【悪役を演じる覚悟】 2
「それで私の所へ相談に来たのね?」
「はい、アイラお姉様」
アイラの私室。レモンティーを飲んでいたアイラを、キャロルは訪ねていた。
「どうしたら、カトリーナを傷付けずにその男子を諦めさせることが出来るでしょうか?」
「難しい問題ね」
アイラはスコーンを一口食べる。
キャロルは浮かない顔になっていた。
「やっぱりそうですよね……?」
「別にキャロルが何とかしなくても、勝手に相手がボロを出すんじゃない? 遅かれ早かれ、カトリーナさんは相手の本性に気付くはずよ」
「それは……お姉様の言う通りだと思います。でも、私は何とかしたいんです。カトリーナが傷付いてしまうことが避けられないのなら、その傷を少しでも小さくしたいんです」
「友達思いなのね、キャロルは」
二口目のスコーン。少しの沈黙。味わったあとに、アイラは言った。
「でも、そうね、貴女の友達が深く傷付くのは、私も忍びないわ」
「お姉様……」
「だから、貴女に悪役を演じる覚悟があるなら、その方法を教えてあげる」
「悪役……?」
「下手をすれば、貴女も彼女に嫌われちゃうかもしれない方法よ。彼女を助けられたとしてもね」
「…………、どんな方法なんですか?」
「ふふ」
アイラは口元を歪ませた。
○
「わぁ、凄いですね! 色々な動物がいますよ!」
「うん、そうだね」
街の動物園にて。
カトリーナはおしゃれをしてテックとデートを楽しんでいた。
「あ、カトリーナさん、あっちに動物と触れ合えるエリアがあるみたいですよ。気性の穏やかな動物みたいです」
「わあっ、本当ですか⁉ 可愛くて楽しそうですね!」
「あはは、カトリーナさんも可愛いよ」
「え……」
テックは笑顔を湛えながらカトリーナのことを見つめている。
カトリーナは顔が赤くなってしまった。慌てて顔を背けてしまう。
「あ、わ、私クレープ買ってきますね!」
「それなら俺も」
「あ、私がテック君の分も買ってきますよ!」
「そう? ならカトリーナさんと同じ物を頼むよ。一緒の物を食べたいからね」
「~~~~」
顔が火照るのを感じながら、カトリーナはクレープ屋へと駆けていった。
彼女の後ろ姿を見ながら、テックは舌舐めずりをしていた。
(クク、顔は凄え可愛いし身体も良い。性格も合格。こりゃいまから楽しみってもんだ)
邪な笑みを浮かべていると、テックに声が掛けられた。
「お、テックじゃん。こんなとこで何してんだ?」
テックが振り向くと、学園の悪友だった。動物園だというのに、悪友は一人でいた。
「何だお前かよ。デートだよデート。この前話したカトリーナ。お前こそ何でいんだよ、しかも一人で」
「こっちもデートだっつの。この前テックに紹介された子とな。ま、逃げられたっぽくて、トイレから全然戻ってこないけど」
「ハハッ! お前らしいぜ! 女の扱いが分かってねーんだよお前は!」
「うっせーよ! 女の扱いって何だよ⁉ 取り扱い説明書でもあんのかよ⁉」




