プロローグ
これは
「偶然という名の奇跡」の続編です。前作を読まなくても十分楽しめますが、より楽しむために前作を先に読まれることをお勧めします
ある人は言った。この世には偶然など存在しない。あるのは全て必然だけ。
と。この言葉について考えてみよう。言葉の意味をそのまま解りやすくすると、たまたま、とか、まぐれ、とかそういう意味に相当する現象は全て存在しない。どれもなるべくしてなった。つまり最初から決まっていた出来事だったということになる。あの有名人が売れるようになったのも、あいつが有名私立大学に受かったのも、どれも規定事項だった、ということになる。
なぜこんな話を始めたかというと、俺は今、偶然と必然について、とても考えているからだ。俺はというと、断然偶然は存在すると思う。なぜかというと、俺は造物主や神の存在を信じていない。どれも規定事項だというのなら、それを規定したやつがいるはずだ。必然派のやつらはそういうものの類を信じているやつなのだろうと思う。
俺は神を信じない。そんな都合のいい話があるわけない。自分は毎日必死に勉強してきた。きっと神様はそれを見ていて下さっていた筈だから、きっと合格をプレゼントして下さるに違いない。こんな自分勝手な話がある筈がない。もしそれが本当なら、神ってやつはどんだけ暇なやつなんだ。俺の生活の一部でも熨斗をつけて進呈してあげたい。
と、まあ今までくだらない話を続けてきたわけなのだが、こんなことはどうでもいい。実際神なんかいてもいなくても俺には関係なさそうだし、信じているやつをバカにしようとも、邪魔しようとも思わない。話は逸れたが、偶然についての話だ。なぜ俺がこんなに熱弁し始めたのかというと、実のところ、俺自身、偶然の存在について少々疑い始めたからだ。
なぜ俺はツイていないのだろうか。俺自身に責任はないはずだ。となると必然とか運命とかいう言葉を使わざるを得なくなってしまう。上記で説明したとおり、俺はそんなもの信じていないのだが、今ははっきり言い切れないのだ。
また話が逸れてしまったので、結論から言おう。現在俺はまた笹倉の事件に続き、事件と呼べる、またこれがめんどくさそうな、出来事に遭遇してしまったのだ。今回のきっかけは岩崎で間違いないのだが、最終的に事件を拡大していったのは岩崎ではなく、俺だったと言わざるを得ない。