」


 「ラビット…? うさぎ?」


 「うさぎ? 一角ラビットよ?」


 何を言ってるのかしらユウは。


 「え? うさぎじゃないの?」


 「だから、いっかくラビット、よ」


 よくわからないけど、ユウが小首をかしげてポカーンとしてる。


 ユウは一角ラビットをうさぎ? って言葉で教えられたのかしら? 一体どこの出身なのよ。魔族でさえ一角ラビットって言うのに。


 「とにかく、行きましょう」


 「う、うん」


 「私は先に帰ってゆっくりしてるわ。お風呂とか準備してるから」


 「私、買い物して、家帰る」


 ここでまさかの別行動。いえ、まぁ良いのだけれど。


 「わかったわ。ユウ! 行きましょう!」


 「う、うん!」


 ユウと2人きりだ。どうして、2人が別行動とるのかはわからないが、これはまたとないチャンス。ここでおもいっきり仲良くならないとね。


 「わかっているとは思うけれど、リリィ。変なことはしないようにね。もし、帰ってきてユウの態度がおかしかったら……」


 「…ハンマー」


 「だ、大丈夫よ!? 何もしないし! 変な事してくる奴いたらちゃんと殺すから!」


 まったく、私が一体何をしたっていうのよ。ユウの身は完璧に守るわ。


 「…それなら、良いのだけれど」


 「任せた」


 そうして、シエルとリュミナはユウを撫でてからギルドから出ていく。


 「よし、行くわよユウ!」


 「うん! がんばる!」






 毎度お世話になっている森にやってきた私とユウ。私が近くにいる魔物を見つけて、ユウに倒させるつもりなんだけど、


 「…いないわね」


 さっきから出会うのはスライムばかり。しかも、そのたびにユウが一瞬でスライムを魔法で殺している。嫌われたものねスライムも。私も嫌いだけど。


 「ユウは魔物の場所とかわからないのー?」


 特に期待してるわけでもなかったけど、何気なく聞いてみる。すると、


 「ちょっとやってみる」


 ユウが目をつぶって立ち止まった。


 …本当にこれといって意味もなく聞いたんだけど…できるの? 


 「…向こうにうさぎがいる!」


 そういってユウは歩きだす。…え? もしかして、本当にできたの? …気のせいかしら。


 ……私いらなくない?


 そう考えると、しょんぼりとしユウのあとを追いかける。すると、本当に魔物の気配があった。


 逃げられないように気配を消して、ゆっくりと近づく。ユウは普通に歩いているけれど、一角ラビットにバレている訳じゃないみたいだから、気配は消しているみたい。


 これといって指示したわけじゃないのに、気配までちゃんと消してるって、ユウって実は天才? 


 「それじゃ行ってくる」


 「ええ、気をつけて」


 十分な距離まで近づくと私はその場に止まり、ユウは走る。


 …はぁぁぁ、はっやいわね~。


 ユウの身体能力ってどうなってるのかしら。ステータスが気になるわね。…でも、なにやら訳ありみたいだから聞くことはしないけど。


 「取ったぁー!」


 「キュウゥ!?」


 一角ラビットを捕まえてはしゃいでるユウを見て思わずクスリと笑う。


 「ふふ…ユウどうして捕まえてるの? 角とらなくちゃ」


 「…はっ!? そうだった」


 私が言うとユウはナイフを持ち、一角ラビットに刃先を向ける。


 「ね、ねぇリリィ。これ、殺さないとダメなの?」


 ぷるぷると、震えながら聞いてくる。…あ、やばい。かわいい。


 「んー…角だけ切っちゃえばいいんじゃない? それならその子も痛くないし。どうせまた生えてくるから」


 「え、でも、…討伐は?」


 「強暴な魔物なら当然討伐は必須だけど、一角ラビットは、比較的おとなしい方だし大丈夫大丈夫」


 それに、実際討伐しないで部位だけ持ってきて依頼完了するやつとかいるしね。


 「そっかぁ。よかったぁ」


 スパッとミスリルナイフで角だけを切るユウ。そしてそのままナイフと角を地面に置き、何故か一角ラビットをもふもふしだした。


 「はぁぁぁぁ……もふもふだぁぁ…!」


 「…な……なぁ…!」


 ……なんてうらやましい……!! 私もユウにもふもふされたい!! それとしたい!


 「ユウ! 帰るわよ!」


 「もう少しぃ…!」


 もふもふ。もふもふ。 ……うぅ……うぅ…!


 「もふるなら私をもふりなさいよぉぉぉぉぉ!!」


 「ひぇ!?」


 「キュウ!?」


 おもわず大声を出してしまい、驚いたユウは一角ラビットをつかんでる手を離してしまい、逃げ出してしまった。


 「あ、あの、リリィ…?」


 「…なによ」


 おそるおそるといった感じで話しかけるユウ。…終わった。これは嫌われたわ。


 「…も……もふもふ……!」


 「……え?」


 怒られると思ったが、何故かユウは真っ赤な顔をして、私に抱きついてきた。


 …………え?


 「り、リリィが…もふれ…って、いうから……」


 「……ユウぅぅぅぅぅ!!」


 ガバッとユウに抱きつく。…あぁ、邪魔する2人はいないし、今日は最高ね! 


 「……っ! もう! 終わり!」


 よほど恥ずかしかったのか走って戻っていく。……って、ちょっと待って!?


 「そっち帰り道じゃないから!!」


 ユウを追いかけながら、また1つわかったことがある。


 ユウは、


 方向音痴かもしれない。

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