表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/13

4話 男の人の意地ってくだらないですね

 決まりました。

 今の私、かっこいい!


 ピンチに颯爽と現れるヒーロー。

 一度、やってみたかったんですよね。


 これでサタンも私のことを見直して……


「こんな時に邪魔するつもりか!?」


 あれ?


「くそっ、今はお前の相手をしてるヒマはないんだ! どいてろっ」


 あれ? あれ?


「おいっ、ユニ! こいつのおもりをしてろ!」


 あれ? あれ? あれれれ?


 私、邪魔者扱いされています?


「お、お姉ちゃん……雑魚一般人だとここは危ないから、私の後ろに……びくびくと震えていてもいいですよ?」

「いえ、あの……私は援軍に……」

「あっ……ま、魔王さまが戦いに……早く離れましょうっ。魔王さま、周りを気にするほど繊細な方じゃないから、普通に巻き込まれるよ」

「えぇ」


 反論する間を与えてもらず、私は後ろに連れて行かれます。


 代わりに、サタンが前に出ます。

 イフリートと対峙して……


 次の瞬間、二人の姿が消えました。

 いえ。

 姿が消えたと錯覚してしまうほどのスピードで動いて、剣で切り結びました。


 ゴォッ!!!


 刃と刃が激突して、それだけで衝撃波が生まれます。

 周囲にいた魔物が吹き飛ばされました。


 巻き込まれたらたまらないと、敵味方共に、慌てて避難します。


「このクソガキがぁあああああっ!!!!!」

「おとなしく魔王の座を明け渡せっ!!!!!」


 二人の闘気が激突して、嵐のように吹き荒れます。

 その中心で、苛烈な攻防を繰り広げるサタンとイフリート。


 その光景に、私は違和感を覚えました。


「うーん?」


 なんで、魔王と四天王の一人が互角なんでしょうね?

 普通に考えて、圧倒的な力の差があると思うんですが……

 その差がないから、反逆されたんでしょうか?


 やれやれ、情けない人ですね、サタンは。


「ぐあっ!!!?」


 力比べに負けて、ついに、サタンが撃ち落とされた。

 ドゴッ、と地面に叩きつけられます。

 まるで隕石ですね。


「おーい、生きてますか?」

「ぐっ……や、やかましい。っていうか、お前、まだこんなところにいたのか」

「いますよ。助けてあげますよ、って言ったじゃないですか」

「いらんっ、帰れ!」

「なんでそんなに拒むんですか? 私が人間だから? 関係ないから?」

「男が女にすがりつけるわけがないだろう!」

「……はぁ?」


 え? この人、マジで言っているんですか?

 今時、そんな全時代的なことを真面目に言っているんですか?


「アホですか?」

「んなっ!?」


 サタンが何か言おうとするが、私はそれを許さずに、さらに畳み掛けます。


「あなたが名も地位もない、ただの雑魚なら、それも構わないでしょう。好きに生きて、好きに死ぬといいです。ですが、今のあなたは魔王なんですよ? 勝手に死ぬことは許されません。あなたが死んだら、付き従う魔族はどうなるんですか? イフリートが王座についたら、どんな目に遭わされると思っているんですか? わかっているんですか? わかっていませんよね。だから、そんな適当なことを言えるんです。いいですか? ズバリ言いますよ? あなたのしていることは、ただの自己満足ですっ!!! 魔王失格ですねっ、今すぐ田舎に帰って畑を耕してきてはどうですか!?」

「むぐっ……うが……ぬぐぐぐ……!?」


 小娘が生意気なことを、というような顔をしていますが、でも、私の言っていることは正しいことです。

 現に、サタンは反論できません。


 はい、論破。

 やれやれ。

 魔界の王さまも大したことありませんね。

 これじゃあ、魔界の未来が心配になってしまいますね。

 いっそのこそ、イフリートに代替えしてもらった方がいいんじゃないでしょうか?


「だから、全部聞こえてるんだよぉおおおおおっ!!!?」

「あらまあ」

「あらまあ、じゃねぇえええええぇぇぇっ!!!!!」

「あらまあ」

「ぶっとばす! イフリートより先に、お前をぶっとばしてやるっ!!!」

「はい、それはまた後で。とりあえず、うるさいので黙ってくださいね」

「はぐっ!?」


 サタンのみぞおちに一撃。

 完全に不意をつかれたらしく、サタンは空気を求めるようにパクパクと口を動かして……そのまま気絶した。


「ユニちゃん、でしたっけ?」

「……ふぇ!?」


 一連のやりとりを唖然と眺めていたユニちゃんが、ビクッと震えて我に返りました。


「この人、お願いしますね。すぐに終わらせてきますから」

「え? え? え? すぐに……えぇえええ???」


 説明している時間はなさそうなので、強引にユニちゃんにサタンを預けました。


 イフリートに向き直ります。


「そこのあなた! 今度は、私が相手になりますっ」

「……なんだ、お前は?」

「魔王サタンの娘です!」

「ほう……サタンに娘がいたか。それは知らなかったな。ふむ……言われてみると、どことなく面影が……」

「なわけないじゃないですか。ウソですよ、ウソ。ぷーくすくす、簡単に騙されちゃって……恥ずかしい人ですね」

「……コロスっ!!!」

「わわわ!?」


 いきなり斬りかかってきました。

 沸点の低い人ですね。

 ちょっとからかっただけなのに……


 ダメですね。

 この人は、からかうに値しない人です。


「どこのどいつか知らぬが、俺を侮辱したこと、後悔してあの世へ行くがいい!」

「私、120歳まで生きて大往生する予定なんです」


 イフリートが振り落ろした剣を素手で受け止めます。


「なっ!?」


 イフリートは動揺していますが、これくらい、私にとってなんてことのない普通のことなんですよね。

 伝説の剣ならともかく、ただ燃えてるだけの剣なんて怖くありません。

 レベル1億のステータスを舐めないでくださいね?


「バカな!? 魔王すら退けた俺の剣が、こんな小娘に……!!!? ありえないっ、このようなことはありえないぞ! 間違っているっ」

「テンプレの台詞ばかりですねー。もうちょっと、楽しいこと言えないんですか? ほら、私を楽しませてください。おもしろいことを言ったら、ちょっとは手加減してあげますよ? ほらほら、イフリートさんの本気みてみたーい♪」

「この小娘がぁあああああっっっ!!!!!」

「あっつ!?」


 イフリートが激高すると同時に、全身が激しく燃え上がりました。

 天まで届きそうなくらいの火柱が立ちます。


「殺すっ、殺すっ、殺すっっっ!!!!! この俺を愚弄する者はコロスッ!!!!!」

「あー……冗談が通じないなんて、心の余裕がない証拠ですよ? ダメダメですねー」


 今の絶対に煽ってただろ……なんて声が周囲から聞こえてきましたが、無視します。

 きこえませーん。


「そんなに熱いと、迷惑ですよ、あなた? というわけで……」


 私は拳を握りしめて、

 イフリートの懐に潜り込み、

 体重を乗せて、


 炎の体を打ち貫くっ!!!


「ぐはぁあああああっ!?!?!?」


 イフリートの体がよろめいた。


「おー、今の一撃を耐えますか。さすが、四天王と呼ばれるだけのことはありますね」

「あ、ありえんっ……なんだ、コイツは……我は魔族なのだ! 最強の一角である、四天王なのだ! それを、こ、このような小娘に……たかが人間ごときに……ありえんっ! 絶対にありえないぞっ!」

「現実が見えていないみたいですねー。逃避するのが悪いこととは言いませんが、戦闘の最中は、さすがにどうかと思いますよ」

「人間は人間らしく死ねぇっ!!!」

「もうちょっと、体を動かしてもいいかなー、なんて思いますが……あっけなく終わっても、見ている方もつまらないですしね。でも……あなた、危ないので、もう終わっていいですよ♪」


 一度、距離をとり……

 そして、駆ける!


 空気の壁を突き破る感覚。

 音速を越えて……

 その速度と勢いを乗せて。


 イフリートを殴りつけた!


「さようなら。あなたの出番は終わりですよ。おやすみなさい」

「ば……か、な……!!!? ばかなぁああああああああああっ!!!!!?」


 私の一撃で、炎の塊が弾けて……

 吹き飛ばされて……


 どごーんっ!!!


「あ」


 吹き飛んだイフリートが魔王城の塔の一つに当たりました。

 ごがががっ、と派手な土煙を立てて塔が崩れ落ちました。


「……てへ♪」

「てへ、じゃねぇええええええええええぇぇぇっ!!!!!」


 意識を取り戻したサタンが絶叫するのでした。

ブクマや評価が、更新を続けるモチベーションになります。

少しでも「面白い」「続きが気になる」と思っていただけたら、

ブクマや評価をしていただけるとうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ものの新作を始めてみました。
↓のリンクから飛べます。
勇者パーティーを追放されたビーストテイマー、最強種の猫耳少女と出会う
よかったらどうぞ。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ