【グロリア=ガンナスターはアイラの専属メイドで護衛】 4
「本当にありがとうございます、グロリアさん」
社交パーティーの終わり頃、ヘレナがグロリアに頭を下げてお礼を述べていた。
「お礼には及びません。私はアイラ様のご用命で動いただけですので」
そのグロリアの返答に、アイラが言う。
「グロリアったら、そんなこと言って。私が言う前に動いてなかった?」
「訂正を許してもらえるなら、同時でございます、アイラ様」
「同時なんじゃない」
「…………」
アイラがヘレナに言う。
「ま、彼女もこう言ってるし。私達はもう帰らせて頂きますわね。パーティー、楽しかったわ」
そうしてアイラは背中を向け、グロリアも彼女の後ろについて会場をあとにしていく。
「……借りが出来ちゃったわね……」
そうつぶやきながら、ヘレナが振り返る。そこにはイメルダが土下座をしていた。
彼女はずっとそうしていた。
「顔を上げなさい。イメルダ」
「…………申し訳ありませんでした」
「もう聞き飽きたわ。いいから顔を上げなさい」
「…………どのような罰でも受けます。お嬢様を危険に晒した罪、この命であがないます」
「はぁ……」
ヘレナは深い溜め息を吐いた。
「なら処罰を命じるわ。イメルダ=イナバース。貴女は今後ずっと、私に忠誠を誓って働きなさい。二度と同じことが起きないように、ビシバシ再教育してあげる」
「⁉」
ガバッとイメルダが驚愕した顔を上げた。信じられないという顔だった。
「これは絶対の命令よ。拒否することは許さないわ。……まぁ、貴女のお願いを承諾した私にも責任の一端はあるしね。自業自得ってやつ?」
「このイメルダ、ヘレナお嬢様に一生忠誠を誓います!」
イメルダがまた頭を下げた。雨のような涙を流していた。
○
帰り道。
グロリアとアイラの会話。
「技芸の披露会では的のお役目、誠に感謝致します」
「ん」
「しかし、お断り致しても構いませんのでしたが。怖くはなかったのですか、アイラ様を危険に晒すことになったのに」
「貴女が失敗するはずないじゃない」
「…………」
アイラはグロリアを信じていた。
「貴女だって絶対に成功させる自信があったから、お願いしてきたんでしょ?」
「もちろんでございます」
「ま、もし億が一にでも失敗したとしても、あれくらいのナイフならどうとでも出来るしね」
「……アイラ様には頭が上がりません」
話題を変えるようにアイラが言った。
「家に帰ったらアップルティーでも飲もうかしら」
「かしこまりました。極上の逸品を用意致します」
「うん、お願い」
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