ブサイクの決意
それは、ある夜のことだった。入出荷データを全部送信して、作業員も全部帰した頃だった。
お前等、葬式かっ!
今、それぐらい暗い空気が事務所には漂っていた。
「俺、ちょっとタバコ吸ってくるわ」
現場を任された作業責任者たちが、連れ立って外に出て行く。
実は、この頃(というか未だに。)、作業トラブルに振り回されてる毎日が続いていた。ほぼ、ウチに非があるトラブルばっかりだけど。
もちろん、このまま荷主がズルズルと仕事を続けさせてくれるはずがなく…一番恐れていた展開を迎えていた。
提携打ち切りの勧告。
申し訳ないが、現場としては 素人なりに頑張ったと思う。あたしもそうだったけど、各事業所から取り急ぎで現場社員に仕立て上げられたメンバーだ。イチオウ、中には、現場運営が専門職の社員もいるけど、彼らとて百戦錬磨のベテランというワケでもない。
そんな中で、社員が束にっても結果出せる訳がない。
立ち上げの責任者は、アタマを抱えていた。
客先からは、「生産性が悪すぎる。これでは、繁忙期は耐えられない」挽回のチャンスは、まだ貰っているという。
なのに、社内会議では、早くも「早く立ち上げにケリつけて、ヘルプで借りてる社員をさっさと返せ」せっつかれてるらしい。
ホント、ヒドいね?
ウチのカイシャの皆さんよ?アンタたち、肝心なこと忘れてない?
作業員たち、どうすんの?
現場が無くなれば、彼らの収入が無くなる。
それでいいの?
散々助けて貰っておきながら、ソレで良いわけ?
チャンスがあるなら、最後まで待ちなさい!アンタたち、銭勘定ばっかりしてんじゃねえ!!
あたしは、なにもしないまま、作業員たちに謝りたくない。が やれる手を尽くしてやる。
もし万が一、上から横やり喰らうなら、色々試してからの方がいい。
あたしは、早速 自分の仕事手帳を引っ張り出した。
見てろよ、あたしを現場に押し込んだ上連中ども。お前等が喉から手が出るくらいの売り上げ、叩き出してやる。
あたしは、密かに一発逆転の一大勝負を思いついていた。勝負には、カードと駒は必需品。揃えて挑むわよ
ノッたあたしは、早速 何ヶ所か電話を掛け始めたのであった。
さあ、こっからブサイクの逆襲が始まる