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第二訓練所へ移動した俺たちは、各々で鍛錬を始めた。いきなり組手とかを始めるのではなくて準備運動と筋トレを先にやる。それにも個人差があるので一緒に行ってはいない。それにアルナとツキノワの実力は知っているが、アリアがどうか知りたかった。俺はストレッチをしながらアリアを横目で観察する。


俺の鍛錬メニューは、ストレッチから始まる。曲芸みたいに動き回る機動性に最も必要なのはバネではなくて、体の柔らかさだったりする。テリアに教わった短剣や回避は、身体を急に捩じる動作が多い。ゴルペーザに教わった体術や武術も基本的に関節が柔らかくなかったら模倣すらできなかったんだ。俺の柔らかさはたぶん体操選手並みだと思う。


30分かけた入念なストレッチが終わったら今度は、筋トレに入る。俺の場合筋トレは余り多い方ではない。ツキノワみたいなムッキムキな筋肉をつけると機動力が低下してしまう。脂肪よりも重い筋肉は付け過ぎたくない。最低限でいいんだ。腹筋、背筋、腕立て、スクワットを50回で終わりにしている。ちなみにこの回数はアルナの筋トレよりも少ないし、ツキノワの10分の1以下である。


そしてストレッチと筋トレをやりながら必ずやっているのが魔力制御だ。学園に来て学んだことの一つだ。俺は魔力制御があまり得意な方じゃない。魔力は魔法になって初めてそれを目視できるのだとばかり思っていたが、エリスに目にも魔力を通していたら魔力の流れが見れるようになるのだと教わった。

この技術は【連結魔法陣】を習得するうえで、大地の流脈を感じるのに必要なことだったんだ。対戦相手の魔力の流れが目視できれば、どのタイミングで魔法を使ってくるのかが分かるし。あの魔力の流れを乱す魔法を喰らったとしてもその乱され方が分かれば、己の魔力制御で元に戻せるかもしれないのだ。

結論。俺は魔力制御を必死で習得しようとしている。エリス曰く、無意識に大地の流脈が感じ取れるようになるのが第一段階らしい。実はまだそこに至っていない。魔力の操作は魔法を発動するのに必要条件ではあるので、それぐらいは出来るが。それを目などに流し続けるのを数時間維持することができない。

ちなみに、アルナは俺よりも魔力制御が上手かった。無属性魔法陣の身体強化を使い慣れているおかげだろう。体の一部分だけに魔力を流し留めておくのなんて何が難しいのか分からないとい顔をされたんだ。あの時はめっさ悔しかった。


そしてアリアなんだが・・・何故戦闘科にいるのかが分からなくなった。ハッキリ言って運動をしたことが無い女の子だった。

アルナは持久力が足りないというエリスの指摘を素直に受け入れてランニングしている。一緒に走りたかったのか分からないが。アリアのランニングは100メートル程度を走るとゼエゼエと立ち止まりその場にへたり込む。

次はツキノワの筋トレを真似したのか分からないが、腕立てをしようとして一回も上がらなかったり。腹筋とか背筋している姿は芋虫みたいで笑いそうになった。


「ちょっといいかアリア?」


「ぜぇ ぜぇ なんでしょうか?」


「運動したことってあるのか?」


「いいえ 初めてですよ?」


「・・・てことはアリアは魔法を主体にする戦闘スタイルなのか?」


「いいえ 攻撃魔法は得意ではありません。補助や回復魔法が得意です」


「補助や回復? そんな魔法もあったのか・・・」


知らなかった。ノートの街の冒険者は大けがしてこないし、けがしても唾付けときゃ治るぐらいの脳筋の集まりだったんだ。ノートのギルドでの治療は地球のやり方とほとんど同じだったし。もしかすると補助や回復魔法は希少なのかもしれない。


「どういった魔法なのか教えてもらってもいいか?」


「それ私も興味あるっ」


「某も同じく知りたいであろう」


「承知しました。では、まず回復魔法というのは、女神アダム・ルーラー様が――


この質問が俺のミスだったとこの時は気が付かなかった。急にキラキラした目でアリアがルーラー教がいかに素晴らしいのかの演説を始めたのだ。俺は補助と回復魔法がどんなものか知りたかっただけなのに。これからは迂闊にアリアに宗教に関係のありそうな質問をするのはやめておこう。ストレッチと筋トレだけで鍛錬が全くできなかった。アルナとツキノワはいつの間にか逃げていなくなってるし。アリアに聞かないで【魔導書】で検索すればよかったと後悔した。





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