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1話 レベル100000000の姫さま

「あなたはロリコンなんですか?」


 私の言葉に、魔王サタンが顔をひきつらせました。


「私……リーゼ・ロードグランは、ロードグラン王国の王女です。敵対する国家の王女を誘拐して、このようや牢屋に閉じ込めるような行為はテンプレ中のテンプレで、自分で考える頭あるのかコイツと思うようなことで、とても愚かなことですが、かろうじて理解できないこともありません」


 サタンが顔を赤くしました。


「私たち人と、あなた方魔族は、長い間、戦いを繰り広げてきた……今更、共に平和の道を歩むことは難しいということは理解しているつもりです。あなた方が、そんなことを考える知能がないことも理解しています」


 サタンが顔を青くしました。


「しかし、なぜ私なんですか? 私は第三王女で、まだ14歳。普通に考えるのならば、姉さま方を狙うのではないでしょうか? その方が、人質としての価値は高いですよね? いえ、もちろん、私が代わりになることで姉さまたちを守ることができたことは、とてもうれしいです。しかし、しかしですね? わざわざ私をさらうなんて、他意があったとしか思えないんです。だって私、14歳ですからね?」


 サタンが……よくわからない顔色になりました。


「今回の誘拐は、我が王家に対する宣戦布告ではなくて……もしかして、あなたの趣味だったのではないですか? すなわち、ロリコン。14歳の私に劣情を催して、迸る欲情を抑えることができず犯行に及んだ……私はそう捉えているのですが、間違っていますか? ロリコン魔王さん」


 ぐぎぎぎっ、とサタンが、顔面崩壊する勢いで顔を引きつらせました。


「それとも、私の胸がないことがポイントなのでしょうか? 確かに、姉さま方と比べると、私は胸がありません。ぺたんこです。絶壁です。悲しい……ではなくて。あなたがそういう趣味だとすれば、私を狙ったことも理解できますね。ロリコンだけではなくて、貧乳好きときましたか。とんでもないですね。これはもう……」

「だぁああああああああああぁぁぁっ、やかましいわああああああああああっっっ!!!!!」

「図星をつかれて逆ギレですか? やれやれ、それが組織のトップに立つ者の態度ですか。情けないですね」

「誰のせいだっ、誰のっ!!!」

「ご自身が不甲斐ないせいでしょう? 私が挑発したみたいな言い方はやめてくれますか? 心外です。まあ、挑発したんですけどね」

「お・ま・え、はぁああああああああああぁぁぁっ!!!!!」


 ダンダンダンッ! と地団駄を踏むサタン。

 ものすごい勢いで床にヒビが入ります。

 地震でも起きているんじゃないかというくらいに城全体が揺れて、パラパラと埃が落ちました。

 さすが、魔王というべきですね。


 でも、床はボロボロです。

 大理石みたいな高級そうな床なのに……もったいない。


 煽り耐性が低いですね。

 ちょっとからかっただけなのに……まあ、半分くらいは本気ですが……すぐにキレてしまうなんて、ダメダメですね。

 魔族の長なのだから、もう少し、おおらかな心を持った方がいいですよ?

 そんなだから、私のような小娘に煽られてしまうんです。

 このロリコンさん♪


「またロリコン言いやがったな!? ケンカ売ってんのかゴルァああああああああああぁぁぁっ!!!!!?」

「あらあら、私の心を読んでいるんですか?」

「お前が全部口にしているんだろうがっ!!!」

「あらまあ」

「あらまあ、じゃねぇえええええっ!!!」

「まあ、わざとなんですけどね」

「確信犯かよっ!!!」

「そんなに叫んでいて、喉は大丈夫なんですか? 体に悪いですよ」

「誰のせいだと思っているんだっ、誰のっ!!!」

「あなた?」

「お前だっ!!!!!」


 過去最大級の声量で怒鳴られました。

 叫んだだけで空気が震えて、軽い衝撃波が発生しました。


 この魔王、私が人質ということを忘れているんでしょうか?

 普通の人間だったら、今の一撃で昏倒していますよ。


 でも、私はこれくらいでへこたれません。

 これでも、王家に名を連ねる者ですからね。

 幼い頃から色々な教育を受けてきたので、怒鳴られることくらいへっちゃらです。


「貴様……自分の立場がわかっているのか? ここは魔界にある魔王城。人間は一人もいない。つまり、誰も味方がいないということだ!」

「そうなんですか? あなた、ぼっちだったんですね……かわいそうに」

「俺じゃねぇよっ!!! お前の話だよっ!!!」

「私でよければ友達になりましょうか?」

「哀れむなっ!!!」

「あらまあ」

「な、舐め腐りやがって……!!!!!」


 サタンの顔色が、青から赤へ。

 それから紫になり、再び赤に変貌する。


「……人質と思っていれば、舐めた口を聞きやがって。自分がどういう立場にいるか、その体にたっぷり教育してやろう」


 冷徹な感情がサタンの顔に浮かびました。


「あなた……私に手を出すつもりですか?」

「コケにされて黙ってられるほど、おとなしくないんでな。人質だからって、手を出されないと思ったか?」

「14歳の体に手を出すなんて……やっぱり、ロリコンなんですね」

「ちげぇよっ! 手を出すといっても、そういう意味じゃねえよっ!!! 痛い目に遭わせてやるって意味だよ!」

「子供相手に本気で怒るなんて、大人げない人ですね。やれやれ」

「もう容赦しないからなっ!!!? 泣いて謝っても遅いからなっ!!!?」


 フシューッ、と湯気が出そうな勢いでサタンは怒ってしまいました。

 さすがに、ちょっとからかいすぎたかもしれません。


 でも、後悔はしていません。

 こんなにいじりがいのある人、今まで出会ったことありませんからね!

 とても楽しい時間でした♪


「覚悟しろよ? 殺しはしないが、死んだ方がマシって思えるような目に遭わせてやるよ」

「それはお断りします」


 サタンが手を伸ばしてきて……


 私はそれを左手で払い除けました。

 続けて、右手でサタンの腹部を打ちます。


 ゴッ、ガァアアアアアアアアアアッッッ!!!!!


 至近距離で大規模魔法が炸裂したような衝撃に、サタンは人形のように吹き飛びました。

 牢屋の鉄柵を破り、天井を支える柱を突き抜けて、そのまま対面の壁に激突。

 壁に人型の穴が空きました。


「あらまあ」


 やりすぎてしまったかもしれません。

 もっと手加減した方がよかったかも……?


 生きているでしょうか?

 パラパラと落ちてくる瓦礫を避けながら、牢屋を抜けて、魔王がめりこんだ壁に歩み寄ります。


「もしもーし?」


 ……返事がありませんね。


 見なかったことにして、立ち去りましょうか?

 私は何もしていません。

 うん、何もしていません。


「というわけで、さよう……」

「待てやゴルァああああああああああぁぁぁっ!!!!!?」

「ひゃっ!?」


 壁が崩落して、その中からサタンが現れました。

 ところどころ血を流しているものの、わりと元気そうです。


「お、お前っ……今、何をした!? この俺に何をしたんだ!? バカな……俺は魔族を束ねる王だぞ!? ただの人間の小娘に……しかも、苦労を知らない王女ごときに、俺を吹き飛ばせるはずがない!」

「何、と言われても……普通に殴っただけですが。あ、このことは内緒にしてくださいね? 王女が暴力をふるったなんて知られたら、父さまの政敵にエサを与えることになってしまいますからね」

「お前の国の事情なんぞ知ったことか!? それよりも、どういうことだっ!? なんで、人間にこんな力がある!? 咄嗟に魔法障壁を張り巡らせたからよかったものの、もうちょっとで死ぬところだったぞ、おいっ!?」

「ナイスガッツ!」

「いつでもどんな時でも苛立つなあ、お前はっ!!!」

「私の言うこと、信じてくれますか?」

「内容によるが……言ってみろ」

「実は、私のレベルは100000000です」

「………………は?」


 サタンの目が点になりました。


「ですから、私のレベルは100000000なんですよ」

「……俺をからかってるのか?」

「そんなことありませんよ。事実ですよ? 私の力は、その身を持って体験したでしょう?」

「そんなアホなっ!!!? レベル1億!? そんなバカな数値、聞いたこともないぞ! 勇者だって、レベル1000に届くか届かないかっていうぐらいなのに……! それなのに、ただの人間の小娘が……しかも、王女が……ありえるか、そんなわけがないっ!!!」

「ですが、これが真実ですよ」

「バカな……」


 仕方のないことですが、なかなか信じられないみたいです。

 ですが、真実なんですよね。

 サタンを一撃で吹き飛ばした私の力が、それを証明しています。


「ただの人間が、どうやってそんな力を……まさか、神の秘薬『エリクサー』を飲んだのか? いや、しかし、それだけでは……」

「実は……」

「実は……?」

「我が王家の教育はとても厳しいので……長年に渡る教育を受けた結果、気がついたらこのようなレベルに」

「んなわけあるかぁああああああああああぁぁぁっ!!!!!」

なんとなく書いてみました。


おもしろい、と思っていただけたら、評価、ブックマーク、感想をいただけるとうれしいです。

やる気がみなぎります。

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