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13話 レベル1億の姫さまは、今日も明日も自重しない

「で……なんだ、これは?」

「見ての通り部屋ですよ? まさか……これがどういうものなのか、わからないんですか? サタンの『知恵』のステータス、ちょっと危険じゃありません?」

「俺が言いたいのはそういうことじゃねぇーよっ!!! 人がちょっと魔王城を離れた隙に、なんで勝手に部屋をリフォームしてるんだ、ってことを聞いてるんだよ!!!」


 怒鳴るサタン。

 そんなに叫んで、喉は大丈夫なんでしょうか?

 他人事ながら心配になってしまいます。


「心配してんなら、叫ばせるようなことをするなっ!!!」

「あらまあ」

「このアマっ!!!」


 だんだん、私の扱いが雑になってきましたね。

 まあ、サタンに紳士のような対応は求めていないので、別に構いませんが。


 それはともかく。


 ユニちゃんとシルフさんがいない時で、よかったです。

 あの二人、一応、サタンの部下ですからね。

 勝手をしてると知られたら、どうなっていたことか。


「で、言い訳はあんのか?」

「ありませんよ」

「ほほう、潔いじゃないか。なら、今すぐにコレを元に戻してもらおうか」

「それはできません」

「なんだと?」

「がっちりと組んでしまいましたからね。今更、バラすことはできませんよ。どうしてもというのならば、壊すしかないですね」

「ぐっ……なら、さっさと壊して……」

「そうなると、私の居場所もなくなりますが……代わりの部屋は用意しているんですか?」

「むぐっ」

「ここなら、私、普通におとなしくしていますよ。快適ですからね。というか、以前の牢屋が粗悪すぎたのです。だから、仕方なく、こうして改造したわけです。一国の姫を人質にしているのですから、待遇はちゃんとしてください。まったく、気がききませんね」

「正論かもしれねえがむかつくなあああああっ!!!」


 サタンが窓の外に向かって吠えていました。

 通りかかった部下が、何事かと驚いています。


「ともあれ……これで、快適に過ごすことができます。これからもよろしくおねがいしますね」

「俺は、よろしくしたくないんだが……」

「またまた、心にもないことを言って。このツンデレさん♪」

「うおっ……今、ものすごい寒気が……!」

「うれしくないんですか?」

「ツンデレ言われて喜ぶ魔王がいてたまるか!」

「ここにいるじゃないですか」

「既成事実みたいに言うんじゃねぇ!!!」

「わがままさんですねぇ」

「お前がな!」


 こめかみを引きつらせて、私を睨むサタン。

 普通の人なら、失神してしまうほどに恐ろしいのかもしれませんが……


 私は、もう慣れてしまったのでなんとも思いません。

 例え勝負になったとしても、勝てますからね。


「どうしたら、私のことを認めてくれるんですか?」

「疫病神の滞在を認めるなんてこと、絶対にない」

「まあ、ひどい……そのようなことを言われるなんて……よよよ」

「……」

「ぐすん……ちらっ」

「……」

「ちら、ちら」

「ええい、うっとうしい! ヘタな泣き真似はやめろっ!!!」

「バレてましたか」

「そのクオリティでバレないと思えるのか」


 サタンのような童貞なら、女の子の涙でおもしろいくらいにうろたえると思ったんですが……見込み違いでしたかね?


「妙な見込み方をするんじゃねえ!」

「あらまあ」

「ったく……もういい、リーゼと話すのには疲れた。ここにいたいなら、勝手にしろ」

「あら? いいんですか?」

「ただし、これ以上の面倒事は起こすなよ? この約束が守れない時は、全力で追い出すからな」

「はい、わかりました♪」

「ぜってーに守る気ねぇだろ……くそっ、俺は、なんでこんなヤツをさらっちまったんだ……」

「どんまい」

「慰めるんじゃねえ!!!」

「それはともかく……これからも、人質としてよろしくおねがいしますね♪」

「……勝手にしろ」

「はい♪」




――――――――――




 ……この後。

 魔王サタンが、泣きながら人間界からさらった姫を返却するという事件が発生するのだけど、それはまた別の話。


 レベル1億の姫さまは、今日も明日も明後日も……ずっとずっと自重しない。

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