【スティーブ=サイナウトは冒険者になりたい】 3
スキンヘッドがスティーブに答えた。
「俺達はこれから魔物の討伐に向かうんだがよ。メンバーを後何人か探してたんだ。一緒に行かねえか?」
「お、行く行く! どこだ⁉ 何と戦うんだ⁉」
わくわくした様子のスティーブを押し留めるようにして、スキンヘッドが言う。
「それを教える前に確かめておきたいんだが。あんたがどれくらいの奴なのか、ちょいとその剣を見せちゃくれねえか? 剣を見りゃ大体分かるからな」
「おう、いいぜ! 新調したばっかの安もんだけどな!」
スティーブが鞘ごと剣をスキンヘッドに渡す。スキンヘッドは剣を抜いて、キラリと太陽光を反射する剣身を見るとニヤニヤと笑った。
「アー、こりゃ駄目だ、全然駄目だな、駄目過ぎる」
スキンヘッドの仲間達もニヤニヤとした笑みを浮かべていた。
スティーブが頭に手を当てた。
「やっぱ駄目かー、適当に買った安もんだからなー」
「いやいや、剣のことじゃねえよ」
「へ?」
「見知らぬ他人に自分の武器を渡すその馬鹿さ加減が駄目だって言ってんだよ!」
そう言って、スキンヘッドがスティーブに剣を振り下ろした。
その剣を、スティーブが素手の片手で受け止める。片手での白刃取りだった。
「「「「⁉」」」」
スキンヘッド達が驚愕に目を見開いた。
スティーブはのほほんとしながら、
「何だー、それならそうと言ってくれればいーのにー」
スキンヘッドの腹に一発、もう片方の拳をめり込ませた。
「……ッ……⁉」
声にならない声を出して、スキンヘッドが白目を剥いて地面に崩れ落ちる。それを見て、スキンヘッドの仲間達が悲鳴を上げて逃げていった。
剣を再び鞘に戻して腰に下げながら、スティーブがぼやいた。
「やれやれ、あの子可愛かったんだけどなー」
ネルンが言う。
「人を見た目で判断してはいけません、スティーブ様。おそらく初心者を狩っている連中だったのでしょう」
「プレイヤーキラーって奴?」
「冒険者をプレイヤーと呼ぶのなら、そうかもしれませんね」
スティーブがスキンヘッドに背を向ける。ネルンが聞いた。
「この者はどうしますか?」
「どうでもいんじゃね。男に興味ないし」
「そういうことでは」
「よーしっ、今日は仕方なく諦めるけど、明日こそ待っててねー受付嬢ちゃーん」
スティーブが道を歩き始める。
ネルンは溜め息を吐いて、彼のあとについていく。
「……スティーブ=サイナウト様……まさかこのようなお方が、サイナウト侯爵家の跡取り候補だとは、誰も思いませんよね……」
そうぼやいていた。
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