【悪役を演じる覚悟】 1
キャロル=エインズが通っている学園内、まるで高級レストランのような学食の一角にて。
複数の男子が笑い声を上げながら話し合っていた。
「ぎゃはは! テック、何お前、マジでデートに誘ったのかよ⁉」
「ったりめーよ! この俺様に掛かればチョロイもんよ!」
「おーおー、ったくモテる奴は羨ましーねー!」
また笑い声が上がる。
「んで? もちろんデートの後はヤるんだろ? 相手はあのカトリーナだからな」
「顔は滅茶苦茶可愛いからな、もちろんそのつもりさ。まあ面倒な奴だったらパスするかもだがな」
「へいへい、どうせヤるだけヤったらさよならするくせによ」
「ま、デートで確かめて、面倒な奴だったらその前にさよならするけどな。泣き喚かれて刺されでもしたら最悪だからな」
「だったらヤらなきゃいいだけなのに、相変わらずあったま悪りーよなー」
「るせーよ!」
「俺達にも分けてほしーくれーだぜ」
「んじゃいままでの奴でテキトーなのを紹介してやんよ」
「うひょー、マジかよ⁉」
「マジマジ」
そんな話をしながら彼らは立ち上がり、学食の外へと出ていく。
彼らがいたテーブルの真後ろ、低めの間仕切りの向こうのテーブルには、キャロルが座っていた。
学食に一人の女子が入ってきて、そのキャロルの前に座る。
「ごめん、キャロル、待った?」
「う、うぅん、大丈夫だよ……カトリーナ」
キャロルは彼女から相談を受けて、この学食で待ち合わせをしていたのだった。
○
「それでね、テック君からデートに誘われてね。私、どうしようっ、いまから凄い緊張するよぅ」
「そ、そうなんだ……」
「だってテック君って格好良いし、成績も良いし、スポーツだって凄いんだよ! 私の周りでも人気があって、私なんかがデートに誘われちゃうなんていいのかなぁ」
「…………」
そう言いながらも、カトリーナは嬉しさで笑顔がこぼれていた。にやついていたといってもいいくらいだった。
「……カトリーナは、その、テックさんのことが好きなの……?」
「え……っ」
キャロルの質問に、カトリーナは不意を突かれたような顔をした。
もじもじと頬を赤らめながら、彼女が答える。
「き、気にはなってるかな……? だって格好良いし、優しそうだし……もしかしたら、好きに、なっちゃう、かも……」
「…………」
カトリーナがはっとなった。
「あっ、もしかしてキャロルも彼のこと好きだったの⁉ だから私の話を聞いて……」
「う、うぅんっ、それは違うから大丈夫だよっ、安心してっ!」
「そう? 良かったぁ」
慌てて両手を振ったキャロルに、カトリーナはほっと胸を撫で下ろした。
それからカトリーナは相談を続けていく。
「それでね、そのデートで何を着ていったらいいと思う? 控えめな方が良いかな? それとも明るい感じが良いかな? やっぱり可愛いと思ってほしいし、キャロルはどう思う?」
「え、えーとぉ……」
キャロルは無難に答えながら思っていた。
(ど、どうしよう……)
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