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「この程度の頭痛で負けてたまるかよ」
自分の力量を超えた魔法を発動すると強烈な頭痛がおこる。頭を押さえ歯ぎしりをして耐え。次の攻撃を防ぐための一手を打ち出すことにした。それが更なる頭痛の原因になるだろうが、戦闘中にそんなこと言っていられるか!
魔法の打ち合いでは一切勝機がないことはよーく理解できた。これ以上の馬鹿げた魔法を連発されたら溜まったもんじゃない。今は氷河壁盾で防げていても、あと数分で俺の魔力がきれたら魔法が解けて負ける。
「ホントに魔導書をくれた骨の王には感謝だぜ」
アレをやる。頭痛を免れないだろうが、問答無用だ。
短剣を手に取り、魔方陣の展開のための魔力を流す。それと同時にぶっ倒れそうになるぐらいの激痛が頭に駆け巡った。
短剣に魔力が充満して紫色の淡い光を纏った。それを地面に突き刺して魔方陣を展開する。
骨の王と闘った遺跡で俺に苦戦を強いらせた魔法陣が、エリスが発動している連結魔法陣を上乗りするように展開された。魔法陣自体はそんなに広い範囲に展開できなかったが、第三訓練所のグラウンドの半分を覆った。これだけカバーできれば十分だ。短剣の柄から一気に展開された魔方陣が発動する分の魔力を流し込んだ。
すると、ガトリングガンのような銃声音と、魔法弾が氷河壁盾に当たってでる悲鳴のような音が聞こえなくなった。
エリスの展開していた魔方陣が掻き消え、俺の氷河壁盾のみが残ったのだ。氷河壁盾の魔法をといて戦闘態勢をとる。氷の壁が消えた向こう側には、驚愕した顔つきのエリスが立っていた。身体帝化も当然消えていて、クリスタル色のオーラは纏っていない。
「すごいわねレッド君 まさか魔力を乱して来るだなんて・・・どこで教わったのかしら? 詳しく知りたいわ」
【魔導書】で調べて学習した魔力の流れを阻害する魔法。すなわち魔法を発動できなくする魔法だ。魔導書には軽いものから重いものまでさまざまな種類があったが、その中で俺は一番有効な古代魔法を覚えたのだ。
骨の王の遺跡で使われていた古代魔法陣の【暗黒郷】というものだ。【暗黒郷】は展開範囲はそれほど広くは無い。しかし他の相手の魔法を使えなくする古代魔法のほとんどは、発動した自分自身も使えなくなるパターンが多かった。【暗黒郷】は展開した魔法陣の範囲内では発動者以外の全てを対象にして魔力の流れを阻害する。
要は、俺自身の魔力はまったく乱れず、魔法を発動できる。したがって俺はまだ【紫電】へとランクアップした【身体雷化】を発動したままの状態であるということだ。といっても地面に突き刺している短剣を引き抜かれでもすればすぐに解除されるので要注意だがな。
「企業秘密って言いたいですけど、とくに秘匿しているわけでもないので戦いが終わったら教えますよ ああでもその代り連結魔法陣を指導してくれませんか?」
「のったわ! 手取り足取り教えてあげるわよ」
観客席の方からアルナがぶーぶー文句を言っているが無視しておこう。
優位に立ったとは思うが、相手はSランクだ。手を抜かずにいこか。さっきのミドルキックもあったし、魔法だけじゃないのは良く分かる。現に魔力を乱されて最初はビックリした顔をしていたが、すでに余裕そうな顔をしている。魔法が使えなくなる状況になれているのだろう。むしろ下手したら格闘の方が魔法より得意だったりするかもしれない。
抜かりなく【身体雷化】の【紫電】を全身に纏うように放電しながら、戦闘態勢をとるエリスへと接近する。
お互いに武器は使っていない。俺は唯一の武器である短剣はすでみ【暗黒郷】の発動に使ってしまっているので無手だ。エリスはどんな武器を持っているのか分からない。スカートスーツに網タイツのエリスを見るに武器は持っていないと思う。隠して持っているかもしれないがな。それを頭の隅に入れておきながら拳を繰り出した。




