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怠惰な日常  作者: 帽子
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第1話

 その森は絶対に入ってはならないと言われている。


「怠惰の森」


 その森はそう呼ばれており、入ったら最後、二度と戻っては来れないと噂されていた。凶暴な魔獣も住み着いており、危険度が高く、何より森に入った瞬間とてつもない倦怠感に襲われることになる。如何に戦い慣れしている者でも倦怠感が襲ってくる中では本来の動きができずに大怪我することになる。

 その森を上空から観察するものがいた。


「あれが怠惰の森ですか…」


想像していたよりも普通の森であり、噂されるほど危険な森には見えない。


「さて、噂の彼はどこですかね」


 森の危険性からそこで狩猟などは行われないし、馬車などでの移動も安全性のために森を迂回されている。

 今回私は、本来誰もいないはずのその森で、生活しているとされている男の元へ向かうというものだった。父と母の頼みとはいえ、危険とされている森に、いるかどうかもわからない人物を探しに行くのは気の重い話だった。


(興味があったとはいえ、早まりましたかね)


 正直、この依頼を受ける前は乗り気ではなかった。親の頼みでなければいつも通りに友人の元で会話を楽しんでいただろう。。ならばなぜ受けたか。それは、これから会おうとしている男に興味があったからに他ならない。

 父はその男のことを友と呼び「あの男がいるとどんな困難でも不思議と何とかなりそうな気がしたものだった」と語っていた。

 母はその男のことを恩人と呼び「彼といると不思議と安心できてね、他者か好かれてたわぁ」と語っていた。

 何度も話題に出てきた男を一目見てみたい、そんな欲が出てきて、気づいたら首を縦に振っていた。


「もしかしてあれですかね」


森の中心付近に山小屋が立っていた。周囲の木に隠れてはいるが、庭には池がある。信じられないことに池の上で妖精の姿も見えた。キラキラとした池の上を妖精が楽しそうに舞っていて、空から見ると幻想的に映った。


「綺麗…」


人前ではあまり姿を現すことのない妖精を目撃できたことと、その幻想的な風景をみれたことで感動していてた。もっと近くで見てみたいと近づいたが、それがくなかったのだろう。


「え、あれ、うそっ」


見とれていたからか、自分の体に起きた変化に気づくのが遅れてしまう。自分の翼が信じられないくらいに重くなっており、急な変化に驚きうまく対処できなかった。


「きゃあああああああああああああ!」ザパアアアアン!


急激に落下し、そのまま池にダイブした。







「ふぁぁ、今日もいい天気だ。妖精も楽しそうで何よりだ」


 昼の優雅なひと時を満喫しようと、縁側に寝そべり、池で遊んでいた妖精を見ながら微睡んでいると、


「きゃあああああああああああああ!」ザパアアアアン!


 空から女性が池にダイブした。


「は?」





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