アリア編、その12
「それで、エリカの住む場所はここでいいのか?
それとも、何処かに別に建てるか?」
明くる日、2人が遅い朝食を取りに部屋から出てきた時、和也は2人に確認する。
2人が何故そんなことを聴いてくるのかという顔をしたので、アリアに尋ね返す。
「ここに新たな住人を住まわせるには、おまえの同意が必要なんだろう?
元々ここは、おまえの家として建てたのだし、この星の主であるエリカには、それに相応しい家を別に建ててもいいのだ。
どうする?」
「勿論、エリカさんならいいわよ。
というか、むしろ私の方がここに居ていいのかという問題よね。
一応、まだ助手の身だし・・」
「エリカはどうする?
知らない場所で、2人だけで暮らしてみたいという願いだったから、やはり別に建てた方がいいか?」
「いいえ、ここで結構です。
2人きりといっても、元々あなたの妻の方々を排除しようとは思っておりません。
わたくしが求めるのは、日々の生活で余計な気を遣わずに済むこと。
わたくしの正体を知られずに、誰からも特別視されないこと。
他の妻の方々や、その候補であるアリアさんなら、共に暮らすことに何の問題もありません。
ただ、時々は2人きりでデートしてくださいね。
勿論、アリアさんと2人きりの時間を、邪魔したりも致しませんよ」
「部屋数は多く造ってあるし、他の妻達にもそれぞれの星を与えるから、ずっとここに皆で住むわけではないからな。
おまえがそれでいいと言うなら、そうしよう。
おまえは、自分が確保していた部屋と、その隣を使うといい。
互いの部屋を隔てる壁は取り除いておく」
「え!?」
アリアが、思わず何か言いたげな声を上げる。
和也の部屋がなくなると、夜中にこっそり忍び込んで、一緒に寝ることができなくなるとでも考えているのだろう。
『あなた、・・アリアさん、間違いなく器ですよ?』
エリカが念話で話しかけてくる。
『あまり焦らさずに、可愛がってあげてくださいね』
ニッコリ、微笑まれる。
「アリアさん、ベットは大きいですから、3人くらい、十分に眠れますよ?
寂しかったら、何時でもいらしてくださいね。
お気になさるようなら、旦那様に愛されてる時だけは、鍵をかけておきますから」
「えっと、・・いいんですか?」
エリカに笑顔でそう言われたアリアが、遠慮がちに尋ねる。
「ええ勿論。
・・何なら、2人で旦那様に愛してもらいます?」
「い、いえ、それはまだ、少し恥ずかしいです」
冗談めかして尋ねるエリカに、真っ赤になって答えるアリア。
平和だな。
和也は一人、珈琲を飲みながら、そんなことを考えていた。
ここは和也のダンジョンから程近い村。
そこの広場に、4人の子供達が集まっていた。
男の子2人に女の子2人。
どの子もまだ12歳くらいで、学校がないこの村では、親の仕事を手伝うくらいしかやることがない。
人口が1000人程度の村では、小遣い稼ぎをするにも適した仕事が少なく、毎年親の誕生日にささやかな贈り物をするにも、色々と苦労していた。
今年はどうしようか。
彼らはここに集まって、その相談をしていた。
「やっぱりいつも通り森で薬草やキノコを採った方がいいんじゃないか?」
リーダー格の少年が言う。
「でも、それだと村で売っても幾らにもならないよ。
去年も目標に全然足らなかったじゃないか」
もう1人の、真面目そうな少年が言う。
「お金で買える物じゃなくて、皆で手作りしたらどうかな?」
元気そうな女の子が提案する。
「私達みたいな素人の作った物なんて、大人にあげても自己満足にしかならないと思う」
最後の1人、利発そうな少女が、そう反論する。
「・・ここでずっと考えてても、お金は手に入らない。
とりあえず森で薬草とキノコを採ろう。
もしかしたら、珍しいやつが手に入るかもしれない。
その結果次第で、また考えよう。
何にせよ、最低限のものは確保しておかないと」
リーダーの少年の言葉に頷き、皆で近くの森へと入る少年達。
夕方以降は子供だけで入ることを禁止されているから、探し物をするなら少し急がねばならない。
浅い場所なら魔物も出ないから、武器も持たずにさっさと分け入っていく。
20分くらい歩いたであろうか。
その日はほとんど成果がなく、4人はいつもより深く森に入り込んでいた。
「あれ?
何あの入り口?」
女の子が、何かを見つける。
「どうしたタエ?
何を見つけたんだ?」
リーダーの少年がその子の側に来る。
「あれ。
トオル、あんなの今まであった?」
女の子が指さす先に、洞窟の入り口のような建物が見える。
「見たことないな」
「私も」
他の2人も近寄って来て、そう口にする。
「行ってみよう」
好奇心旺盛な子供らしく、トオルが走って行く。
「待ちなさい!
魔物が居たらどうするの!?」
「大丈夫だってアケミ、扉閉まってるじゃん」
トオルが少女に向けて反論する。
「やれやれ、トオルは相変わらずだね。
無鉄砲過ぎるよ」
「そう思うなら、あなたが止めなさいよ、マサオ」
「無理だよ。
ほら、僕達も行かないと、彼だけにしたら、本当に中に入りかねない」
「・・そうね」
2人も渋々洞窟の側まで来る。
「どうやって入るんだろう?」
トオルが入り口の扉に手を触れた時、いきなり4人にピカッと光が浴びせられ、その後、扉の上部にあるランプが青く光る。
ランプの下のパネルに、文字が現れる。
『ダンジョンA・・所持金が足りません。ダンジョンB・・年齢が足りません』
因みに、ダンジョンCと書かれた場所は、何も表示されていない。
「ダンジョンに入るのにお金がかかるの!?」
4人の中で、きちんと文字の読めるアケミが驚き、次いで同様に読み書きのできるマサオが言う。
「年齢が足りないって、どういう意味?
強さとかならまだ分かるけど・・」
「ここは自分の収入源だからな。
文無しの子供に用はないのだ」
「「ひっ」」
いきなり背後からかけられた声に、4人は飛び上がって驚く。
「誰だよ、あんた。
村の人じゃないだろ?」
トオルが他の3人を庇うように一歩前へ出る。
「初対面の相手に天気の話もできない子供に、名乗る必要はない。
家に帰って親の手伝いなり勉強なりするがいい」
「何だと!」
「止めろトオル、おまえが悪い」
「すみません、私達はすぐ近くの村の子供です。
今までなかった建物を見つけたので、見に来ただけなんです」
マサオとアケミがトオルを諫め、事情を説明してくる。
和也は、改めて4人の子供を見つめる。
身なりは普通だ。
田舎の村人にありがちの、親の御下がりを繕いながら着ている。
身だしなみは、まあ、こんなものか。
髪はともかく、服はもっと洗うべきだな。
「ジャッジメント・・ほう」
興味本位で4人を調べた和也は、少し考えを改める。
文明が発達した星では見ることが減りつつある、なかなか感心な子供達だ。
自分達が貰うことばかりに慣れた子が多い中で、ちゃんと周りの者達のことも考えている。
「少し気が変わった。
おまえ達さえその気なら、チャンスをやろう」
「こいつ、目の色が変わったぞ。
やばい奴なんじゃ・・」
「・・奇麗な蒼色。
まるで雲一つないお空みたい」
「ほんとに奇麗。
・・あの、チャンスって何ですか?」
アケミが恐る恐る聴いてくる。
「機会という意味だ。
おまえ達、親に贈り物をしたいのだろう?」
「「!!」」
「・・何故分かったんですか?」
マサオが信じられないといった顔をする。
「そんなことより、どうする?
自分の課す試験に合格すれば、数年は定期的に仕事をやってもいいぞ?」
「本当ですか!?
でも、試験といっても、私達、学校にも行ってないから・・」
アケミが、一瞬喜んだ後、何かを思い出したようにうなだれる。
「大丈夫だ。
これから学ぶことをきちんと覚え、真面目に努力すれば受かる」
「学ばせてもらえるんですか!?」
マサオが興奮して言ってくる。
「意欲があり、努力を惜しまない限り、期待に応えよう」
「「お願いします!」」
アケミとマサオが同時に頭を下げて懇願してくる。
「なあ、2人共、そんなにすぐに見知らぬ他人を信じて平気か?
こいつが悪い奴だったらどうする?
奴隷に売られちゃうかもしれないんだぞ?」
トオルが、2人を心配してそう告げてくる。
「それに、この辺に子供でもできる仕事なんかあるか?」
「成る程、リーダーだけあって、単なる馬鹿ではないな。
だが、仕事の話は本当だ」
「証明できるのかよ!?」
「別に信じないならそれでもいいぞ?
自分は強制などしない。
単なる気まぐれだからな」
和也はさっさとその場を去ろうとする。
「待ってください!
私、お世話になります!」
「僕も!
僕もお願いします!」
アケミとマサオが必死に和也を呼び止める。
「御免トオル。
僕は彼を信じるよ。
このまま村で過ごしても、将来は高が知れている。
学べる機会があるなら、僕はそれを無駄にしたくない」
「私も。
もっと色々勉強したい。
沢山学んで、技術を身に着けて、都会で働いてみたいの」
「・・タエはどうする?」
「あたしは、・・もう少し考えたい」
「なら俺達2人は少し様子を見よう。
最悪、2人に何かあっても、俺達が残っていれば、大人に事情を知らせることができる」
「なかなか賢明な判断だ。
ではこの2人だけ、とりあえず先に面倒を見てやろう。
明日からな。
今日は先ず、その服と体を奇麗にしてやる」
そう言うと、和也は4人の体と衣服に、浄化をかけてやる。
ついでに服のほつれや穴も修復してやる。
「わあ、新品みたい!」
タエが嬉しそうに声を上げる。
「浄化の魔法もまだできないのか?」
「うちの村には、あまり魔法の得意な人がいなくて、誰も教えてくれないから・・」
「風呂は?」
「・・自分の家に風呂のある人なんて、僕達の村にはいません」
アケミとマサオが諦めたように言ってくる。
「・・おまえたちの親の職業は何だ?」
「俺の家は武器屋」
「あたしの家は宿屋」
「僕の家は商店です」
「私の家は村の名主です」
「辺鄙な村だが、客は来るのか?」
「・・あまり来ないです。
村人以外は、月に5人も来ればいい方なんです」
タエがそう言って、困ったように笑う。
「何時までに親に贈り物を用意したい?」
「あたしが1番早くて来月の末です」
「大体のことは理解した。
今日はもう帰って、明日の午前中にまた2人で来い。
それから、自分がおまえ達に何かしてやることを他言するな。
自分は誰にでもしてやるつもりはない。
これは厳守しろ。
もし話したら、その時点で援助はお終いだ。
おまえ達の親には、いずれ自分の方から顔を見せに行く」
「「はい、分かりました」」
彼らの返事を聴くと、和也はさっさとその場から転移した。
「「消えた!?」」
「いや、多分だけど、転移魔法だと思う。
ほとんど使える人がいないけど、そういう魔法があるというのは父さんから聴いたことがある。
上級商人の中では、それが使える人を雇って、逸速く情報を遣り取りしているって」
「じゃあ、あの人凄い人なんだ」
「そうね、あの若さで転移が使えるのだから。
明日が楽しみだわ」
「なあ、本当にあいつの下で何かするのか?」
「うん。
彼はきっと悪い人じゃないよ。
少し不愛想だけど、服を奇麗にしてくれて、ほつれや穴まで繕ってくれたじゃないか。
トオルのくたびれてた服も、新品みたいだろ?」
「まあ、それはそうだが・・」
「大丈夫よ。
何をしてきたかは毎回ちゃんと報告するから、あなた達も、あの人の言いつけを、必ず守ってね?
もし誰かに漏らしたら、・・絶交よ?」
「分かったよ。
タエも気を付けろよ?」
「うん」
こうして、4人の子供達は和也と知り合う。
彼らの未来が大きく変わることになるこの出会いを、後に彼らはとても誇らしく感じるのであった。
「フウーッ、いいお湯だったわ」
王宮の大浴場で1日の汗を流し、これから趣味の魔法の鍛錬を始めるため、それ用の服に着替えようと、羽織っていたバスローブをひらりと脱ぎ捨てるヴィクトリア。
大浴場は、王族しか立ち入れないプライベートな場所にあり、この格好で歩いていても、身内以外は誰にも見られないため、湯から上がりたての火照った身体に、すぐ下着を付けることを好まない彼女は、その下に何も身に着けていない。
本来なら、複数の侍女達に甲斐甲斐しく世話をされる立場のヴィクトリアであるが、そういった煩わしさや、常に監視されているような視線も苦手なため、彼女は、自分だけでできることは、自分一人でやっている。
当然、彼女の部屋にも、常駐の侍女は一人もいない。
用ができれば、魔法で鳴らす呼び鈴が、侍女達の控える部屋で鳴る。
ヴィクトリアが、部屋履き以外の何も身に着けていない状態から、下着に手を掛けようとした丁度その時、部屋の中に、いきなり1人の男が転移してきた。
『!!!』
驚きで、身体を固めたまま、声も出ないヴィクトリア。
そんな彼女を、和也は、何とも言えない顔で暫し見つめる。
「では、自分はこれで・・」
然り気無く帰ろうとした和也の背後で、ヴィクトリアの怒声が響く。
「ふざけないで!!
このまま帰れるわけないでしょう!?」
やはり駄目だったか。
大人しく観念する和也であった。
「それで、一体何の用?」
あの後、手早く下着を身に着け、バスローブを羽織り直した彼女に、散々に詰問された和也。
どうやってこの場所を知ったのか。
どのようにして、最も厳重な転移防止魔法の施してあるこの部屋(王族全般)まで飛んで来れたのか。
ついでに、オルレイアの件はどうやったのかまで、厳しく問い詰められた。
人を呼ばなかったり、攻撃してこなかったのは、正にそのオルレイアの件で、彼女が和也にとても感謝していたからに他ならない。
『あなたでなかったら、殺していたわよ?』
そう告げた彼女の眼が、それが冗談ではないことを物語っていた。
和也からの説明を受けた彼女は(『自分が転移前に確認した時は、まだ君はローブを羽織ったままだった』など)、その能力の大きさ(キンダルからここまで一っ飛び)と、対処不可能な問題(最上級の転移防止魔法が役に立たない)を、自分だけの胸に秘め、苦悶の表情をしながらも、和也を無条件で許した。
和也がその気になりさえすれば、自分達に身を護る手段はない。
ガルベイルを1人でどうこうできる和也に不意に襲われて、この大陸で勝てる者などいないだろう。
本来なら、王族のヴィクトリアが取る選択は、懐柔するか、暗殺を試みるかの2択であろうが、彼女はその何れも取らない。
彼とは対等な関係の異性でいたい。
自分の心に育っているこの気持ちを大切にしていきたい。
それが、以前の酒場での遣り取りを経て、和也のオルレイアでの働きを確認した彼女の、紛う方無き本心である。
気分を落ち着けたヴィクトリアは、和也をテーブルの椅子に座らせ、自分はその対面に腰を下ろして口を開く。
侍女さえ呼べないから、お茶も出さない。
「本を借りに来たのだ」
「はあ?」
「子供が一から学べて、中級魔法くらいまでマスターできる本を幾つか貸して欲しい。
それと、この国の法律、経済、語学に算術、歴史なんかの本もなるべく多く借りたい」
「あなたの子供をこの国の人間にしたいのなら、大歓迎よ」
「自分に子供はいない」
「じゃあ何、学校でも創るつもり?」
「いや、たまたま知り合った村の子供達を教育して、手に職を付けてやることにしたから、そのための教材がいる。
この国の子供達だから、学ぶならここの法律や歴史がいいだろう。
その方が、任官試験なんかでも有利に働くだろうから」
「学校の図書館とかにないの?」
「村の付近に学校などないし、あったとしても、そこに通えるだけの資力もない子供達だからな」
「へえ、あなたにそんな趣味もあったなんてね。
何かの宗教にでも入っているの?」
「・・いや、自分は無宗教だ」
「いいわよ。
この国の人材を優秀な教師が教育してくれるというなら、断る道理が無いわ。
好きなだけ貸してあげる」
「助かる。
では、今から借りに行っていいか?」
「何処へ?」
「王立図書館」
「・・わたくしも行くわ。
今の時間は閉まってるし、あそこには貸出し禁止の本も多いから。
・・ちょっと後ろ向いててくれる?」
「?」
「この格好で行けるわけないでしょ。
着替えるのよ!」
和也が立ち上がって後ろを向くと、暫く、衣擦れの音が部屋に響いた。
「あなたの転移って、本当に出たら目ね」
着替え終えた彼女の腰に手を回し、共に図書館の中まで転移した和也。
無人で静寂に満ちた館内に、ヴィクトリアの声が響く。
「他人を連れて、初めての場所まで瞬時に飛べる。
他国が知ったら、あなたを取り合って戦争になるわね。
でも、もうあなたは予約済みよ」
腰に回された和也の手を上から押さえ、そんなことを言ってくる。
「どの本を貸してくれるのだ?」
それには答えず、和也は目当ての本棚を探す。
「こっちよ」
彼女に先導されて、1階の奥にある、大きな本棚が4つ並ぶ場所へ来る。
数百冊もの本が並んだ書棚を1つずつ指して、彼女は言う。
「この棚は法律、その隣が経済、そして歴史、文学ね。
もっとも、ここにあるのは皆、初等学校用の教材。
高等学校、専門学校用の教材は、これとはまた別にあるわ。
我が国は、太古の魔術師の残した遺産を最も多く受け継ぐ国でもあるの。
同じことを説明していても、著者によって理論構成や使われる定義が違うから、研究書としての価値はあるけど、実際にそのことを学ぶなら、各々どれか1冊でいい。
魔法書はまた別の棚、算術や医学、薬学なんかもね」
「・・君はこれを全て読んだのか?」
「まさか、そんなに暇じゃないわよ。
ざっと見て、面白いと感じた数冊だけね」
「どれだか覚えているか?」
「ええ。
ええと、これとこれ、・・これにこれ、・・あとこれね。
この5冊で、初等学校の内容が全て理解できるわ。
この他に、魔法書4冊、算術1冊あればいい」
「助かる」
和也はそう言うと、その5冊を魔法で瞬時に複製する。
「・・何してるの?」
「ん?
返しに来るのが面倒になったし、教材として使うなら、1人1冊あったほうがいいだろうから複製したのだが・・不味かったか」
「違うわよ!
別に写本とかを禁止していない本だし、それはいいの。
ただ、あなた今、魔法でそれを瞬時にやったでしょう?
そんなこと、普通は誰もできないの。
物の移動とかじゃなくて、存在そのものを別に生み出すなんて、そんなこと可能なの!?
もしかして、お金や食料なんかもできるの?
もしそんなことができたら、戦争どころでは済まないわ。
どうなの!?」
これ以上ないくらいに真剣な顔をして聴いてくるヴィクトリアに、和也は何て答えようかと頭を悩ませていた。