【キャロル=エインズの相談事】 3
イェールがデリーに大声を上げた。
「何てことを言うんだ! 謝ってくれデリー!」
「嫌よ! 何で私が謝らなくちゃいけないのよ! 悪いのは全部あの雌豚と、それに従う馬鹿なオッサン達じゃない! 私は絶対に謝らないわよ!」
「そんな!」
イェールが学園長とオーナーに土下座した。
「本当に申し訳ありません! 僕はデリーがキャロル=エインズさんに何をしたのかすら聞いていないし、分かっていないんです! どうか僕の退学だけは取り消してください! お金ならいくらでも払いますから!」
「ちょっと何土下座してんのよ! みっともない! 恥をかかせないでよ!」
「君はもう黙ってくれ! お願いです学園長、オーナー! デリーがこんな人間だったなんて知らなかったんです! デリーとの関係も断ちますし、キャロル=エインズさんにも二度と関わりませんから! 許してください!」
「あんたみたいな役立たずの根性なしなんか私から願い下げよ! いますぐ消え失せなさい!」
ギャーギャーと喚き散らす室内で、オーナーは目を閉じながら内心で嘆息していた。
(やれやれ)
○
「災難だったわね、キャロル」
「本当です。これで無事に収まってくれればいいんですけど」
アイラの私室。妹のキャロルが来て、一緒に紅茶を飲んでいた。
「風の噂に聞いた所によると、キャロルに言い掛かりを付けてきた人、退学した後で警察に捕まっちゃったそうよ」
「えぇっ、そうなんですかっ⁉」
「何か八つ当たりで人を襲おうとしたらしいわ。怖いわねぇ」
「こ、怖いですね……私も気を付けないと……」
「ええ、気を付けなさい。人なんて表向きは善人ぶってても、腹の中では何を考えているのか分からないんだから」
「…………、婚約破棄したお姉様が言うと説得力が違いますね……」
「後数年したら貴女も婚約させられるんだから、ちゃんと心を強く持ちなさいよ」
「は、はいっ」
キャロルの専属メイドがキャロルに言った。
「キャロル様、そろそろお勉強のお時間です」
「もうそんな時間? お姉様、また後でね」
「ええ、また後で」
ドアから出ていくキャロルにアイラが手を振る。
ドアが閉まったのを確認して、アイラの専属メイドが言った。
「言わなくてよろしかったのですか? デリー=ドロパウトが襲撃しようとしたのが、キャロル様であることを」
「知らぬが仏ってやつよ。逆恨みなんて醜い所業、知らない方があの子の為だわ。あの女を捕らえた我が家の使用人も、言わなくていいと言っていたしね」
「……そうですね」
「それよりクッキーをちょうだい。なくなっちゃった」
「かしこまりました、ただいま用意致します」
アイラのティータイムは続いていく。
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