αー11
これは
「偶然という名の奇跡」の続編です。前作を読まなくても十分楽しめますが、より楽しむために前作を先に読まれることをお勧めします
あたしが机の掃除を終えるともう外は真っ暗になっていた。ふう、疲れた。
あたしは掃除をしながらずっと考えていた。つまらないやつばかりだと思っていたこの高校もよくよく見てみるとなかなか捨てたもんじゃない。そんないいやつらが、今のあたしみたいな目に合うなんて考えられない。あたしみたいに心が強い人ばかりではないはずだ。こんな子供みたいないたずら、あたしは一切相手にしない。でも、バカみたいに心を悩ませている人だっているかもしれない。それ以上に無視され、村八分にされることが何よりつらいだろう。そんな人がいるのは耐えられない。
あたしは自分が体験してみて解った。集団で無視されることのつらさ。バカにされることのつらさ。それに加えて、普通の幸せのありがたさ。人に差し伸べられた手の暖かさ。だからあたしはこんな人たちを助けてやりたい。困っている人たちに、悩んでいる人たちに手を差し伸べてやりたいんだ。最初にTCCに訪れたときは岩崎さんに言った言葉はかなり曖昧だったけど、今度は違う。あたしは積極的に助ける側の人間になりたいんだ。
よし!気持ちの確認終わり!早速部室に行って成瀬に啖呵切ってやりたいけど、もういないだろうから、今日のところは帰るとしよう。明日からはちゃんと部室に行こう。
気合を入れ直したあたしは電気を消して、教室をあとにした。