4話
「もう眼帯を外してもいいですよ。」
優しい看護師さんの声がして私は眼帯に手をかけた。
大丈夫・・もう・・見える
心の中でそう唱えながらゆっくりと外した。
そこに広がっていたのは明るい光の世界だった。
長い間忘れていた光を取り戻した私は感嘆の声を漏らすと窓の外を眺めた。
まるで自由に空を仰ぐように飛ぶ鳥、鮮やかな色とりどりの花。
『見える・・!!』
私は両親にはしゃぐ子供のようにそれを伝えた。
『お母さん・・私、ちゃんと見えてるよ!』
そんな私を両親は暗い目で見つめた。
お母さんが口を開く
「あのね、優衣・・和也君が-------。」
その時、私はひどい倦怠感に襲われた。
『そんな・・!!』
"和也君が・・交通事故で・・亡くなったって・・"
和也の両親は病室の前にいた。
『あの、和也は・・』
「・・・。」
和也のお父さんもお母さんも黙ったまま下を向いていた。
そこへ医者だと思われる白衣姿のおじいさんが来て何かを話しながら和也の両親と共に歩いて行ってしまった。
そっと和也のくれた指輪に触れてみる。
指輪にはALWAYS WITH YOUと刻まれていた。
”「正解。」
「優衣の目が見えるようになったら・・俺と結婚しよう。今は見えなくても俺はいつも優衣と一緒だよ。」”
『和也・・!!』
私は無我夢中で走りだした。
目的地は屋上。