第25話ーencounter
まさかのブクマ100越え……本当にありがとうございます。これからもよろしくおねがしますm(_ _)m
あれから、さらにメイジ、大盾持ちとその数を増やしたゴブリンであったが、なんとかまだ押されずにいた。その原因はというと、
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
まさに神速といっていいほどのスピードでゴブリンを殺しまくっている少女の存在があったからだ。
「…Sランク冒険者……"神速の雷神"の二つ名持ち。その名も……リリィ・イングルジード」
「かぁ! やっぱ、人間業じゃねーな。くそっ」
「仕方ないわよ。AランクとSランクには大きな壁があるもの」
各々が、この光景を見て言葉をこぼす。
「こら! あなたたち! 休んでないで戦いなさい! こっちは一度戦ってから来てるのよ!!」
"神速の雷神"こと、リリィが、Aランク冒険者対して文句を言う。
「わかってる…さ!」
やってきたゴブリンに対して、武器をふるい応戦する。
「…まったく、最初はちゃんと戦ってたと思うけど、わたしが来るとこれだから……」
リリィは小さく愚痴を言う。そして突っ込む。
「…それにしても妙ね」
リリィの攻撃は高速で動きながら敵を倒しつつ、大群に突っ込み雷魔法による範囲攻撃。一見無謀にも見える戦闘方法だが、これが神速の雷神と言われる、Sランク冒険者、リリィ・イングルジードだ。
それゆえに、このゴブリン達の妙な雰囲気に気づいてしまった。
「…最初はわからないけど、今のこいつらは……戦っているようで戦っていない」
そう。リリィは大群に突っ込むからこそ、ゴブリンの後方の状態も見ることができる。だが、ゴブリンを監視、動きを報告している冒険者がいたはずだ。なのに、リリィ以外誰もその妙な雰囲気に気づかない。それはなぜか……簡単なことだ。その冒険者はあくまで遠い場所から、スキルを使って監視していた。近づいてゴブリンに気づかれないために。スキル"遠視"これは遠い所を見るためのスキルである。そして、その冒険者のスキルレベルでは、ゴブリンの細かい動作や表情までもは、見ることができなかった。だから、ゴブリンが来たという報告くらいしか、役に立っていない。
そして、リリィが突っ込んだ時に見たものとは、武器を持ち構えてはいるが、無表情。殺気も感じられない。屍、ゾンビ、いわゆるそれに類するものだった。
「見たことのない大盾を持ったゴブリンといい、何かしらの黒幕がいると考えた方がいいかしら?」
そんなゴブリンを斬って斬って斬って、時には雷を落とし黒こげにする。
最初、リリィの考えではゴブリンキングがいるのだと考えていた。だが、この光景はゴブリンキングがいるような感じではない。そもそもゴブリンキングはある程度ゴブリン達の統制はとれるが、ここまで戦術的な統制はとれるわけがない。
こんな人間じみたやり方の統制は。
「…人間、エルフ、獣人、竜人、ドワーフ、そして…魔族」
この中で一番怪しいのあ魔族だろうとリリィは考える。魔族には、魔物を従える魔法があると聞く。どの程度の魔物を操れるかは、術者次第にはなるが。今回従えているのはゴブリン。そして、ゴブリンは魔物の中でも弱い方だ。ゴブリンだけしか操れないなら、術者もそこまで強くはない、とも言える。
「…この数だものね」
ゴブリンの数は10万を越えると聞いている。いくら弱いゴブリンと言えど、10万も従えているとなると、術者はそうとうな腕前といえる。
「…そしてこの武器も」
ゴブリンの武器は主に短剣が多い。アーチャーなら弓矢、メイジなら杖。メイジは今回関係ないので省くが、ゴブリンは自分の武器に"毒"を塗る習性がある。これは、自分達が弱くても毒で敵を倒すために塗っているものだ。
リリィはゴブリンの持っている武器を何回も見ていたが、どの武器にも、毒らしき物は塗っていない。ただの短剣、ただの矢。
「…たぶん、目的は別。……でも、どこ?」
黒幕が一体何がしたいのか、リリィにはわからない。わからないからこそ、イラつく。今ここで戦っている場所とは別の場所で、何らかの物語が進んでいるのが。本当に……イラつく。
イラつきが収まらないまま、リリィはゴブリンを倒していると、急激に膨れ上がる魔力を感知した。
「…っ! これ、は!?」
その魔力は一瞬にして消えてなくなったが、どう考えても何かしらの起こっている証拠だ。
「シエル! リュミナ! 聞こえる!?」
『ええ』
『うん』
リリィは、独自で持っている"長距離連絡用魔道具"を起動した。同じく持っているアリシエルとリュミナに。
「私は今からさっき感じた魔力の所に行くわ! こっちは任せたわよ!」
『わかったわ。まかせなさい』
『わかった』
魔道具をしまい、さっき感じた魔力の方に向かう。
「何が起こってるのか知らないけど、黒幕ならぶっとばしてあげるから覚悟しなさい!!」
そして、1分ほどで魔力が感じた場所についたリリィだが、そこで見たのは、ちいさな少女のごめんなさいという言葉と、その少女に抱かれている、大量の血を流している1人の女性だった。
サブタイ意味は、出会い
これにてゴブリン編終了です。
次回、後日談
そして
「ちいさな神様の間違えで異世界に転生してしまいました」
以上。m(_ _)m