αー2
いじめらしきことが始まってから約一ヶ月が経った。季節的には冬。十一月半ばになっていた。その日は授業が終わってしばらく経ってもあたしは学校にいた。あたしの机が異常に汚れていことがあたしのせいだと思っている無能教師の命令で、あたしは机やらロッカーやらの掃除をしていた。
気がつけばあたしはクラス中が敵になっていた。最初は避けているだけだった奴らも今では殺気立っていた。あたしは一ヶ月も続いているこのいじめに嫌気がさしてだんだん学校に行かなくなっていた。もう面倒だし。あたしは元々高校なんて行く必要のない人間なわけだし。
掃除が終わるともう午後五時を回っていた。日が傾き、きれいな夕焼けを作っている。この夕焼きをもっと見たくて、あたしは屋上に行くことにした。屋上に出ると、さっき教室の窓越しに見たものと比べ物にならないくらい大きくきれいな夕日が地平線に消えようとしていた。あたしはその大きく美しい夕日に吸い込まれているように無意識に近づいていたようで、気がついたら屋上の端にあるフェンスのところまで来ていた。フェンスを両手で掴み、こうやって夕日を見ていると、だんだん怒りがこみ上げてきた。
なんでこのあたしがあんな奴らに振りまされにゃならんのだ。あたしは叫んだ。
「バカヤロー!担任の無能!佐藤の間抜け面!」
あたしは思いつく全ての悪口を言いまくった。さすがのあたしも我慢の限界だったみたいだ。やってられん。何だこの生活は?そして言い終えるとあたしは無性にフェンスを乗り越えたくなった。そしてすぐさま実行。フェンスのない夕日は一段ときれいに見えた。そしてあたしは理由は無いが飛びたくなった。そう思った矢先、後ろから全然感情のない声がこんなことをあたしに言った。
「飛び降りるつもりか?」