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0012 イッキに行くぜ。

 ピピピピ……

 携帯の目覚ましで起きた。

 本当にこんな夜中に行って、イッキは起きているんだろうか。


 うるしちゃんを起こして、ボロをリュックに入れて動物園に向かった。

 動物園の入口の柵は閉まってたけど、簡単に乗り越えられた。

「なんか夜の学校に入るみたいでワクワクするね! きゃはは!」

うるしちゃんは、なんか楽しそうだ。


 池まで行くと、イッキだけが一人で浮かんでいた。他の鳥たちはいない。

「イッキ! 来たよ!」

コソコソ声でイッキに向かって叫んだ。

「なんだお前! マジで来たのかよ! 案外真面目な奴なんだな! 彼女はどうした? うひゃひゃ!」

しーーっ!

「なに、この鳥! 感じ悪い!」

うるしちゃんも、僕と同意見らしい……

「なんだよ、お前! カラスの方がゴミを漁ったりして、よっぽど感じ悪いじゃないか!」

 僕はまあまあと二人の間に入った。


「それで、イッキは変身できるってことなんだけど、どんな風になるの?」

「おお! そうだったな! どれ! 百聞は一見にしかずだ! 見せてやるよ!」

「ちょっと待って! その変身って、ここでやっても大丈夫なの?」

忍び込んでるだけでも居心地が悪いって言うのに。

「それもそうだな……。よし!じゃあ移動しよう! ショートとカラス! 海に行くぞ!」

「カラスじゃなくて、う・る・し! ちゃんと名前があるんだから!」

まあまあ……


 イッキが飛んでいくのを自転車で追いかけて海に着いた。

 夜中だから誰もいないけど、この光景を誰かが見たらどう思うのかな……

人間とカラスと茶色い鳥が海辺に集合してる……


「これでその変身が大したことなかったら、承知しないんだからね!」

うるしちゃんが息巻いている……

「大丈夫だよ! ビックリするに決まってる! 腰を抜かすなよ!」


 イッキは波打ち際の方へ行き、目をつぶった。

「じゃあ、一気に行くぜ!」

そう言うと大きく息を吸い込んだ。

うるしちゃんの巨大化の時とここまでは一緒だ。


 イッキがなんか光ってきた…

え? え?

も、燃えている!?

「まぶしい!」

ものすごく明るい光を放ちながらイッキが燃えている。

「へへへ! ここからがクライマックスだ!」

そう言うとイッキが羽を広げた。

うわー! 本当にまぶしい!

太陽を直接見ちゃった時みたいに、息もできないぐらいまぶしい!

 そして海の上に飛び立つと、そこらへん一帯がまぶしい光に包まれた。

僕はまぶしさに耐えられず、目をそらした。


「ねぇ、トリトン! 目が慣れるときれいだよ! みてみて!」

 僕は目を細めながらイッキの方を見た。

イッキの体から出ている炎が、海面に反射してキラキラしている。

 まるで海辺の花火大会を見ているようにきれいだ。


 やっと目が慣れた頃、イッキは海の中に飛び込んだ。

 すると途端にあたりが真っ暗になった。

 今度は真っ暗で周りがよく見えなくなった。

「くやしいけど、あたしの巨大化よりすごいかも! きゃはは!」

「うるしちゃん、今どうなってるか見える? 僕は急に暗くなって何も見えないんだけど」

「あたしもなんにも見えない! それにもともと鳥目だし! きゃはは!」


 バサバサっとこちらへ鳥が向かってきた。

「どうだよお前ら! ビックリしただろう? 俺のこと、尊敬しちゃってもいんだぜ! うひゃひゃ!」

喋りかたをきれいにすれば、もっと尊敬しちゃうのに……


「すごかったよ! あれってなんなの?」

やっとぼんやりイッキが見えてきた。元の茶色い鳥だ。

「なんなのっていうか、あれが俺の本当の姿。普段は冴えないただの鳥だけど、本当の姿はあれなんだよ。ショート、不死鳥って知ってる? フェニックスとか呼ばれてるやつ。俺はそれなんだよ。」

フェニックス……

「聞いたことはあるけど、見たのは初めてだよ!」

「当たり前だろ! フェニックスがそこいらへんを気軽に飛んでるわけがないだろ! 希少価値があってこそ、伝説になるってことだ! うひゃひゃ!」

「でも、燃えて光るだけじゃん!」

「お前はどうなんだよ! カラスなんかゴミ漁りと弱い者いじめぐらいしか能がないだろ?」

「違うもん! いいカラスだっているんだよ! 悪いのはブラブラ団だよ!」

「チンチン団だかブラブラ団だか知らないけどさ、そんなのは言い訳だよ! 一人が悪いことをしたら、全員が悪いってことになるの! 悔しかったらブラブラ団とやらを壊滅させてみなよ! そしたらカラスがいい奴だって認めてやるよ!」

「むっきーーーー!」

まあまあ……


「でも僕たちは、出来ることなら本当にブラブラ団を壊滅させたいと思ってるんだ」

できるか分からないけど。

「ブラブラ団か知らないけどさ、カラスを操って悪いことをしてる奴は昔っからいるよな」

え? 操って?

「カラスを操る奴がいるの? それに昔からって?」

「昔っていうのは本当に昔だぞ! 俺ら鳥類は、お前ら人間よりはるかに前から地球に存在してるからな。人間が出てくるまでは、鳥類はもっと自由に空を飛んでたんだよ。誰からも指示されることなくな。人間が出てきて、途端に俺らの肩身は狭くなったんだよ。あの頃は自由でよかったなぁ……」

え? え?

「イッキ……。君って何歳なの?」

「知るか、そんなの! 不死鳥なんだから死なないの! まあ、人類より古くから地球にいるっていうのは確かだな! だからお前らはおれの後輩に当たるの! タメ口なんて生意気なんだよ! うひゃひゃ!」

何億年とかの単位?


 それにしても……

 ブラブラ団は誰かに操られている?

 ここまでの話を総合すると、操ってるのはグランデで間違いない。

 グランデはたぶん何かに取り憑かれている。


「ふははははは! ショート! 奇遇だな!」

え? 誰?

 振り返るとそこにはグランデがいた。

うるしちゃんは僕の後ろに隠れた。

 グランデの隣には女の子がいる。

いるというか、気を失っている所をグランデに抱えられている感じだ。

 あれ? あの服装……!?

ましろちゃんじゃないか!

「グランデお前! ましろちゃん……その女の子に何をした!」

「ましろ? ああ、この女、ましろって言うのか。ただ寝ているだけだ……今はな!」

そう言うとグランデはポケットからバタフライナイフを取り出した。

「ちょっ! おまっ! グランデ! 何をするつもりだ!」

何がなんだかさっぱり分からない。


「グランデ? ああ。そうか。 俺はグランデ……だったな」

グランデの声がどんどん低くなっていく。

「お前! グランデじゃないな! 誰なんだ! 中の人はいったい誰なんだ!」

「うるせーーーー!」

すごく大きな声で僕はひるんだ。

でも立ち向かわなくちゃ!

ましろちゃんがヤバい!


※作者からの余計なお世話コーナー。


最初はイッキは違う名前で、鳳凰にしようと思ってました。

鳳凰=フェニックスだと勘違いしてたのもあるんですけどw

で、フェニックスにするんだったら「イッキ」しかないよなって……w


ちなみにイッキ情報w

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%B3%E5%87%B0%E6%98%9F%E5%BA%A7%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%BC%9D

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