βー13
この事件全てに何らかの関連があるはずだ。放課後の帰り道、人気のない道での犯行。横山の事件は目撃者がいるが、横山を嵌める罠ならば目撃者も共犯と考えられるから、この二つの事件限りなく似ている。
となると斉藤の事件、普通に考えれば目撃者はおそらく現れないだろう。横山の事件は性質上目撃者の存在が必要不可欠だったから用意したのだろうけど、今回は別にいなくてもいい。イレギュラー的な何かが起こらない限り現れないだろう。現れなければ犯人を捕まえるのはかなり難しい。まして俺たちは一般人であり、一高校生だ。できるはずがない。仮に捕らえたとしても、根本的な解決にはならない。やはり頭である黒幕をつぶさないとこの事件はいつまでも続くだろう。
いったいこの二人が狙われた理由は何だろうか?何か共通点があるはずだ。
放課後の屋上は静かで、平和で、何かを考えるには適しているが、やはりこのくらいの時間になると風が冷たい。コンピュータの脳は思考することにより熱を発し、そのたびに冷却ファンを回転させなければならないが、人間の脳はどうなのだろうか。コンピュータ同様、思考活動により発熱し、そのたびに冷却しなければ焼けてしまうのだろうか。
集中力が切れたのか、現実逃避なのか解らないが俺の思考は逸れていった。
赤く燃える夕日とそれに染まる秋特有の高い空は俺の心を和ませた。
がちゃ。
突然屋上のドアが開く。
「こんなところにいたんだ」
そこに現れたのは日向だった。