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創造神の嫁探し  作者: 下手の横好き
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記念すべき最初の星にて、その1

男にとって初めてとなる、自分以外の生命体が存在する記念すべきその場所は、未だ文明開化が始まる前の、地球で言えば中世くらいの生活レベルの、緑多き星だった。

転移して来る前に、嘗て観察と称して度々見ていた光景では、人間族の他に、エルフとダークエルフ、ドワーフといった森や山の民と、犬系や猫系の獣人、それに広大な森を拠点とする数多くの魔獣が存在していた。

普通の動物も存在するが、餌などを通してこの世界に溢れる魔素を多量に吸収した一部の動物達が突然変異を起こし、繁殖の過程で進化を繰り返した結果、魔獣として定着したようである。

当然、人間をはじめとする人族にも魔素を大量に取り込む事の弊害があるが、奥深い森林の中とは違い、都市部では存在する魔素の量が極めて少ない事、人族は魔素を体外に放出する手段として魔法を編み出していった事、また、男性に限って言えば、性行為の際に体液を放出する事でも魔素を減らす事が出来た。

だがその反動として、女性の方が圧倒的に優れた魔法士になる事が多かった。

元々、女性の方が魔素を貯めておける器が大きいせいもあるが、子を産むという、新たな生命を作り出す能力が、魔法という、無から何かを為す行為と相性が良いからかもしれない。

そしてその器が大きければ大きい程、魔法士としての将来を約束された。

一般人では生活に必要な浄化やライトの魔法を使う程度の容量しかなく、男性に限って言えば、それさえ毎日は使えぬ者もいるくらいだ。

身体に有害な魔素といえど、常に大量の魔素をその身に蓄えている者には、それに耐性を持つ者も現れる。

そうなると、最早魔素自体は身体にとって害ではなくなり、その容量が大きく増えたり、使用後の回復が早まるなどの特別な効果を得る者もいる。

大魔法士と呼ばれる者達は、そういった例外的な存在であった。

この星に存在する幾つかの国家や帝国も競って優秀な魔法士を採用していた。

抱えている優秀な魔法士の数が、そのままその国の国力を表していると言っても過言ではないのだ。

そのような理由で、この星にある国家や帝国の貴族達の家は女性が当主になる事が多く、男性は極めて稀であった。

 

 その男は少し戸惑っていた。

憧れだけで来たのは良いが、どうやって仲間、もとい嫁を探せば良いのか分らなかったのだ。

気に入った娘を見つけて洗脳するのは容易いが、それでは自分で創造した者と大差ないので避けたかった。

かといって、これまで気の遠くなるような時間を1人で過ごしてきた、所謂ボッチの男にとって、他人、しかも女性と仲良くなる方法が今一つピンとこなかった。

なまじ万能であるが故に、人を助けたり守ったりして仲良くなるという方法を思いつかなかったせいもある。

そうされる側の人の気持ちを、自分に当てはめる事が出来ないからだ。

暫く考えた末、今の自分はこの星の物を何一つ持っていない事に思い当たった男は、先ずはお金を稼ぐ事にする。

不老不死故、食べる物は嗜好品としての価値しかなく、身に着ける物も自分で創造出来るので、自分1人なら必要ないが、他者と交流を持つには貨幣が必要になる事くらいは知っていたので、そうする事にしたのだ。


 男には、嫁を探しに世界を巡ろうと決めた際、出来るだけ守ろうと決めた幾つかの事がある。

その1つに、無闇にその国の貨幣を創造しないというものがある。

無から大量の貨幣を生み出す行為は、その国の需要と供給のバランスを崩し、ひいてはそれがその国の民を苦しめる事に繋がるのを理解しているからだ。

どうしてもお金が必要になった時は、宝石や魔法関係の物を作成し、売る事に決めている。

お金がある所から回収するだけならバランスは崩れないからだ。

そして、今の現状を考えるに、そこまでしてお金を稼ぐ必要はないので、何処か町や村に行って何か仕事でもしようと考えて、歩き出すのであった。


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